相談
「マサル…ちょっと良い?」
「んっ?アデリナか…何かあったか?」
「具体的にマサルについては何て皆に言って良いのか知りたくて………。」
「その事か。………そうだな、他の世界の神様がこの世界の神のビクティニアスたちを助ける為に送った使者が俺って事になるのかな。その女神様はビクティニアスの事を娘の様に可愛がっているんだ。」
賢明にもその使者を送った方法が賭け事だとは洩らさないのである。
「マサルのいた世界の神様ってどんな感じ?」
「あはは…向こうの神様か。たくさんいてどの神の話をすれば良いんだろうな………でも、やっぱり人間臭い神様が多いんじゃないかな?」
「えっ?神様がそんなにたくさんいるの!?」
「前にビクティニアスが洩らした事があるんだけど、俺のいた国では『八百万の神』なんて言葉もあって800万って書くんだぜ?他にも長く大事に物を使っていれば『付喪神』って言って、その物には神や精霊が宿ったとされる話もある。」
「それって本当なの?」
「さあね、いないんじゃない?って聞くよりは、いるんじゃないかな?って思った方が面白いんじゃないかな?こう言っては何だけど、向こうの世界ではそれほどにも神様の話がたくさんあるのに『神の姿を見た』とか『神の声を聞いた』とか言ったら変人か頭のオカシい人扱いされるからね。」
本当に不思議な話である。神様なんていないと言いながら神社などにお参りに行ったり、何かあれば神頼みしてしまう………そんな経験は皆があるのではないだろうか?
「それに神様って言っても様々な体系があって、この世界みたいに同一の神様を皆が信仰している訳じゃないしな………なんたって神様は人の前に降りて来ないから。」
なのに何で神話が広がったのか………本当に全てが宗教的なものなのであろうか?それこそ、神のみぞ知るというやつである。
「ふ〜ん………変な世界なのね。」
「そうさ、変な世界何だよ。それでも俺の故郷だ…。」
「………………帰りたい?」
真剣な顔をしてアデリナはマサルの目をしっかり見て問い掛ける。
「そうだな、帰りたいか帰りたくないかって言えば………月に1日くらいなら帰れたらなって感じかな?食べ物は美味しいし種類があって、こっちには無い遊びとかもあるしな………でも、こっちには綺麗な嫁が出来て、このヴィンターリアに住む人たちが家族になってくれた。だから、どっちか選べるって言われたら絶対にこっちかな?」
人は大地に暮らすが、人は人の中にあってこそ生きられるのだと教えてくれたのはこの世界だ。住む土地や世界が変わっても本質的には生きるという事は何も変わる事がなかった………しかし、共に生きる人たちが変わると自分の世界がどれ程に変わるのかを思い知らされたのだ。
「そうね、素敵な女王様もいるしね。」
「そうだな、手のかかる妹は可愛いもんな………頑張って旦那と独り立ちしてくれ。」
「うっ………ちゃんと国が安定するまでは面倒見てよね!お兄ちゃん。」
兄妹コントはちゃんと成立したようだ。
「そうだな、時間だけはありそうだし国がちゃんと独り立ちする迄はそれなりに面倒見てやるよ。………ってな訳で、女王様はちゃんとお仕事して下さいな。住民への簡単な説明はアデリナに任せるから………例の訪問団が帰ってからちゃんとビクティニアスと色々説明するから。宜しくな。」
「うぅ………なんか話が違うよ?丸投げしていいって言ったのに………。」
「女王として最低限の仕事したらな………女王の権限は広いからな………ちゃんと責任者を決めて仕事を割り振らないと全部がアデリナの最低限の仕事になるから頑張れよ。」
「じゃあ、マサルを…」
「俺は一応でも神様になったんだから国の重鎮には名前を残せないからな?一応、この国の神官って事で相談にはのってやるよ。」
「マサルが神官すると神官の意味が変わってくる気がする………でも、何とかやってみる!会議にはちゃんと顔出してよね、4年前は突然戦い始めていなくなったんだから挨拶くらいは必要だからね。」
「了解………からかいにくらいは顔出すさ。サプライズってね。んっ?サプライズか………そうか、そうだな………サプライズしないとな!」
「うわ、嫌な予感しかしないわね……もう仕事戻るね………えっと………程々でお願いします。」
自重を捨てたマサルのサプライズに嫌な予感を感じとり、全てのスケジュールを早めに消化しないとヤバいと駆け足で仕事に戻るアデリナであった。
日本語大丈夫でしたかね?今回は特に自信ないわぁ〜(笑)




