結婚式直前のコント
「はい、わたくしゼラフィティスがお送り致しますは、アルステイティア初の世界同時配信での結婚式となります。我々の認めた国の王都では上空に巨大なスクリーンが投影され結婚式が生で観れるという壮大な企画です。では、一緒に結婚式を解説されるゲストを紹介しましょう………なんと別の世界から麗しい女神様がお越しになっております。アテナ様どうぞっ!」
「ご紹介に与りましたアテナと申します。本日は大変重大な日に呼んで下さってありがとうございます。………にしてもゼラフィティス様?なんか異様にトークが慣れた感じがするのですが………。」
「マサルの持っているスマホとかいう機械に入っていたアニメの『インターネットラジオ放送』とやらで勉強しました!」
「ほうほう………彼のスマホにはそんなモノまで………。」
「特にわたくしのお気に入りは氷○の『古○部の○託』ですかね、とてもテンポが良くてハマってしまいました!」
「はいはい、固有名詞出したら駄目よ………使えなくなるでしょ?」
「何がマズいのか『わたし、気になります!』」
ズドン………。
「はい、という訳でですね………暫くゼラフィティスはお昼寝するらしいので、わたくしアテナがお送りします。」
そんな放送をマサルとヘラは苦笑しながら眺めている。
「何だか無茶苦茶してるなアイツら………。」
「まぁ、良いじゃないの。神だってめでたい時には騒ぎたくなるものよ。」
「………その点に関しては人間の方が自重を知ってるでしょうね。」
「否定出来ないわね。」
「まぁ、みんな笑っているから良いかな。」
アテナもちゃんと冗談に見える様に対応している様だし、そもそもあの細腕でゼラフィティスより遥かに高い戦闘力を持つなんて知られようがない。
「ちょっとアテナに釘刺してくるよ………そもそもゼラフィティスを外した知らない女の人がトーク番組始めたくらいにしか見られないしな………一応この世界の神として挨拶も要るだろうし………。」
「いってらっしゃい。じゃあ、他所様の世界で無様なトークしない様にと私が言ってたと伝えて頂戴。」
マサルは「よし、これでアテナは押さえれる」と内心ガッツポーズをしたいのをグッと我慢し、アテナとゼラフィティスの元へ向かう。
「ではマサルのエピソード紹介〜ドンドンパフパフ♪」
「アテナ様?………ヘラ様から伝言でございます。」
ヘラからのメッセージを手帳に書いて見せるとアテナは急に真面目になり優秀な美しい女神の一面を見せる。
「大変失礼致しました。本日、新郎のマサル様よりお話があるという事なので一旦席をあけさせて頂きます。では、マサル様………。」
「皆さん、先ほどご紹介に与りましたマサルと申します。先日、神マギアルウスの代わりとしてアルステイティアの神となりました。今日のこの機会に皆さんに顔と名前を覚えて頂けたら幸いです。」
「………え?終わり?」
「あぁ、俺もビクティニアスも式の準備があるんだ。ほら、ゼラフィティス!起きろ!ったく………仕事してくれ。じゃあ、後は任せるぞ。」
「ほへ?………あっ、ちょっと待ってマサル!オレ………この神と上手くやる自信ないよ………。」
ひくっとアテナが頬をひきつらせるが自らの行いのせいなので仕方ないであろう。
「大丈夫、相性とか関係ないから。お仕事だと思って諦めて頑張って!」
「………流石、向こうで社会人だっただけの事はあるな………正論過ぎてぐぅの音も出ないわ………オレもう少しだけ頑張るよ。」
「なんかわたくしが凄く酷い女みたいじゃないですか!!」
「あぁ………今気付いたらしいぞ?」
「…………マジか………今なのか………。」
「…………酷いです。」
うるうると涙を溜めてあざとく見上げるアテナ。
「…………という事で俺は準備に行ってくるわ。」
「ちょっと無視しないでよ!」
「ほら、泣いてない。」
「ぐっ…………マサルの意地悪!」
まったく………結婚式の前くらいゆっくりさせろよな………。
くそっ、また遅れた……すいませんm(__)m




