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移送?

「おい、マギアルウス!お出かけするぞ!」


少しだけ顔を上げたマギアルウスは「ちっ、こいつか!」と視線で語り、牧場の豊かな牧草地に伏せて寝入ってしまった。


「………………お出かけするよ?」


マサルはそんなもの想定済みである。耳をむぎゅっと力いっぱいに掴み引きずる。


「ちょっ!?痛い!痛い!痛い!千切れる!」


「手間かけさせんなよ………ほら、ゼラフィティス転移宜しく!」







「………って感じで連れてきたんだけど、これがかの有名なマギアルウスだよ?」


「えっ!?これがマギアルウス………様?」


フガ家とイーガ家の面々は連れてこられたピンファントに言葉をなくしていた。


「今は、神様の位を落として性………じゃなくて聖獣としてこの地上にいるんだ。これが間違い無くマギアルウスだよ。」


「おい、急に連れてきたと思ったらこの者たちは誰じゃ?そして、ここは何処じゃ?」


ピンクの翼付きの象が喋った事で更に驚き言葉が出て来ない一同。


「誰か………は分かるハズないか。マギアルウス………お前の子孫らしいんだが心当たりあるか?」


「子孫?儂は独身じゃぞ?子供がいるわけが………もしかしてルラザ一族の者か?それともバッジ一族?………じゃあ、モーリアス家の者か?。」


「心当たり有りすぎじゃねぇか!!」


力いっぱいフライング拳骨を頭頂部に落とす。


「当時、我らの一族はイヌトビ家と名乗っていたと思います。」


「おお!トウカ殿の系譜か!いやはや………面影は無いな………トウカ殿はハーフエルフで絶世の美女だったのに、何というか………平凡な顔立ちになってしもうて………。」


「顔立ちの事はマギアルウス様に言われたく有りませんわ。ドワーフらしくないスラッとした長身で精悍な顔立ちをしていると言い残されておりましたのに獣の姿で現れるのですから。」


フウカの言葉には毒がこもっており、コメカミには青筋が浮いている。


「仲良くしろよ?君たちはこれから一緒に暮らすんだからな。」


「なんだと!ここで儂が暮らす?聞いてないぞ!」


「いい加減にしろよ爺ぃ!これは決定事項だ!ちゃんと聖獣としてこの地を守るんだ!良いな?お前の介護なんかずっとしてたらコッチの結婚の準備が進まないんだよ。」


「結婚?おぬし結婚するのか?で、相手は何処の小娘じゃ?アデリナ嬢はもう旦那がいるぞ?」


「は?ビクティニアスに決まってるだろ?神になったんだから神と一緒になるのが自然だろうが…んっ?知らなかったのか?」


「なんじゃとぉ!!?ビクティニアスが欲しいなら儂と勝負しろ!貴様なんぞに主神を預けられるか!」


「勝負は良いけど今度は本気で殺すよ?お前にビクティニアスの件で許可なんか要らないしな。」


マサルの中からとてつもない殺気が溢れマギアルウスは力の差を感じ黙りこむ。


「馬鹿な事言ってないで、ちゃんと聖獣の仕事しろよ?ちゃんと畑耕すの手伝ったり力仕事率先してやったりするんだぞ?」


「それが聖獣の仕事なのか!?」


「因みに………一個だけ忠告しておいてやる。どっかで子種ばら蒔いたりしてみろ………本気でチョン切るからな?」


「お、おう!」


マギアルウスは象の顔を器用にひきつらせてフウタに連れられて洞窟の奥へと行く。


「という訳で、あの馬鹿を宜しくお願いします。一応、たまにゼラフィティスたちが監視してますが言うこと聞かなかったりしたら次に来た時に報告下さい。」


「思ってたのと何か違いましたが確かにお預かりします。ところで…フウタから聞いたのですが、マサル様はウチの余剰分の糸なんかを交易したいのだとか?」


「そうです!それが本命の話なんですよ!」


「因みに………どの様な?」


「こちらから提示出来るものは色々ありますが、急ぎで重要な案件だけは先にお話させて下さい。実は、一番良いシルクが欲しいのです!来年までにドレスを1着仕立て上げたいんです!協力して下さい!」


そう、マサルは結婚式にビクティニアスが着るドレスの素材が欲しかったのであった。



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