石と工兵
今日でまた一つ歳をとりました。
えっ、誕生日プレゼント?
感想や評価…特にレビューとかしてくれたらめっちゃ喜びますよ?
本日は少し多めに更新していこうかなと思っています。
最低3話は載っけていくので皆さんご期待下さいませ。
※上記のレビュー等の話は状態ですが書いてくれるなら常時本当に喜びますよ?
結局は大まかな話が終わり売却値なども含め細かい事は向こうが適当にやる方向で決まった。素材の相場もだいたいは情報を押さえているし騙して安く買い叩かれる事もないだろう。
「これからマサルは何をするんだ?」
フリードの言葉に少し悩んで、
「ザーグの家に行くよ。色々と思うところがあるし…。」
「は?どうして俺の家なんだよ!いやいやこういう時にはフリードの家に…ってか城に部屋用意してくれるだろ!?」
めっちゃ嫌がられたし…気持ちも分かるけど。
「お前の親父さんは煉瓦なんかを取り扱う売れない商店してんだろ?だから見に行ってみようかなと思ってな。」
「売れないは余計だ!それとも何か?今回の売却金で親父の店の商品買ってくれるとでも言うのか?」
「それを確かめるのに行くんだろ?ついでに売れてないんだから息子のコネで安く買えればと思ってるだけだから気にするな!」
「気にするわ!金あるんだから定価で買えよ!」
「そんな甘い商売してたらいくら金あっても破産するわ…金の使い道なんか幾らでもあるんだからな!」
というか幾らあっても足りないのが現状なのだ。こっちは街を1から資源の足りない状況で造ってるんだからな…もちろん妥協は簡単だが贅沢を言えば欲しい物は山ほどあるのだ。
「取り敢えず行こうぜ!ほら、お客様は神様ですって言うだろ?」
「言わねぇよ!ってかお前が言うと本当に神様が来そうで怖いから冗談に聞こえねぇよ!マジでやめてくれよ?親父の心臓止まっちまう…。」
こっちの世界では言わないらしい…でも確かに本当に神様が出てくるならこの言葉は使えないか…。
…王都内城下町の職人街の一画にその商店はあった…【石と工兵】…また微妙なネーミングセンスの店だし何より…。
「なんだこれ…汚ねぇ…なんだ廃墟か?」
木造造りの小屋の様な雑な家に手彫りの看板が痛々しい何ともいえない店で、周りには山ほどの煉瓦や石材、砂袋、木材などが積まれている。
「確かに汚ねぇけど言葉に出すなよ…これでも親父が一生懸命にやってる店なんだからよ。自分の建物に金なんか使える程の退職金は無かったしな。」
…ヤバい。退職金注ぎ込んで商売して破産するタイプの人だ…確かに見た感じ商品自体は悪くなさそうなんだが…。
「こっちの煉瓦は…ちゃんと焼いてあるな…しっかりした焼成煉瓦だ。日干し煉瓦じゃないんだな…木材も歪みは少ないし…石材もちゃんと同じ大きさで切れている…でも商売の基本がなってないな…おい、ザーグ!親父さんを呼んで来い!商談だ。」
「いや、こっちから行こう。今の時間なら裏で煉瓦焼いてるからな。」
汚い小屋…もとい石と工兵商店を周りこむと裏手には立派な石窯があった…これで煉瓦を焼いているのだろう。しかし、誰もいない。
「あれ?おかしいな…親父〜お客さんだぞ〜!客連れてきたぞ〜親父〜?」
大きい声で親父さんを探し回るザーグ…こんな光景は日本と一緒だなと懐かしさが込み上げてくる。ホームセンター勤務している時に自宅に商品を届けると注文した家族を探して同じような光景がよく見られるのだ。
「なんじゃ!うるさいぞ!儂なら店の中におるわ!さっさと入って来んか!」
せっかく裏に回ったのに中にいたらしい…これもあるあるである。(←読みにくいわw)
「おい、親父お客さんだ。今日は珍しく煉瓦焼いたりしてないんだな…体調でも悪いのか?」
意外と親想いな一面が見え微笑ましい。
「……………………………いんじゃ。」
親父さんは俯いて何か言うが聞き取れない。
「何?聞こえねぇよ…いつも無駄にデカい声してんだからはっきり喋れよ!」
「だから金がないんじゃ!もう煉瓦を焼く金どころか明後日から飯を食う金もないわ!」
あぁ、典型的な駄目親父なんですね…儲け度外視で好きな事をしたい人は日本にも結構いるよね…。
「仕送りしてただろ!ってか従業員はどうしたんだ!?弟子は!?」
「ふんっ、一月も前に金持って逃げたわ。」
「金持って逃げたって…おい、親父!どこのどいつだ!」
中々の定番でベビーな話である。
「三月前から給料払えておらんから文句も言えんわ!」
なんでそこで偉そうなんだよ…前言撤回…こいつ自業自得だわ。
「姉ちゃんは!?」
「生活費稼ぐ為に染色工房に…。」
「この駄目親父がぁぁぁあぁぁっ!!」
ザーグの会心の一撃!親父をたおした。拳が顔面にのめり込む。
「死ねば良いのに…。」
あんなに親想いの良い子のザーグ君がグレちゃったじゃないか…。ざまぁwと言いたいところだが…。
「親子喧嘩は客のいないところでやってくれ。ここの商品の資材の値段が知りたいから教えてくれないか。」
「儂は知らん…いつもディナに任せておったからな。くそっ、思い切り殴りやがって…。」
「ディナって誰だよ?あと親父さん…殴られて当然だから。」
「ディナはオレの姉ちゃんだよ。ってか値段分かる人間いないのにどうやって商売すんだよ馬鹿親父!」
「確かに馬鹿親父だな…侵略しかけた息子といい勝負だな。この似た者親子め。」
「「………………。」」
そう、この親子どっちもどっちなのである。マサルに言えるかどうかは置いておくとして…。
「で、肝心の姉ちゃんはいつ捕まる?染色工房の3倍の日当出すから至急商品の見積りをして貰いたいんだが?値段次第だがそれなりに買うぞ?」
「じゃあ、明日にでも呼んでおこう。」
あんだけガチで殴られたのにもう復活してやがる…頑丈な親父だな。
「にしても、値段が分からない以前にこれは商品売る気がないだろ…普通にしてたら絶対に売れねぇ…あり得んわ…。」
「ふんっ、客に見る目がないだけだ。ウチの商品はこの王都の中でも中々のもんなんだ!値段も他よりかなり安いハズなんだ!何故売れん!」
いきなりキレるなよ…仕方ないな少し教えてやるか。
「あのなぁ…客商売ってのはな、印象や信頼が最優先なんだよ。人気のない一画に汚い廃墟の様な小屋に服装なんかも汚い、商品も整理しきれてない…どこを見て買う気にさせるんだよ?
だいたい建材扱う店がオンボロの小屋に住んでてどうするんだっての…自分の店がまず商品見本にならないと信用出来ないじゃないか!その自慢の資材できっちり見映えよく仕上げてここの資材が欲しいと思わせないと信頼も信用もついてこないだろ。
それに資材の並べ方!種類別にはなっているが何がどれくらいあるのか一目で分かる並べ方をしないと在庫管理的にもお客さんの印象的にも全然違うんだよ!」
こういう所は日本のホームセンターなんかは見せ方や管理はマニュアル等で徹底管理されていて数万点という商品を少数で管理できる仕様になっている。まさにやりすぎじゃないかというくらいに…考えてもみて欲しい、少し大きなホームセンターに行くと釘やネジの数だけで何種類あるだろうか?煉瓦やブロック、タイルは?本当に膨大な商品を管理しているのである。
「マサル…なんか怖いぞ?」
「当たり前だ!日本のホームセンターの専門スタッフなめんなよ!」
「いや、意味わかんねぇから…。」
そうですよねぇ…分かったらむしろおかしいから…。
「今日は帰る!姉ちゃんに宜しく言っといてくれ、取り敢えずは定価で計算して見積り作ってくれって言っといて。大量に買うとなると値引き交渉とかするけど、取り敢えず生活に困らないくらいには買う気でいるから!じゃあな!」




