うさ耳達と仲良くなろう
メイ達が逃げ兎人族達がここにたどり着いたのは2時間が過ぎようとしていた時だった。いや、2時間もアレと戦ってたら死んでましたよ?
「にいちゃん大丈夫か!」
弓矢を手にした6人の兎人族の男女の後ろから名前を聞きそびれた男の子が現れる。
「やぁ少年。まだ君の名前は聞いてなかったね?」
「オレはジータだよ。で、ホブゴブリンは?逃げちゃったの?」
「逃げただと!すぐに探し出さないと!」
兎人族の男性が慌てて探しに出ようとする。
「ちょっと待った!ホブゴブは俺が倒した。って、あれは倒したで良いのかな?」
「倒した?にいちゃん一人で?でもホブゴブリンいないぜ?」
ですよね。あぁ…みんなの疑わしい視線が痛い。答えは簡単。死体と二人きりで待ちぼうけするのがいたたまれなくてアイテムボックスに入るかなぁと試したら入っちゃったのだ。あっ、証拠品の提出しなきゃ。
「ホブゴブ君ならここに、ほいっと。」
ボトリと嫌な音をたててホブゴブリンの死体が目の前に現れる。
「確かにホブゴブリンだが…というよりアイテムボックスのスキル持ち?」
あれ?そっちが気になります?
「行くところが無いとジータとメイから聞いていたがおかしいな…アイテムボックス程のスキル保持者はどこの街に行ったって貴重な存在だ。」
ありゃ?もしかしてやらかした?でもおかしいと言われても嘘は何にも言ってないしな。
「じゃあ兎人族はレアなスキル持ってたら誰とでも仲良くなれて自由に生きれるの?」
これはちょっと意地悪だとは思いながら皮肉混じりに言葉を投げつける。兎人族達は苦笑しながらお互い顔を見合せている。
「で、にいちゃんはどうやってホブゴブリン倒したんだ?こいつ滅茶苦茶強いらしいぜ?」
「あぁ、それなら簡単だ。攻撃を死ぬ気で避けてたら勝手に足を滑らせて転けて石に頭を打ち付けたんだ。それから棍棒を奪ってゴンと…。」
「「「「「「「は?」」」」」」」
「てか2時間も逃げれないし、避け続けたりは無理だからね?普通に死んじゃうから!武器になりそうなのは折れそうなこの枝と石ころだけだぜ?」
呆れも通りこしたらしく何だか疲れているようにみえる。
「で?俺はどうする?みんなの集落の片隅にでも住まわせて貰えるのかな?それとも別の場所に行った方が良いかな?」
「あ、ああ…それなら来る途中に詳しい話しを聞きながら本当に困っているなら歓迎しようと話してたんだ。二人の為にホブゴブリンを前にして立ち塞がって命をかけてくれたんだろ?」
二人だけじゃなく兎人族がお人好しなのか?まぁ、これから一緒に暮らしていけるのなら俺が気を付ければ良いかな。
「それじゃあこっちも自己紹介しないとな。俺は鳴海優。マサルって呼んでくれ。」
次回、遂に異世界生活スタートします。(…多分)