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マギアルウス

「「はぁ〜〜〜〜〜っ………結婚かぁ。」」


来るやいなや机に突っ伏して見事なまでのシンクロを見せるビクティニアスとマサルを見て7柱の神々は言葉を失った。何を言っても怒られる未来しか見えなかったからだ。


「ねぇ、マサル?」


「なんだいビクティニアス?」


「忘れて仕事しよっか?」


「そうだな、今は仕事が癒しだよな。」


痛々しいを通り過ぎて、ただただ痛い2人の姿に仕事と言えど関わりたくないと思った7柱はきっと何も悪くないだろう。


「で、マギアルウス様に何があったか分かったのか?」


「何と言って良いかな………良い報告?と悪い報告がある………どっちがって、どっちからでも良いか。良い報告は、あのお馬鹿は厳密に言えば生きてる…らしい。」


「おっ、良かったじゃんか!生きてれば何とかなるもんな!」


しかし、7柱の神々の表情は浮かない。


「生きてるって………じゃあ悪い報告は消息不明なの?」


「いや、そんな可愛いレベルじゃない。あいつは既に神ではないみたいだ。」


「んっ?神様って突然退職したりって制度あるの?」


「マサル………神は職業じゃないからな。」


「一応言っとくが聞いてみただけだからな?」


凄く微妙な空気が流れる。


「で、何でみんなそんなに元気ないの?」


「姉様…それにマサル。わたくしたちはもうゼラフィティスに話を聞いたの。」


「一応聞いておくがさっきのは良い方の話だよな?」


頷く7柱。シルファヌスに至っては天を仰いでいる。


「じゃあ、悪い方の報告をお願いしても良いかしら?」


「オレはみんなに力を借りて過去見をしたんだ…それであのお馬鹿…マギアルウスに何があったか見たんだ。あいつは事もあろうにあのゲジゲジを食べてたんだ。」


「ちょっと待って!あのゲジゲジってあのバゼラールカの王都をを滅ぼしたアレよね?」


「…………うぇっ。」


「ちょっと!マサル!?ここで吐かないでよっ!」


「いや、無理も無いでしょう…シルファヌスも吐いてましたし。」


「ちょっと!バラさないでよ!」


そんな話をしてる間もコルホントス様がちょっと悲しそうな顔をしながら吐瀉物の片付けを手伝ってくれて綺麗になる。


「コルホントス様ありがとうございます…そしてごめんなさい。」


「でも何であんな物食べようとしたのかしら?」


「さぁ、お馬鹿の考える事は分からんね。」


ゼラフィティスもお疲れの様でぐったりしている。それも当然、ゼラフィティスだけは過去見をしてそれを直接見ているのだ。


「で、その後どうなったのよ?」


「地上に操られるかのようにして降りていったよ。」


「操られるって何にだよ?」


この場にいるマサルだけはあの災厄を起こしたゲジゲジの正体を知らない、いや知らされていない。


「あれは邪神っていうの。正しくは生き物じゃあないんだけどね…神が正の力を持って生まれてくるとしたら、邪神は負の力を持って生まれてくるの。ただし、あれは神になるはずだった力が暴走して捻れ曲がった存在…生き物の形をしていないし、漏れでた力が他の生き物なんかを浸食して狂わせてしまう。」


「つまり、バ○オハザー○状態だった訳だなバゼラールカは………邪神は○ウィルスって訳だ。」


「何か私にはよく分からないけど理解出来たなら良いわ。」


「しかし、感染するかもってのは正直厳しいな…。」


「そこは大丈夫よ、今の宿主はマギアルウス…今までの宿主は力を吸収しきれずに溢れていたから他の生き物に感染?していたけど、マギアルウスの器なら生まれたばかりの邪神の力なら収まると思うわよ。バゼラールカで力を使っているしね。」


元々が神の出来損ないなだけあって信仰など他の生き物の心が動かないと新しく力を補填出来ないという欠陥もあった。もっと猛威を奮っていたら狂気に魅せられた者や恐怖心からもっと大きく力を蓄えていただろうが、マサルが力業で一気に解決してしまった為に更なる進化とまではいかなかったようだ。


「なるほどな…だから、全て殺せか…。頑張ったなビクティニアス……。」


よしよしと頭を撫でるマサルに頬を桜色に染めて固まるビクティニアス。


「そこのお2人さん?話続けるよ?こっちも疲れているんだから心をガリガリ削るような真似やめて貰えるかな?」


ゼラフィティスも相当堪えているらしく珍しく毒のある言い回しだ。


「う?………あぁ………ごほんっ。どうぞ進めてくれ。」


マサルも流石にバツが悪く顔を反省した様子で姿勢を正した。


「で、だね…地上に降りたマギアルウスは邪神の力によって完全に浸食されて肉体を補う為に近くにいた魔獣と融合したみたいだね。神も邪神も地上で動き続けるには肉体が向いているとは言いがたいからねぇ…それを手っ取り早く解決する為に肉体的に強い生き物も取り込んだと、まぁ、そんな感じなのだよ…分かった?」


「神はやっぱり地上で動き続けるには向いてないのか………。」


小さな声で呟くマサルの視線の先には勿論ビクティニアス………。


「ちょっと聞いてるかな?マサル君?」


頭をグリグリと拳骨で押さえ付けたゼラフィティスは完全にお怒りで目が全く笑っていない。


「つまり、何かの生き物と融合して地上にいるんだよね?聞いてマスヨ?」


「で、その現在のマギアルウスと邪神と魔獣の融合体………以下マギアルウスとするけど、ヤツの現在の姿も見えたよ。」


「おぉ、流石ゼラフィティス!仕事の出来る男だねぇ!」


「思ってもないくせにヤメロ!…ったく、えっと今のマギアルウスは大きな力強い体躯に四つ足…背中には白い翼があって、長い鼻………あとは桃色をしている。」


「「あっ!」」


マサルとビクティニアスは心当たりが有りすぎて口を開けたまま放心している。


「それってピンファントだよな?何か一体だけ見たことない魔獣がいて、攻撃したら何かなついてきた感じだから連れて帰って、今も多分ヴィンターリアの牧場で風切りウズラや角ウサギと戯れていると思うんだけど?」


「「「「「「「………………………。」」」」」」」


「そういえばマギアルウスってドMだったわよね。」


聞きたくもない情報にマサルは「うわぁ…」と顔を歪めて「そういえば…」とか何とか呟いている。


「取り敢えず、居場所が分かっているならコンタクトしないといけない訳だけど………場合によっては討伐になるけどマサル良いかな?」


「いいとも〜!」


誰にも伝わらないボケを繰り出すマサルはやはり放置されて、今後の細かい対応策などについて詰めていく神々+オマケ1名なのであった。

さぁ、遂にピンファントの謎があかされてって…何ですかその酷い展開だって顔は!ちゃんと話の種を蒔いて芽が出たらピンファントはマギアルウスだっただけなのですよ…不思議ですよねぇ。

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