式始まっちゃうよ!?
「うぅぅぅぅぅむんっ………眠い。」
工房で一晩中、アレやこれやと自分の武器や防具を作っていたマサルは今までの準備などの疲れも蓄積されて朝からフラフラしていた。
「ヤバい…日本にいた時より働いてるな…。」
「マサル酷い顔してるわね………何か手伝う事ある?」
「………手伝うって今日はアデリナにとって大切な日だろ?しっかり自分の事をやれよ。」
「ふふっ、そうね。まずは私の事をちゃんとしないとね。じゃあ行くわね。」
「………あっ、ちょっと待った!これ持って行きな!」
マサルが渡したのは1つの木で出来た大きな箱。アデリナはこんな日に何をと首を傾げながら蓋を開ける。
「えっ!?これって………。」
中から出てきたのは地球でマサルが見た事があるウェディングドレスを色々と工夫しながら再現した物だ。プリンセスラインの純白のこのドレスにはマサルが慣れない手つきで一月以上かけてコツコツ編んだレースとヴィンターリアの住民全員が1針ずつ手を入れた金糸で蝶の刺繍が細やかにはいっている。
「みんなが刺繍してくれたんだぜ?針なんか持った事ない人だって沢山いたけど自分たちの想いを込めて少しずつでもって刺繍入れてくれたんだ。」
「えっ………あっ………こんなっ………。」
「はいっ!泣くなよ!大事な本番の前に目を腫らしてどうすんだ!さっさと行きな!俺は少し寝るから……じゃあ。」
ヒラヒラと手を振って逃亡するマサル………女性に泣かれて対処出来るほど出来た男ではないのだ。
「ほら、汚さない様にドレス持っていけよ!」
「うんっ!マサル、ありがとっ!」
ドレスを抱き締める様にして神殿へと向かうアデリナを見送ってからマサルは気付く。
「あ、寝るなら俺も神殿に戻るんじゃないか……同じ目的地じゃん。」
そしてトボトボとアデリナに会わない様に祈りながら帰るマサルの後ろ姿はとても小さかった。
「おにいちゃん!しきはじまるよっ!おきてっ!」
「んあっ?メイか…もう始まる?」
「しんぷさんいないから、おにいちゃんよんできてっておかあさんがゆってたの!」
「げ、アクシオンか誰かが機転きかしてくれたら良いものを…ちょっと待ってな、着替えたらすぐ行くよ。…昨日の儀式用ので良いよね?」
「おにいちゃんかっくいいよ!」
「おう!ありがとう!…うん、昨日ので良いな。」
建国の儀式に来ていたローブに着替えて、メイに引っ張られ式場に着くとマサルはあり得ない光景を目にした。
「ちょっと待て…建国の儀式と配置から何から何まで同じじゃねぇか!誰が取り仕切ったんだ!?しかも、もう人が入ってるし!」
「え?マズいかった?」
「ちょっ…クック。神々を呼んで儀式した時と新郎新婦を同じ扱いに出来る訳ねぇだろ!少し考えろ!」
「つまり?」
「ちょっと内装のランク落とすに決まってるだろ!燭台は改修だ!近くにいる人が持って回収して持ってきてくれ!ルルさん!ルルさんいませんか!?あっ、いた!ルルさん式場はこっちの燭台で良いかな?それともこっちかな?」
慌ただしく会場のドレスアップが始まり落ち着いた雰囲気に会場が作り替えられる。
「そろそろ式始めないとっ………。」
「マジで勘弁してくれよ…クック、神官役する?」
「すいませんでしたっ、でも急にオレも言われたんだから許してくれよ…。」
「クックおじちゃん、およめさんはいれないからすわってなの!」
メイにまで怒られクックは静かに反省するのであった。
ギリギリ投稿………今日は頭が回らんかったとです。




