神々の降臨
日が傾きかけた頃…街の中では給仕役以外の全員が宴の席へと付き、マイクを持つマサルへと全ての視線が集まっていた。その後ろには大理石の机と9つの椅子が並んでいる。
「では、皆さま。特別ゲストの入場ですよっと…まずは大海を司る神ワイシェットブローラム様。」
「えぇ〜諸君、儂が海を管理しておるワイシェットブローラムという者じゃ!本日、諸君らと会えた事に大変…」
「はいはい、お爺ちゃんは一番左の席に座って下さいね。」
虚空から現れたのは外見は白髪、白髭の筋肉ムキムキの2mくらいのお爺ちゃん…黒いレザーアーマーに黒い腰布、黒いブーツがなかなか厳つい。マサルにさらっと挨拶を流され寂しそうに席に座る。
「続いては、大地を司る神エントグラン様です。」
「やぁ、皆さん。ご機嫌如何かな?よろしくっ!」
そっと、一礼してワイシェットブローラムの隣に座ったエントグランは純白の鱗を持つ竜人の姿を持つ神である。派手なプラチナ色と金色の鎧を嫌らしさなく着こなす紳士といった感じだ。
「空を司る神ボイロトゥス様です!どうぞっ!」
上空から「とうっ!」と降りてきたのは大鷲の獣人の姿を持つ神でビシッ!と戦隊モノの様なポージングまで決めている。ワイシェットブローラムと同じくらい身体が大きいので画にはなる。
「我はっ!…」
「はい、これから食事なんで埃や砂が舞うので座って下さいね。ボイロトゥス様は一番右の席でお願いします。」
「お…おぅ。」
とぼとぼ歩くボイロトゥスを横目に次の神を呼び込むマサル…。
「次は…獣などを司る神でコル?ホントス?………コルホントス様です!」
「…………呼び難いかい?」
「…………少しだけ。すいません………ボイロトゥス様の隣にどうぞ。」
現れたのはチーターの獣人の姿を持つ神。猫背で何となく疲れた表情が特徴的で、たまにつく溜め息がとても板についている。
「続いては女神様ですね……えっと植物を司るシルファヌス様です!」
「きゃは♪みんなのアイドル、シルファヌスだよ〜♪」
何故か脇からアイドルの様に手を振りながら現れたのは、身長145cmくらいのちっこいロリエルフ。フリフリのピンクの魔法少女の様な格好で会場の人たちのリアクションを完全にフリーズさせるツッコミ辛い容姿をしていた。
「はい、シルファヌス様も席に座って下さいね。じゃないとご飯抜きですよ?」
「子供扱いしないでよっ!!ぷんぷん!!」
コルホントスの横に座ろうとしたが、椅子が高すぎたのかコルホントスを掴んでよじ登っている。
「………………次は、えっと………虫などを司る神マギアルウス様です。………………あれ?来ない?」
「最近、マギちゃん見ないよね?今日も来ないのかな?」
シルファヌスがそう教えてくれるがマサルにはどうしようもない。無視して次を呼ぶ事にする。
「はい、続いては皆さまご存知の魔法を司る神ゼラフィティス様です。」
「はい、皆さんこんばんは…って何?マサル?」
「マギアルウス様が来てないんだ、確認してきてくれ。」
「来ていきなり使いっ走りかい!?仕方ないな…ちょっと様子見てくるよ。」
そのまま消えるゼラフィティス。
「では、天候などを司るアイラセフィラ様です!どうぞっ!」
「楽しみにしておりましたわ。本日はよろしくお願いしますね。」
派手すぎない背中が少し露出した青いドレスに身を包み、そっと手を差し出してマサルにエスコートを要求するアイラ。マサルも自然に手を取り席までエスコートし、椅子をひいて座らせる。
「ぷぅ〜!扱いが違う!」
シルファヌスがむくれて頬を膨らませているので机の前に戻る時に頭を撫でてやる。
「こっ………子供扱いすんにゃ!!」
顔を赤くして怒るが既に微笑ましい視線しかシルファヌスの元には届かない。
「そして、創造の女神ビクティニアス様の登場です!」
「もぅ、様はやめてって言ってるじゃない。………どうかしら?」
「とても綺麗だよ。……様は今日みたいな集まりでは仕方ないから許してくれよ。」
「許すわ…じゃあ、宜しく。」
白いロングドレス姿で左肘に絡み付くビクティニアスをエスコートして席まで案内するマサル。どこか2人とも耳が赤い。
「やっほ〜!ただいま!マギアルウスいなかったよ?何してるんだろね?あれ?」
陽気に現れたゼラフィティスは周りとの空気の差に一瞬固まってから、真面目な顔を取り繕って席へと座る。
「で、マサルの席は何処?」
「んっ?俺は給仕しながら適当に食べるよ?」
「ここ1席空いてるんだから、ここで食べなさい!いや待って…ゼラフィティスは向こうの席でアイラはこっちで、私も1個席をズレてここがマサルの席ねっ!」
「ちょっ!?俺真ん中じゃん!?何でだよ。」
横並びに9席ある席の真ん中を空けてマサルを呼ぶビクティニアス………とアイラセフィラ。
「わたくしたちの間では不満ですか?」
とアイラにまで言われて仕方なく席につくマサル。会場中の男共の視線がリア充死ねと言葉以上に伝わってくる気がして何だか落ち着かない。
「ちょっと食事を持ってくる準備だけしてくるな!ちょっと待ってくれ。………ゼラフィティス、ほらマイク。適当に場をつないでくれ。」
「いつの間にか上司と部下にしか見えないわ…大変な上司を持つと辛いわね、ゼラフィティス。」
「オレが部下だったんだな…そんな気はしてたよ。」
「あたしが喋るっ!ゼラフィティス!それ貸してっ、ねぇ、お願い!」
「はいはい、シルファヌスはそこでちゃんとご飯来るまで待っててね…マサル!シルファヌスに取り敢えずジュースを!」
遠くから「は〜い」と返事が聞こえてくる。
「こっちは酒だ!」
とワイシェットブローラムの声が響く。
神々との宴という事で緊張していた只人たちはあまりに濃い面々と展開にただただ茫然とし、最後の方では普通の宴会なんだという錯覚に陥ろうとしていたのはマサルの策略にハマった結果だろう。
ゼラフィティスに慣れ、神々がいる事に慣れ始めていた上に初対面の神々すらサラリと流すマサルに「こんなもんなんだ」と思わせられ麻痺させられた民衆はこの非常事態に違和感を抱かなくなってきていた。
給仕が足りないと無理やり呼ばれたアデリナとザーグはせっかくなので神々とマサルの給仕として今夜は働く事となった。
「なぁ、マサル…この世界を支える9柱のうち8柱が出席っと…大丈夫かこの世界。」
「ザーグ………お前、よくそんな恐ろしいフラグ立てるのな。」
「フラグって何?」
「そうだな…例えば、騎士が戦場で帰ったらオレ結婚するんだって言ってたら死んだり、この宴を無事乗り越えられたら明日結婚するんだって言ってたら大惨事が起きたりする事かな?」
「前半は何となく分かるけど後半はオレたちの事じゃねぇか!変なフラグ立てんな!」
「おっ、さっそく理解して使ってるな。」
宴はまだ始まってすらいない…。
名前のバリエーションが……取り敢えず私から1つだけ、覚えなくて良いですよ。この宴の回終わるまで何となく分かるくらいで大丈夫です…全員を掘り下げていたら話進まないので(笑)
誰か気になる神いたら教えて下さい、出番が増えるかも知れません。




