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金遣い

本日4本目なのですよ!

結局職人の確保はあっさり終わった。獣人たちに嫌悪感がある者を除き移住しても良いという人は全員を王の書状という権力と目先の金と仕事という餌によりあっさりと獣人の街行きを了承してくれたのだ。内訳は以下の通りである


鍛治職人→6名予定→8名(+家族11名)

革細工職人→2名予定→3名(+家族4名)

大工→8名予定→9名(+家族16名)

服飾職人→14名予定→0名

料理人→4名→2名(+家族9名)

騎士1名 (ウェイン)


鍛治職人や大工は意外と若手も多く独身が多かったので家族等は少ない、革細工職人のうち2人は女性で、料理人の2名は共に屋台をしている子持ちの未亡人で子供たちを頑張って養う肝っ玉母ちゃんだった。

服飾職人が1人もいなくなったのは獣人に忌避感があり、そのうえプライドや自分たちの売り込み金額をどんどん上げてくる為途中で見切りをつけたのだ。だいたいこの世界では自分たちの服は自分たちで繕う人が多く購入する服というのは中古か注文して仕立てる高級品なのである。

彼らには前金で支度金と一部今後の給料を渡しており、移住の際に必要な物資の確保をして貰っている。若いのにはいきなり渡された多くの金に色めきたっていたのだが馬鹿な金の使い方をするとどうなるのかを心から納得頂いた(←具体的には聞かない方が良い)。




「じゃあ、俺も街をぶらぶらして買い物してくるよ。」


そう言い残し街へと繰り出していったのだった。


「うわぁ…個人的な買い物とか久しぶりだな…何だか街並みも並んでいる商品も別物なのに懐かしい感じがするなぁ。」


というかプライベートな時間自体が久しぶりなのである。なかなか自由にしている様で日本の様に個人的なスペースも自由にないのだからプライベートなんて感じる時はないのである。


「おっ、大豆かこれ…やっぱりそうか!おっちゃんこれどれくらいある?…いや、全部ちょうだい!そっちのは山椒!?どこで仕入れてんの!?えっ…その辺になってる?…マジか。…胡椒もあるじゃん!ほら、全部出して出して!」


とこの様にアイテムボックスがある事を良いことに根こそぎ買っていく。あまりの気前の良い買い方に店先では我先にとマサルを引き留める為の値引き合戦が勃発する…マサルが気がむくままに欲しい物を買い漁った結果、数日の間市場の品揃えが大幅に偏り関係各所から店主達はお叱りを受けたのだった。






城の一室にてザーグと…。


「で、マサル…なんか祭りみたいになってたけど何を買ったんだ?」


「えっと…大豆は根こそぎ買って、あとは香辛料や酒や釘なんかに石鹸、あとは野菜や花の種に、動物が何匹かだな。」


「動物って…何を買ったんだよ。また変な事を考えてんじゃないだろうな?」


「風切りウズラって鳥を4羽とツノ兎を4羽だな。」


「どっちも魔物じゃねぇか!どうするつもりだよ!?」


「勿論飼うに決まってるだろ?風切りウズラって3日に1回くらい2〜3卵を産むんだぜ?それも15cmくらいの…しかも食べれるし旨いらしいぞ。ツノ兎はあんまりデカくないし強くないらしいし、年間に10匹くらいの子供産むらしいし、やはり旨いらしいからな!畜産業もやるっきゃないだろ?」


魔物という事は安全面さえ気をつければ意外と生命力も強く手間もかからないと踏んでいる。日本の様にストレスのかからない環境で餌にこだわって育てたら意外と良い産業となるのではないかと思っている。ウズラは雑食で虫や種子や穀物を食べるし、兎はその辺りの雑草を食べるらしいのでオオトカゲ依存の食生活に新たな風が吹くのではないかと期待しているのである。


「なんか勝算がありそうだな…一応マサルには内緒という事になってるけどオレは見張り役だから王には報告するからな…問題ないよな?」


「あぁ、見張り役なのは知ってるし報告義務があるのは知っているから問題ないぞ?自分の食生活を豊かにする為に多少暴走気味だって言っとけば良いと思うよ?あと、酒も多少値上がりするかもって言っといて。」


「どんだけ買ったんだよ…酒の値上がりは度合いによっちゃあかなりヤバイぞ?」


「あぁ、安い大量にあるヤツを樽で50くらいと瓶で100くらいかな…鉱石の買い付けしたら金がかなりヤバイかも…。」


「ちょっ…お前…金がヤバいって…あんな金額を何日で使ってるんだよ!?うちの騎士団の年間の経費より多いんだぞ!!?」


たかだか魔獣や魔物の討伐報酬や素材の売却価格と侮る事なかれ、軍や騎士団が多数いて死傷者が多数出たりする魔物や魔獣の討伐報酬というのは軍を動かす人件費や資材や食費、怪我人や死者が出る可能性も含めて必要な治療費や見舞金などに動かす為に必要な手配や売買に必要な人件費や雑費など様々にかかる費用に釣り合うだけの報酬とならなければならないのだ。そこでケチると誰も命をかけて強大な魔物や魔獣と戦う者などいなくなってしまう。それは国の維持という観点でいうと大変な問題となるのだ。


「国の保管する小麦を大量買い付けしたし、お前の親父さんのとこの商品は全買いだろ?分かってるのか…お前の親父さんの借金はお前の生涯年収くらいあったんだぞ?それも5年以内に騎兵隊の隊長になった計算でだ。」


「何か借金の返済にめっちゃ金貨多かったのはそういう事だったのか…ってか何で俺の給料知ってるんだよ!?」


「そりゃあ、ウェインに聞いたからだな。あいつ引き抜くんだから色々知らないと交渉出来ないだろ?歳も近いし給料はそんなに変わらないだろ?なら計算は簡単だな。」


「むしろ、そんだけ借金があったならあの商品だけで何とかなったのが不思議なくらいだよ…まったくあの親父は…。」


「残ったのは金貨2枚と銀貨1枚だけだけどな。それでもおまえの姉さん死ぬほど喜んでだぜ?」


「そりゃあ、今までが今までだからな…金貨ってそれでも大金だし。」


「きっと移住の用意に金を使って、結婚する資金とこにまでは金が行き渡らないだろうから優しい弟と婚約者が素敵な花嫁衣装や嫁入り道具を用意してくれると思ってるよ。うんうん。」


その顔に思いもよらなかったという顔をして固まり動き出したと思ったら一目散に外へと駆け出すザーグ君。


「ちょっとウェインのところに行ってくる!大事な相談が!」


そんな彼の背中には、


「ちゃんと買った物もあるかも知れないから確認ちゃんとしろよ!」


と投げ掛けるしかなかった。


「本当は別途で準備金なんか渡したし金はそこそこあるはずなんだけどなぁ…それに気付かずに言い出したらお祝いせんとアカンくなるだろうな。ふふふっ…。」


とっても扱いやすいザーグ君でした。

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