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【side story】男の子だろ?

「えっ?兄ちゃん………コレはヤバいよ………多すぎるんじゃ………。」


「大丈夫だよ、だいぶ前に同じくらいの数にアデリナと囲まれて戦った事あるし、お前ら男の子だろ?頑張れよ。」


ホームセンターがあらかた出来上がった頃、マサルはジータとその同期の男の子たちを連れて、蟻の魔物を繁殖させている場所へと来ていた。


「せっかくだから本気で限界まで戦ってみろよ。お前らは将来的に嫁も貰うし、重要な仕事を任されていくんだ。自分や大切な人を守れる力は必須だからな。」


せっかくレベルの概念があり、戦って魔物を倒すと強くなれるのならとパワーレベリングでもするかと、ジータたちには内緒でここまで連行してきたのである。嫁がどうのと言う話の所で、顔をひきつらせてジータに視線が集まったが気にしてはいけない。


「でも、オレたち武器が………。」


「心配するな!ちゃんと用意してあるさ、アダマンタイトの短槍だ。これがあれば当時のアデリナよりは有利な状況で戦えるぞ?」


「………そうかも知れないけど………。」


「良いから行って来い!」


ジータたちを蟻の群に放り込みマサルは適当な位置まで離れて様子を伺う。


「や………やるしかない!いくぞ、みんな!」


「「「「おう!!」」」」


一斉に蟻へと飛び掛かるジータたち………気合いの入った一撃を蟻の頭部へと叩き込み最初の一匹を倒して『やれる!』と意気込んで次々に蟻を屠っていく。


「さて、どれくらい頑張れるかな………あぁあ、あんなに力んじゃって………。」


全力で殲滅させる勢いで蟻に短槍を突き出す子供たちは、この後地獄を見る事になる。


「はぁ………はぁ………もうそろそろ全滅させれるハズだよな………。」


「そうだね………あと20匹くらいかな?」


最初200匹程いた蟻の魔物はみるみる少なくなって、気を抜いたその時………。


「お〜い!次の群が来たぞ!………数はだいたい400くらいだ!」


マサルが少し離れた場所で手を振りながら叫んだ言葉を理解した頃、すぐ側の岩山の穴から黒い大群が這い出てきたのだ。


「ちょっと!?兄ちゃん助けてよ!!」


「あはは、男の子だろ?頑張れよな!」


マサルは蟻の群の中を縦横無尽に動き回りながらサンドイッチを食べている………戦う気など微塵も感じさせない。


「もうヤケだ!みんな!死ぬ気でやるぞ!」


ジータたちは善戦した………そう善戦したのだ。およそ4時間で700近い蟻の魔物を討伐したのだ。普通なら蟻の魔物は全滅していて当然なのだが、ここはマサルが餌まで与えて増やしに増やした蟻の大量発生地区なのである。


「ぎゃあ!足がっ………この離せ!畜生!オレの足を離せ!」


何とか仲間たちとカバーしあい振りほどいたが1人、傷は深く動けない者が現れてから形勢は急激に変化した。


「くっ、槍が滑る………刃が通らない………。」


汗で柄を持つ手は滑るし、力が入らず蟻に致命傷がなかなか与えられなくなってきていた。


「マサル様は?もう無理だよ………。」


「兄ちゃんはかなり前から姿が見えないぞ………死にたくなかったら弱音を吐かずに戦え!」


限界なんかはとっくに超えて死にたくない一心で蟻を迎撃していく………一向に減る様子の無い蟻に絶望を感じながらも命のある限り最後まで足掻いてやると心に決める。


「よし!そこまで!」


マサルの声が響いたと思った瞬間、辺りを閃光が満たし、あまりの眩しさに目を瞑る。


「な………何が………。」


おそるおそる目を開けるとピクリとも動かない蟻の魔物の死骸が辺りを埋め尽くしていた。


「みんなよく頑張ったな!最後まで諦めずよく戦った!」


そう言って治癒の魔法をかけていくマサルを呆然として見つめるジータたち。


「まだまだ甘いところは沢山あるけど、自分たちの限界を知れたんじゃないか?本来なら順番にローテーションで休憩しながら上手にやればあと3時間くらいいけると思ってたんだけど、今回はこれで終わりだな。」


あと3時間と聞き、血の気が引いていく一行………その間もマサルは蟻の死骸をルンルンで回収している。


「………兄ちゃん日頃は温厚なのに戦闘になると神というより、鬼だよな………。」


ジータの言葉に頷く元気もなくただマサルは片付けを眺める男の子たちは、今後この人に付いて街から絶対に出ないようにしようと心に刻み込んでいた。


「次はもう少し防具も要るよな………足具とかあると蹴ったり色々出来そうじゃねぇ?」


というジータの言葉に、男の子たちは異常なモノを見付けた顔をして一歩下がった。


「………ジータ………お前………もう一回やる気か?」


「えっ?無いの?」


「えっ?お前やる気なのか?………まさか、そっちの気があるのか?」


片付けもあらかた終え合流したマサルもジータの発言にドン引きしていた。


「そうだな………やる気はあるみたいだし、もう一回やっとくか!」


全力で首を横に振るジータ以外の男の子たちに「冗談だよ」と笑いながら帰宅を促す。


「まぁ、続けれるなら間違いなく強くはなれるけどな。次は今回より楽だと思うし………。」


マサルの言葉に少しやってみようかなと思ってしまう現金な自分たちに苦笑しながら街へと戻ったジータたち。

泥と血にまみれた姿に街の人たちを心配させ、事情を聞いてマサルは女性たちに夜まで怒られる事になる。

そして、次の日からジータたちは急激なレベリングで身体が作り変わっていく事で全身に激痛がはしり寝込む事になったのだった。


「兄ちゃん………おにいちゃんの物差しで無理すると危ないよ?」


とメイにまで呆れられるジータであった。

昨日、『天寿を全うされた兎人族の長は、「材料探しの旅に」で出てきた37歳の兎人族の長とは別の人ですか?』との質問を頂きました。


答え→違います。最初にマサルが兎人族の集落に着いた時の長から、少しずつ獣人たちと合流するに連れて選出され直されてます。何故、その表記が無いのか?……それは本編に全然関係ないからです。全然を追うと今以上に話が進みません。


名前のあるキャラクターには物語の背景があるくらいに思っていて下されば良いと思います。長の名前が最後に出てきたのはヴィンターリア最初の人死にで葬式だったからです。

読み直していくと、長のキャラクターがある時変わっているのがお分かり頂けるかも知れません。




………ジータ君はちょっとMっ気あるんですかね(笑)

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