大いなる愚者たち
「おい、聞いたか?」
「んっ?なんだ?」
「例の街で近いうちに結婚式があるらしいぜ。」
「それがどうしたんだ?」
「何でも凄いVIPの式らしくてな、グレイタスやバゼラールカの王族も揃って出席するらしいぜ。」
「何だと!じゃあ、あの街には………。」
「あぁ、祝いの品を含めお宝が集まってくるって訳さ!!」
とある集落跡で交わされた怪しい会話………彼らは2つの盗賊団の頭で、最近不景気なこの盗賊業界を何とかすべく会合をしていたのだった。
「どうするよ?個別に客を狙うか?それとも街にカモが集まってから狙うか?」
「そりゃあ、警戒されても面倒だ。一網打尽でいこうや。」
そんな綿密さの欠片も無い作戦で集められたのは近くの国に存在する主要な盗賊団が13、計214名のならず者たちだった。
「分け前は参加した人数の割合で団ごとに山分けだ!ぜってぇ、分け前をチョロまかしたりするんじゃねぇぞ!バレたら腕を切り落とすからな!」
何て話も話し半分で聞き流しながら賊たちは思い思いに欲望を口にする。
「今回は大仕事だ、酒に女に食い物!好きな物を好きなだけかっさらっちまえば良いさ!」
「うひょ〜っ!!女っ!!良い女がいれば安酒でも楽しい夜が過ごせるぜ!滑らかな鱗の蜥蜴娘いるかなぁ〜♪」
「げっ、こいつそんな趣味してんのかよ……まぁ、良い蜥蜴は全部貴様にくれてやるよ!」
「おれは兎人族の娘が良いなぁ〜兎人は女は胸が大きいのが多いからな。」
「趣味悪りぃなぁ、猫人のスレンダーなラインが1番に決まってんだろ!」
「何だと!この幼女趣味めっ!!」
「うるせぇ!このババアが好きな変態が!」
そんな風に殴り合いも片隅では起きているが誰も気にした様子では無い。馬鹿な男共の争いなんて日常茶飯事で、相手にするだけ馬鹿馬鹿しいのだ。
「おい、仕事の前に怪我したら置いていくからな。」
「くっ、今日はこのくらいにしておいてやるよ!」
「こっちの台詞だ、この腰抜け。」
「何だと!このやるか!?」
「やってやろうじゃねぇか!」
彼らがヴィンターリアの結婚式会場を狙う迄5日が迫っていた。
どうなるって………そうなりますよね。
あんまり詳しく言葉にする意味は無いでしょう。




