船遊びだって本気で
メイがお魚さん号を完成させた翌日、はやりというか何というか子供たちから「ぼくも」「わたしも」コールを受けていた。
「やっぱり1人持ってたら皆欲しいよな…。」
そんな子供心もとてもよく分かるマサルは子供たちの遊ぶルールとせっかくだから建国祭の前夜祭にでも行うイベントの1つに船の玩具のレースをする為のルールとレギュレーションを作ってしまおうと決めた。
「よし、ルールを発表するぞ!1つ、船は自分で考えて自分で作る事。作る時に自分だけで出来ない所は相談しにおいで。」
自分で考えて作る事によって創造性が伸びて欲しいという思いと、問題の解決能力の育成の為だ。
「2つ、船は自分で管理する事。船を置く為の場所は用意するから必ずそこに自分でしまう事。」
これも物の管理概念の教育に繋がるし、紛失等のトラブル対策にもなる。また、管理する場所に無い船の数を調べるだけで大人たちに何人が船遊びをしているかも分かるのだ。
「3つ、必ず船遊びを終わった後はこの魔道具の管を俺のところに返す事。この魔道具は安くありません。みんなの協力で沢山作れそうですが、大人には内緒なんだけど冒険者のおじさんたちが持つ剣や盾よりこの管1つの方が高いです。なので、1日の終わりに必ずこの管は俺のところに持ってきて下さい。良いかな?」
「「「「「「は〜い!」」」」」」
そう、この魔道具は高価なのだ。ミスリルを細かい技術で魔法的な加工をして、その加工を傷付け無いように管にするという無駄に面倒くさい職人技とも言える精密部品なのだ。
子供たちがとても良い返事を返してくれる事に若干の不安を覚えつつ、競技についての説明を始める。
「建国祭の前夜祭で皆さんには自分の作った船で競争をして貰います。直線で100mを誰が早く進む事が出来るかを競います。皆さん頑張って優勝して下さい。尚、優勝した子の為に素敵な賞品を俺が用意しておこうじゃないか!」
「「「「「「おおおっ!!」」」」」」
子供たちの期待の表情が眩しい。やべ、賞品何にしよう…。
「船の規格は直径50cm、高さ50cmの円柱に入る大きさとし、その大きさの筒の中に水を入れて水平になった状態で筒に収まる事が最低条件だ。あと、船の勝負だから底に触れたまま進む様な物は無しだからな。」
ポイントは規定の筒にどれくらい水を入れるのかは指定して無い事だ。
「最後に、競争には俺も参加します!俺は順位には数えないけどね。」
「「「「「「えぇ〜!!」」」」」」
1番になろうとしていた子供たちからは不満爆発だが、こんな面白そうな事に参加しない訳が無いのである。
「どうせなら、面白い物作れよ!」
というマサルの言葉に子供たちはああでもない、こうでもないと自由な発送を巡らせていくのだった。
やっぱり遊びを本気でやるのが1番のお勉強ですよね。




