第一村人発見!(された)
「こんなところで寝てたら死んじゃうよ?起きて!起きてなので!」
身体をゆさゆさ揺らされ目が覚めると白いもこもこが視界に入る。まだ起きたてでぼやける目を擦りピントがあうとそこには長い耳のついた少年と少女が顔を覗きこんでいた。
「ん?うさ耳?…てか第一村人発見…。」
流石に昨日は疲れていたのだろう。バイブ設定のアラームなんかには負けずしっかり熟睡していたらしい。
「おにいちゃん病気なの?動けない?」
「あぁ…ちょっと疲れてただけだよ。すぐ起きるね。」
子供達に心から心配してますって顔をされるとまだ眠いとは流石に言えない。
「にいちゃん、なんでこんなところで寝てたんだ?この辺りはオオトカゲが結構いっぱいいるから変なとこで寝てたら死んじゃうぜ?」
「マジで!?」
「「うん」」
聞いてみるとカモフラージュにと生の枝を折って 集めると植物の臭いが強く辺りに漂って余計に目立つとの事。この二人も新しく折れたりして出た植物の臭いが強くしたから様子を見に来たらしい。危険があるなら報告しなきゃいけないらしい。
「ねぇ、ものは相談なんだけどお兄さん行くところが無いんだ。出来たら二人の住んでるとこに連れていってもらえないかな?」
「…にいちゃん人間だからみんなのところに連れていったら大人に怒られるよ…。」
「怒られるなの…。」
こんなテンプレ要らないんだけど…。どうせアレだろ?人間至上主義とかで亜人の迫害とかしてんだろ?一応聞いてみるか。
「うさ耳さん達は人間と仲が悪いのかい?」
「うさ耳さんじゃなくてオレ達兎人族だぜ。人間達は人間じゃないのが嫌いだから意地悪するって大人達は言ってた。」
ビンゴか…でもここで放置されても死ねる自信しかないしな…。
「うさ耳可愛いのにな…駄目でも良いから大人達に聞いてみてくれないかな?一生懸命働くから隅っこにでも住まわせてくれないか?お兄さん本当に困ってるんだ…。」
「おにいちゃん迷子なの?」
「あぁ、うん。道も人生も迷子してるんだ…。」
これは間違いない。
「どうする?にいちゃんホントに困ってるみたいだぜ?」
「かわいそうだよぅ…連れてってあげようよ〜」
こんな純心な子供を困らせたくはないんだけどな。こっちも命かかってますので…むしろこの子達は純心過ぎて悪いヤツに騙されたりしないかが心配になるレベルだ。
「じゃあ聞いてみるだけでも良いなら…にいちゃん、それで良い?」
「あぁ、構わないよ。助かる。ん?向こうから誰か来るな…二人の迎えかな…。」
「オレ達に迎えなんて要らないし里の大人達はあんまこっち来ないぜ?」
「でも、ほらあそこ…。」
近付いてくる人影らしきモノを指指して答えると二人は顔を真っ青にさせる。
「おにいちゃん!あれ魔物だよ!」
「にいちゃん逃げるぜ!ホブゴブリンだ!アレは大人が何人もいなきゃ勝てない!みんなに報せなくっちゃ!」
そんな事を話しているうちにもどんどんその影は近付いてきて、自分にもはっきり姿が見えてきた。身長は175cmの自分と同じくらいだがまるでテレビで見た格闘技の選手の様な体格で、その手には見るからに汚ならしい棍棒が握られている。顔や身体には小さな傷があり血を滲ませていた。
「なんか怪我してるぞ?ヤバい相手なのか?」
「そうだよにいちゃん!ゴブリンってのは普通群れてるんだよ。多分あいつははぐれで一匹で生きてきたんだ!そういうヤツはかなりヤバいんだよ!早く逃げるぜ!」
本当にこいつがヤバいなら…よし腹をくくるか。
「おい、二人とも逃げろ。俺がこいつを引き付けるなりして何とかする!本当に強いなら二人の仲間や家族を危険にするこいつを引き連れて逃げる訳には行かない!応援を呼びに走れっ!」
「でもおにいちゃん!」
「行くぞメイ!早く走れ!もたもたしてたらにいちゃんがそれだけ死んじゃう可能性が増えるだろ!走るんだ!」
メイちゃんっていうのか…男の子の方の名前聞きそびれたな。ちゃんと聞けるように頑張るしかないな!さぁ来い!ゴブ野郎!
もたもたしてたらにいちゃんがそれだけ死んじゃう可能性が増えるだろ!
日本語おかしいですが慌てている感じを出したかったのでここはわざとです。
正しくはにいちゃんが死んじゃうよ可能性がそれだけ増えるだろ!でしょうね。
二人とも7歳の少年少女なんですから。子供過ぎじゃないかって?獣人は動物の特性から幼い頃からでも高い運動能力を備えているのです。
 




