ザークとミコト
「…という訳で、彼にも色々な経験をさせる為に少しの間、剣の方を習わせたいと思う。メイちゃんには悪いけど暫く彼を預かるね。」
「別に良いですよ。色々な事を経験するのは大事っておにいちゃんも言ってたし。」
とザークさんは「手加減を知らないから先に死なない様に身体の方を鍛えるようにしよう」と提案してくれ、メイとの交渉までしてくれた。
「で、誰に剣や武術を習うかだが…やはり基礎ならクックか私かな。なかなか私は時間を取れないかも知れないから体力を付ける為のトレーニングが多くなると思うが…クックなら今、新兵たちの教育をしてるからそれに混ざる事になると思う。」
王配のザークをこれ以上拘束するのも気を使うし、解体を教えてくれたクックさんはとても細やかに人に気を使ってくれる優しいお兄さんといった感じがしたので答えは決まっている。
「あんまりザークさんの仕事止めて迷惑かけるのもアレなんで、クックさんのところで新兵さんたちに混ざって練習します。」
「そうかい?じゃあ、そういう風に手配するよ。彼は基礎を大事にしたスタンダードなスタイルを極めた騎士だったらしいから良い勉強になると思うよ。」
「基礎は大事ですもんね…。」
「そうだな…魔法も普通は半年くらいの座学を終えて学ぶものだしな。魔物と戦える様になるのは最低でも3〜5年は鍛えた一握りの者がやる行いだからな。」
ゴブリンに追い掛けられたのは何だったんだと空いた口が塞がらないミコト。
「まぁ、ミコト君は命懸けならゴブリンから走って逃げられるという事が学べたと思うしかないな。」
「何事も学びですか…。」
「そう思わないとやっていけない事もあるって事だよ。ついでに本当に学べるのが1番だけどね。」
あっ、このザークさんみたいなお兄さんが欲しい。この優しさにうたれたミコトは今後何かあったらザークを慕って度々訪れるようになるのだった。
ヴィンターリアのみんなはちょっと感覚おかしいから仕方ない。




