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子孫

「関わりですか…一体それはどのような?」


「実は我々、フガ家とイーガ家はマギアルウス様の血を引いているというものです。」


「ほぅ、それはなかなかに興味のある話ですね。」


マサルの目がキラリと光り、神界では神々は全ての作業の手を止めて話に聞き入る。


「どれくらい昔の事かは分からないのですが、この蟲繰(むしく)りの力を手にした初代様の母上は大層お綺麗な方だったらしく、有力者から多くの求婚を受けていたらしいのです。求婚者同士の争いは初めは言い争い程度だったのですが、いつの間にやら殴り合い、殺し合い………最後には戦争に至ってしまったのです。」


「愚かを通り超して言葉が出ないな…。」


ひとつ頷き、フウカは話を続けた。


「求婚者たちの率いる軍がぶつかる、そんな時に現れたのがマギアルウス様だというのです。何でも『貴様らの争いをしようとしている場所はこの美しい蝶の唯一生息出来る花園だ!その様な貴重な場所を貴様らの血で汚すでない!』と一喝して止めたのです。」


「蝶かよ…まぁ、気持ちはよく分かるが…。」


「そうして止まった軍はその求婚者たちの言う事を聞かなくなり戦争は何とかギリギリで回避されたのです。」


「なるほど、神の制止で我に返った軍は引いたのか……で、その求婚者たちは?」


「部下から見放された彼らは決闘をし、互いに致命傷を受けて亡くなったそうです。」


「最後まで救いのない愚かさだな…。」


その通りだと言いながら無くなったマサルの湯飲みに茶を煎れるフウカ。


「で、求婚する者がいなくなった初代の母にマギアルウスが手を出したのか?」


「いえ、その話を聞いた初代様の母上はマギアルウス様の愛する美しい蝶を見ようと花園へ行き、蝶と戯れるマギアルウス様に恋をしたのです。」


「初代の母上は趣味悪かったんかな…。」


その言葉にフウカのコメカミがピクピクと動いている。


「さっきからマギアルウス様の事を呼び捨てにしてますが、貴方様は一体何様のつもりなのですか?」


「………あ、あぁ…ちゃんとした紹介をした方が良かったかな。俺はマギアルウスの代わりって訳じゃないけど一応、この世界の神の位に名を載せる事になったんだ。…一応、ちょっと今は問題のあるマギアルウスの後見って事になるのかな?」


「神で、マギアルウス様の後見?………嘘おっしゃい!貴方みたいなのが神だなんてっ!」


取り乱し立ち上がった弾みで湯飲みは倒れ、お茶が飛び散る。


「残念ながらそれは本当。マギアルウスは自らの過ちにより、神の位を失った。」


いつの間にか現れたビクティニアスが優しい微笑みでフウカの肩にそっと触れ座らせる。


「マギアルウスは自ら邪神をその身に封じ込め、神としての位を無くしたの貴方が心を痛める様な事では無いわ。」


そういう事にするらしい…嘘では無いのがちょっと面白い。モノは言い様である。


「貴女様は…………?」


「ビクティニアス。一応、この世界の女神をしているわ。彼は私の婚約者で新しい神よ。」


ビクティニアスの身体から神威が溢れてくる。その光景にマサルも神の力を少し解放して人にもその力を感じられる様にする。フウカは自然に椅子から降りると床の上へと跪いた。


「そういえば、神の力なんてのは完全に忘れてたな…人前で威光を示す時には神威を使って良いんだっけ?」


「本当に世話がかかるわね…と言っても今回の件に関してはマサルが悪い訳じゃなく、フォローしきれて無かった私たちに責任があるんだけどね。」


「で、今は虫を司る分野は誰がやってるんだ?」


「男神全員での受け持ちになってるわ……出来ればマサルが覚えて欲しいけど、資質的には次席はゼラフィティスかな?」


「で、世界的にはマギアルウスはどういう扱いになってるんだ?知らされてないのか?」


「流石に国のトップとかには知らせてあるけど、こんな人里ですらない場所の人にまで行き渡らせれないわよ。」


「確かに力の行使だって無限に出来る訳じゃないからな…。」


「それに神への信仰が揺らいだりすると世界の根幹に関わるわよ…未だにマギアルウスへの信仰で神力は溜まっているけど、穴埋めの為に全部を使っても足りないくらいなのよ。」


「なるほどな…税金じゃなく信仰は今までのマギアルウスの働きによるものだから、世界の維持の為に使用しても問題ない訳だな。…逆に言えば、信仰の力が落ちそうな要らん話は公開する必要ないって訳だ。」


「ぶっちゃけないでよ…生活保護の資格がないのに需給しているみたいな不正はしてないわよ。ちゃんとした規則に乗っ取って手続きして神力は使ってるんですからね!」


「解ってるよ…ちゃんと信頼も信用もしてるよ。」


………あのアテナは着服する気満々だったけど。


「で、どうするかな……今は神じゃないんだから子孫に合わせて面倒見させるか。ヴィンターリアではあいつ食っちゃ寝ばかりしてるみたいだしな…。聖獣の仕事も別に何にも無いんだろ?」


「そうね、子孫の面倒くらい見て貰いましょうかね。」


マサルとビクティニアスがそんな話をしていると玄関の辺りでフウタとは別の人の気配がした。ビクティニアスはマサルに目配せして神界へと帰り、マサルは神威を収める。


「フウタ、お前そんな所でなにやってんだ?それよりフウカはいるか!おいっ、フウカ!イーガのところの蛾が巨大化してうちの蜘蛛を殺して逃げたんだ!緊急だ!出て来てくれ!」


どうやら次の相手はモ○ラの様だ。

前話の光るキノコネタは誰も分からなかったか…M○S3の光るキノコの通信ネタだったんですけどね…まぁ、良いか!


実は独身の独り身ばかりだと思われていたアルステイティアの神々にスキャンダル発覚です!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 蛾が蜘蛛を殺す…? 確か…蛾の成虫は基本口が無く、 繁殖行動した後は最終的に餓死が基本の生き物で… 噛み付きや突き刺し吸い上げ攻撃などは無い。 なかなか想像できない絵面ですねw 鱗粉の…
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