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トラブルは時を選ばない・後編

「「どりゃあぁぁぁぁあぁぁっ!!」」


ガン!!ガキンっ!!!


「「うりゃあぁぁぁあぁぁっ!!」」


ガキッ!!カンッ!!


「「まだまだぁぁあぁぁぁっ!!」」


キンッ!ゴスッ!!


「始まって10分か、効いてないなありゃ…何で初撃から甲羅にいったんだよ…。」


ランスロットとヤザの攻撃は甲羅に立て籠った亀に見事なまでに弾かれていた。マサルはそれをお茶を飲みながら少し離れて眺めている。

石の牢屋の中にいた輩は最初こそ向こうで戦ってくれと騒いでいたが、脳筋2人の睨み付ける攻撃で静かになっている。


「おいッ!マサル!お前も戦え!」


「そうだ!真面目にやれ!」


「あれ?2人とも戦ってたの?亀さんイジメてたんじゃないの?………はっ!?助けたら竜宮城にいける!?」


「「………………。」」


ティーセットに続き、椅子とテーブルをアイテムボックスに仕舞って(←くつろぎ過ぎ)人の頭くらいの大きさの壺を1つ取り出す。


「じゃあ、お2人に代わって俺が出ますかな♪」


そう言って甲羅の中に閉じ籠った頭のあった辺りに壺を投げつける。


「じゃあ、暫くお待ち下さいなっと………。」


「ちょっと待て!今のは何だ!」


「えっ?毒ですよ?近寄らない、触らない、舐めない……良いね?2人とも。」


「「…………………。」」


…………3分後。


「グギャアァァァァァッァァッ!!」


亀さんは頭ばかりか、手足と尻尾も出してのたうちまわり始めた。


「マサルはいつもこんな感じなのか?」


「まぁ、普通に人間より力が強くて固くてデカい生き物相手に武器持っていきなり取り付く様な馬鹿な事はしないな。」


「「…………………。」」


「う〜ん………あれ以上は毒も効果無いみたいだな。じゃあ、次の手に移るか………。」


毒液に火をかける…すると嫌な臭いをさせて勢いよく燃え上がる。


「油を混ぜているから燃えやすいし、粘りがあるから垂れないし揮発性も低い………神経毒だから動きを鈍らせるし効果は抜群だろ?」


「お前が鬼畜だって事は分かったよ………。」


ヤザは呆れ、恐れ、完全にドン引きの様だ。


「因みに!熱を加えると毒は効果無くなるからヤツが食に向いているなら食べれるという素敵仕様!」


「食うのかアレを………。」


ランスロットもとても微妙な顔をしている。


「げっ、まだピンピンしてやがる………。」


マサルの方に向き直った亀の魔獣は少しずつ距離を詰めながら魔法を発動させる。甲羅に魔導光が巡り不思議な模様を構築する。


「ランス!ヤザ!逃げろ!!門の中まで退却だ!」


流石に2人も歴戦の強者(つわもの)たちだ、戦いの流れが変わったのを感じとったのだろう、全力で門の中へと走り始める。


「ほら、お前はこっちだ!火炎球(ファイアボール)!!」


時間が無いので捻りも工夫も無く火炎が鼻っ面を焼いて相手の注意を自分に集める。


「うわっ、やべっ!!」


横っ飛びに回避行動をとったマサルの立っていた地面が、バスケットボールくらいのサイズに抉れる。踏み固められた硬い地面を易々と抉ったのは圧縮した空気の塊だ。


圧縮空気弾(エアバレット)ってところか?こんな感じかな?」


相手の放った魔法を真似してマサルが圧縮した空気を放つ!同時に魔獣の魔法も放たれる!


「なっ!!向こうは火炎球(ファイアボール)だと!?真似しやがったな!」


交錯した2つの魔法が1人と1匹の間で炸裂してマサルを吹き飛ばす。


「くそっ、体重差と耐久力がありすぎる…まともに戦ったら先に俺が死ぬな。どりゃ、もう一発だ!圧縮空気弾(エアバレット)!」


辺りの草木や地面を吹き飛ばしたり焼いたりしながら2時間………マサルは慎重に気を張り続けながら草原の広い場所に亀の魔獣を誘い出す事に成功した。


「そろそろ本気(マジ)()るぜっ!圧縮空気ってのはこうやって使うんだよ!」


亀の魔獣の身体の下に空気が集まっていく………。


「ぶっ飛べぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」


圧縮された空気を一気に解放する。


ドォオォォオォォォォン!


「あれ?どっかに残り火があったか?って…うぎゃぁあっ!!」


異様に高い魔力素と圧縮された空気に引火した様だ。ついでにマサル自身も吹き飛ぶ。


「げほっ…うげっ…酷い目にあった。まだまだ魔法の研究が必要そうだな…っと、おっ!ラッキー♪亀さんひっくり返してやったぜ♪」


裏返しで半ば地面に埋まった亀を見付けて悪い笑みを浮かべる。


「前からちゃんとこういう強敵の為の必殺技は考えてあったんだ♪やっと使える相手に出会えたな♪じゃあ、早速………空気操作(エアコントロール)っ!」


亀の魔獣の回りに酸素がドンドン集まっていく…。


「さて、問題です。呼吸をする生き物にないといけない酸素…これを大量に吸い込むと?」


亀の魔獣の顔色が赤みを帯びてきて痙攣が始まった。口からは泡を吐き出し始めたかと思うとそのまま動かなくなった。


「答えは酸素も多すぎると猛毒になるでした♪駄目なら今度は酸素爆発してやれば良いしな♪」


動かなくなった亀の魔獣に近付こうとしたその時…。


「んっ?あれ?ヤバっ!!!!」


チュドォォォーーーーーーーーーッン!!


さっきも残り火なんかに点火したのをすっかり忘れたマサルは集まった酸素を解放して引火…爆発の後、巻き込まれた。


「嘘ぉぉぉぉぉぉんっ!!?」


暫くして黒焦げになった亀の魔獣の亡骸と、気を失ったマサルを回収して、午後からの建国の儀式の準備を思い顔を青くしたのだった。


「ヤバいわね…マサルがいないと動かない事の方が多いじゃないのよ!誰よ、マサルを戦いに投入したのは!?」


「アデリナ…現実逃避する暇があったら頑張ろう?」


「ザーグ………あなた………。」


「「良いから働け!!」」


パニックになったアデリナとザーグがラブラブコントを始めようとしたところを脳筋たちによって引き離され別々に仕事に連行されていったのだった。


きっと草原は撃ち合いの痕跡で大変な事になっているでしょう。

今回は真っ正面からタイタンで撃ち合いしてみましたけど、やっぱり終わりはちょっとオカシな事に………。

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