【side story】新たなる課題
「おにいちゃん!本物の船は来年にして!」
圧倒的なタイムで優勝したメイはマサルの作った教本通りの船に感銘を受け、船はマサルの命を預かる物という話に考える事があった様だ。
「本当に良いのか?来年は他の人たちも強敵になるぞ?」
「うん、次は安全と機能を両立してみせる。」
「メイのは最低限のは出来てたと思うぞ?」
「最低限じゃ駄目なんだよ!」
メイの目に挑戦の炎が燃えている。
「良いんじゃない?メイちゃんも本気で遊びじゃなく職人を目指し始めたって事でしょ?」
ビクティニアスの言葉に真剣な瞳で頷く。
「じゃあ、今回の優勝賞品はこれを贈呈しよう。」
マサルの作った手本の船だ。喉から手が出るほどそれが欲しかったメイは自分の手に船が乗ると夢中でマサルたちの事など忘れて観察と解析を始めた。
「嬉しそうねメイちゃん。今までも夢中だと思ってたけど気迫が違うわ。」
そう言いながら現れたのはアデリナだ。
「ちょうど良いところに現れたな。前にヴィンターリアへの移住希望はかなり増えてきたって言ってたな?」
「えっ?えぇ………でも住む所も食べ物も急に増やせって言われても貴方がいないと困るのよ。」
「そこで相談の前に質問だ。メイたちが行っている造船技術………国として応援する気があるか?それとも俺の趣味でやろうか?」
「勿論、応援するわよ!自分の国の子供たちが本気で頑張っている物を応援出来なくて、何が女王で、何が大人よ!」
精一杯胸を張って「なんでも相談なさい!」と待ち構える。
「よしっ、よく言ったな!聞いただろビクティニアス、アデリナは子供たちの夢と本気を応援してくれるらしいぞ。」
「ふふふっ………アデリナさんはまだマサルのこういう手に慣れてないのね。可哀想に………。」
「えっ?こういう手…………っ!」
ハメられた!?って顔をしているが何を仕掛けられたのか分かってはいなかったみたいだ。
「………という訳でアデリナ。海沿いにもう1つ都市を作るぞ。造船都市って感じかな?早めに場所決めて指示してくれ、俺が出張して開発計画に荷担してくる。」
「えっ?まさかの長期出張!?しかも都市開発!?」
「同時に物資の運送の為の道路開発もやるからな!ザークと2人でさっさと部下見繕って見積り出せよ。」
顔を真っ青にして脳内で色々と計算を始めるアデリナ。どうやったって人手が足りない。
「馬鹿な盗賊を捕らえているんだなら道の舗装は奴らにやらせろ。舗装の資材はザークの親父さんに相談だ。文官が暫く足りないだろ?メイとその仲間たちの船作りチームを全員使え、あいつら賢いからな。自分たちの将来に関わる大事業だ、手を抜くと船作りは出来なくなると言っておけ。分かったな、メイ?」
「………あい。」
こうして楽しいお祭り騒ぎは新たな国ぐるみの大事業の開始が決まり、あっという間に鎮静化されたのだった。
「じゃあ、みんな!頑張って働いて良い国を作ろうな!」
「「「「「「おうっ!!」」」」」」
暑い夏が始まった。
もう暫くしたらちょっと本気で活字中毒者の私の中毒症状を抑える為に、『本108冊読むまで何もしません祭』を開催するので暫く連載が止まります。そうですね………1週間くらいはマジで読者に徹して頭をリフレッシュして次の展開を考えていけたらと思ってますので皆さまご理解の程、宜しくお願い致します。
何時からお休みなのかはまだ決まってません。