炎の獣
「この獣道を下りた先に小川があって、その向こうに見える猪の背の様な岩山を超えた先………あった、小川だ!」
マサルは体力にものを言わせて転がる様にどころか、落ちる様に山を駆け下りていき、見えてきた小川も一足で飛び越える。
「それで………猪の背中?どれも同じ岩山に見えるんだが………取り敢えず適当に登って先を見てみるか!」
目についた岩山に跳ねる様にして上ると先に見える森に何ヵ所も煙が上がっていた。
「………何かを追っている様に火が続いてる!まだ生きてるんだ!」
続いてる火の中に突っ込んで行き、本格的な消火は後だなと思いながら大気操作で酸素を追い出し消火を試みる。
続く炎を道を気にも留めず進むマサル…6つ目の火点を通過した時、それはいた。
「………悪魔?」
黒い肌の人形で顔には目しかなく、湾曲した角が頭の両側から生えている。両手の爪は鋭く尖り、背には蝙蝠のような翼に尻尾まであるではないか。
「悪魔キターーーーっ、コレ!!」
ドラゴンと並ぶファンタジーの代名詞とも言える悪魔の発見に、目の前の悪魔がドン引く程に喜ぶマサル。
「キサマ!ナニモノダ!ワガナハ、ザウエラ!ヤミノナカホノオヲスベルマゾクノオウナリッ!」
「………………何言ったかもう一回言ってくれるか?ちょっと個性強すぎて聞き取り辛かったんだ。」
「………キサマ…ナニモノダ…ワガナハ…ザウ……。」
「ちょっと待った!なんでちゃんと通訳されない!なんなんだよ、このスキル!異世界の言葉通訳出来るんだから、これくらいちゃんと通訳しろよな!!はい、そこの悪魔の貴方!もう一回!」
「うるせぇよ!何度もこんなやり取りさせんなや!」
「あ、普通に通訳された。やれば出来るじゃんスキルさんよぉ。」
マサルがコントを続けていると悪魔は完全にキレて両の手のひらに火炎球を生み出しマサルへと放った!
バシュっという音を立てて勢いよくマサルは炎に包まれる。
「うん………まだまだ炎の収縮が甘いな………ただ魔力を炎に変換しただけの魔法なんて決定力不足だぞ?………まぁ、そのおかげであのダークエルフの彼女も生きてたんだろうけどな。」
炎の中で呟くマサルにザウエラは驚き行動を止めてしまう。
「動きを止めるなよ…せっかく攻めてたんだからトドメを刺す迄は油断すると殺られるぞ?」
炎から伸びた手に首を掴まれ、ザウエラは力で動きを完全に封じ込めてしまう。必死でマサルの手を振りほどこうと腕を離させようとするが一向に力が弛まない。
「ねぇ?君は何の為にこんな事してるの?快楽?それとも生存競争?恨み?なんなの?」
完全にどちらが悪役か端から見ると分からない。
「次に攻撃してきたら敵として殺しにかかるから馬鹿な事考えないで降参してね。」
森の影の中に隠れてその光景を恐怖に顔をひきつらせて見ていたダークエルフたちにはマサルは未だ気付いてないのであった。
昨日は感想来ないなと不思議に思っていたら投稿出来てませんでした…失敗失敗!(;・ω・)
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