諦めないといけない事もある
「えっと…ヴィンターリアの隣の建設中の町に港と造船所が出来たのですが、ここで1つ大きな問題が…。」
城でのアデリナ、ザーグへの報告をしにしたマサルは珍しくその口調に陰りがみえる。
「実は…造船所自体は何とかなりそうなんだけど、船大工の育成が全然間に合ってない。…具体的に言うと、使用している技術や知識はメイたち子供たちの方が高くて大人がついていけていない。」
「それは…なんて言ったら良いか分からないけど皮肉な話ね。」
「更に問題なのが、同じように技術を習得しても物が大きくなれば応用が必要で更に技術不足の追い打ちって事態に。」
アデリナとザーグは技術屋ではないので、技術不足の度合いがどれ程のものなのかがピンと来てない。
「具体化には…どれくらいの教育が必要なの?」
「早くて3年から10年………下手をすると1世代から3世代くらいの習熟が必要だな。安全を考えるなら30年の事業にした方が良い。」
「そんなになのっ!?」
驚きの声を上げるアデリナに追い打ちをかけるマサル。
「船乗りの育成も同じくらい必要になるからな。」
「うぐっ…確かにうちには船乗りなんて職業いないけれど。…なんとかならない?流石にメイちゃんになんて言ったら良いか分からないわ」
「約束通りにメイと次の優勝者の船は作る。ただし、中型船だ。船体は30mで危険だと思えば勝手に手を加える。いいな?」
「それは良いけど、急に全部はやらないぞって言い出したのはなんでだ?理由があるんだろ?」
「…………………。」
黙って成り行きを見守っていたザーグが急に割って入り質問する。マサルは沈黙するが、この場合の沈黙は是である。
「誰かに何か言われたか?………マサルが何か言われて止まる………あぁ、ビクティニアス様だな。」
「………いちいち勘の良い………そうだよ。何でもかんでもやってやるな、教えて導けるようにしなさい。そうしないと本当の意味で成長しないでしょ!ってね。………べ、別に怒られた訳じゃないぞ!注意されただけだからな!」
「…意外と尻に敷かれてるんだな。まぁ、マサルが良いんならそれで良いんだが。」
「良くないわよっ!」
呆れと同情めいた視線を投げ掛けるザーグの言葉をアデリナの怒声が打ち切る。
「うちの国にはお金が無いの!造船技術と航海技術があればどれだけ稼げるか!………自給自足国家なんて聞いたことも無いわ!私嫌よ、大きな国と交易でも始まって物々交換でも良いですか?なんて言うの!」
実は先日、ダークエルフの里と交易がなされ、支払いに困って支払いの前に街の色々な道具を売り込んで何とか金銭を用意するという事件があったらしい。
それが余程堪えたのか、アデリナは金銭の獲得の為に造船と航海を国の一大事業として推し進めたいらしい。
「お金が無いのも分かるけど、アデリナこそ分かってるのか?船は失敗したら乗員は基本的に死ぬんだぞ?…新しい事を早く覚えさせようと思うとジータやミコトの世代になるんだが、そんな子供たちを死地に送り出す気か?昔のクックたちだって、そんな目にあいたくないからと報告しなかったくらいなんだぞ?(第20部 夢は寝てる時だけで十分ですが?参照)」
「う、失敗したら子供たちが死ぬ………考えさせて。」
顔色悪く部屋を出ていくアデリナをザーグと共に苦笑して見送る。そう、諦めだって世の中には必要なのだ。無理なものは無理なのである。
そう、諦めないといけない事もあるのです。
夏期の連載は毎日更新じゃなくなります…多分、週2くらいですかね。
理由を述べますと、私の部屋には冷暖房がない上に、1日中日照権を主張する地獄の様に熱い部屋だからです。本格的な夏場になると夜も朝も35度を下回る事がないでしょう…40度を超える事も普通で、基本的に何時間も機械を触っていられません。
集中力とか体調とかよりも、機械の方がもたないので諦めて下さいませ。…スマホやPC壊れると本気で生活に支障が出ますのでご容赦くださいませ。




