ようこそ幻想世界へ
「ご当選おめでとうございます!今回、貴方は見事に剣と魔法が閃き、様々な幻獣や魔獣、魔物など様々な生き物が住まう幻想世界アルステイティアへお引っ越しが決定致しました。」
気がつくとそこは映像でしか見たこともない様なジャングルの上空で、透明な床の上で騒がしい女と対面していた。…あ、疲れてるんだな…。
「鳴海優さんですね。えっと、34歳!?あの爺ぃ…もっと若い子を…あれ?サービスで20歳の頃に若返らせてダイエットもさせといた?あぁ、なるほど…。」
思わず自分の身体を見下ろすと確かに何故か身体が引き締まっている。…というか凄く筋肉質なんだけど…?自分が細かったのなんて確か高校生の頃くらいまでだったはずだし、マッチョだった事なんてない。不思議に自分の身体を確かめていると…。
「つまり若返ったのはサービスですね。身体が引き締まっているのは、体重がある人は重い身体を支える為にどうしても筋肉が必要だから意外と筋肉もあるのよね。それを無理矢理に痩せるって力を行使したら筋肉そのままで脂肪を落としてバランスを軽く調整したって感じじゃないかな?」
なるほど、それなら確かに理屈では分かる。一応、身体使う事は多かったし自称『走れるぽっちゃり系』だったからな…いや言った事ないけど…。
「はい、話続けますよ〜。貴方は今回地球のとある神様の賭け事の代償に私の管理する世界にお引っ越しする事になったのです。」
「おい、ちょっと待て!なんだよ賭けの代償にって…賭けの負け分は本人に払わせろよ!なんで俺が…って夢じゃない?…夢だよね?」
聞き捨てならない台詞に思わずツッコミを入れてしまった…というか最後の方はちょっとした脳内パニックだが。
「残念ながら夢じゃないのよ〜まぁ、駄目神の事は怨みに思っちゃっても良いと思うわよ?まぁ、貴方には拒否権はないから諦めて頂戴ね。」
というか諦めても何も本当に神様ならどうしようもないし、夢なら実害は無いんだろう。
「という訳で、貴方には私から加護を与えます。資料によると貴方ゲーム好きってあるわね。じゃあ、スキルとかって何となく分かるよね?簡単に言っちゃうと才能の具現化ってところなんだけど…うん、何となく分かってるね。じゃあ、私からコレをプレゼントしちゃいましょう!スキル付与券をなんと3枚!普通の人がだいたいスキル1個とか2個だから3つも新しいスキルが貰えちゃうなんて凄いのよ!」
才能が3つ増える?ほぅ、それはなかなか凄いなと考えていると目の前の女性の後ろに見事な金糸の刺繍の入ったローブを着た女性が新たに現れる。
「あら?8枚の間違いじゃあありませんこと?」
静かに囁かれたその言葉は何故か人生で一番恐ろしく、この世界の神であろうこの騒がしい女も急激に顔色を青くさせたのだった。