マサルの謹慎生活
ヘパイストス様のところに送られたマサルは意外と良い扱いを受けていた。ゼウスとヘラの間に生まれたヘパイストスは足が異形で生まれた事から捨てられたのだが、マサルの事をゼウスとヘラに異世界に捨てられたと解釈しヘパイストスはとても良く物作りのいろはを教えてくれたのだ。
様々な逸話を持つヘパイストスだが、一度は美の女神アフロディーテを嫁にするがアレスと浮気をしていた事からアレスとアフロディーテの浮気現場を押さえて、皆にその姿を晒したり、その後はアテナに惚れて押し倒そうとしたりと愛に飢えた困った神なのだが、鍛冶の技術は他の神々に追従を許さない腕の持ち主でゼウスの雷霆をはじめ神々や英雄の武器は殆どが彼の作品なのである。しかも、戦いや魔術においても達人で本気でマサルは頭が上がらない。
「で、ヘパイストス師匠…本気でこの神の鋼使って良いんですか?マズいんじゃないんですかね?」
「………良いから言われた通りにしろ、師匠命令だ。必要なんだろう?強い武具が。」
「あざっす!全身全霊を持ってやらせて貰います!」
良き師弟関係を築き作りあげていく9つの武具………2柱が鎚を振るうごとに輝きを増していく新しい神の奇跡は、誰にも知られる事なく少しずつ世界に姿を形作っていったのだった。
…………4年が経った。
「アテナ様、お久しぶりです。これからアルステイティアに帰るんですがどうやって帰るんですか?」
「ちょっと………私は3年って言わなかったっけ?何で1年オーバーしてるのかな?」
「じゃあ、迎えに来てくれたら良かったじゃないですか、師匠も喜んだと思いますよ?」
「うっ………それは………苦手なのよ。」
「だいたい、アテナ様が迎えに来ないかなぁって師匠は長めに課題組んだんですから、アテナ様のせいでもあるんですから他人事みたいに言わないで下さいね。」
目を反らして決して合わせようとしないアテナ…余程苦手なのだろう、本気で嫌がっている。
「で、ヘラ様とゼウスはどうなったんですか?」
「………あれからヘラ様が自主的な謹慎と称してゼウスを引っ張って夫婦の寝室に引き込もっているわ。」
「……………………お疲れ様です。アテナ様もご苦労なさっているんですね。」
「分かったなら早く帰って頂戴………もう疲れたわ。帰る方法はそこの扉を開けたら帰れるわよ。」
デスクに突っ伏したアテナに敬礼をして踵を返すマサル。
「そういえばアテナ様………ココって男神避けの結界張ってますよね?」
「それがどうしたのよ?」
「でも、俺はここにいますよね?男神。」
「はっ!ちょっ!どういう事よ!」
「俺とヘパイストス師匠が共同で作った結界避けの道具で入りました。因みに、師匠の分は明後日くらいには出来るので急いで新しい結界張って下さい。」
「何てもの作るのよ!馬鹿じゃない!!って明後日!?ヤバい………どうすれば良いのよ!?」
真っ青な顔で右往左往するアテナのデスクに1つのクリスタルを置く。
「って事で、男神避けの結界解析した時にヘパイストス師匠避けの結界のプログラム作っておいたんで使って下さい。」
「ふぇ!?……良いの?ってか、大丈夫なのコレ?」
「あぁ、多分それは師匠には破れないですよ。因みに無理やり通ろうとするとアレス様の部屋に繋がる罠が起動する様になってますんで。」
「ぶっ!何でよりにもよって………ってわざとね。」
「師匠には悪い事して欲しくないですし、ストレスは溜め込まず発散しないといけませんから…。」
「………ありがたく貰っておくわ。」
「じゃあ、アテナ様!また会う日まで!」
2度と来ないで!とは言えないアテナであった。
要は神様は問題児多いんですよ。
ビクティニアスたちだけがポンコツな訳ではありません。
凄く今更ですがTwitterやってます。
うさぴょんでやってるので良かったら〜、あと無言フォローされても反応しない事がございます。相互フォロー希望の人は小説読んで来ましたとか何とか言ってやって下さい。




