お魚さん号
「で、メイの船って何の話なんだ?」
と聞くとメイは
「あっ!」
と口を押さえ、忘れてたって顔をした。
「あ…あのね、おにいちゃんがいない時にね…おにいちゃんの机からコレ借りたの。ごめんなさいっ!」
そう言って差し出したのは、船の玩具の動力にしている魔道具だ。
「これは…別に借りただけなら構わないけど、メイは自分で船作ってたのか?」
「あい!メイがねっ、自分でしたの!」
「じゃあ、それを見せてくれるかな?ジータがメイを手伝ってあげてって言ってたから。」
「にぃにが?…わかったの!もってくる!」
「じゃあ、神殿の俺の部屋にいるから持っておいで、あそこなら作業台もあるしな。」
元気よく「あいっ!」と返事したメイが船を取りに家に駆けていく。それを見送って自室へと帰る。
「おにいちゃん持ってきたの!」
とメイが抱えてきたのは3つ。一つはマサルが遊びに作った船、もう1つはそれを真似てメイが作った船、もう1つは金魚のような何か…。
「まずはこれから…これは俺のを真似てメイが作ってみたんだな?…………でも、ここから水が入ったんじゃないか?」
魔道具の管を取り付ける穴が船体の中を通り、隙間がある為に見ただけで水没したであろう事が分かる。
「………そうなの。穴をあけるのがむつかしかったの。」
「確かになぁ…この穴あけはむずかしかっただろうなぁ。」
微妙に舌足らずなメイの言い回しに若干萌えながら、次の作品へと手を伸ばす。
「で…これは?なかなか個性だな。金魚?」
「お魚さんのお船なのっ!」
ビシッっと戦隊モノのヒーローの様にポーズを決めながら、メイの解説が始まる。
「あのねっ…ここを、お魚さんがぴゅーってなったら、すぃ〜ってなって、ここがねっ!すいすい〜って……[謎のメイ語なので略]………ってなるの!」
10分にも及ぶ熱烈な説明を解読すると、つまりはお魚さんの形を木の実の殻等を組み合わせて作ってみたけど上手く泳がなかった。しかし、ある時に沈んだお魚さんは木の実の中に水が入ってしまい何故か少しだけ泳ぐようになった………という事らしい。
「つまりは水が入ったおかげでバラストの効果になって船……っていうか、お魚さん号は安定したんだな。」
バラストとは船底にバランスを取る為に入れる重りで、大型船などは水を入れたり出したりしながらバランスを取ったりするのだ。
「でも、ちゃんと水が入らない様にして重りも適切な重さの物を入れてやらないとスムーズには動かないかな?…じゃあ、一緒にお魚さん号の2号機を作ってみようか。」
「あいっ!」
と眩い笑顔を見せるメイ。
「じゃあ、まずはこの木の実はまだあるかな?おっ、これか?まず、これを2つに割って…………。」
こうして、夕飯の時間を忘れる程に熱中して怒られながらお魚さん2号が完成したのだった。
木の実の中には動力の菅をセットする穴が丁寧に空けられ、その周りはバラストに入れた粘土で固められている。木の実が水を吸ったり、粘土が水に溶けたりしないように丁寧に赤い塗装の上からニスを塗っている。ヒレ等の部分は蟻の甲殻の薄い部分を加工して赤く塗装した。
見た目は完全に赤い金魚なのだが、お尻の部分から温泉のお湯を吐き出しながらフラフラ進む姿は何ともシュールだ。
「うん、スピードは胴体が丸いし水の抵抗が強いから遅いけどなかなか可愛く出来てるじゃないか。」
「お魚さん可愛いのっ♪」
小躍りするメイの方が可愛いと思いながら、まったり喜ぶメイを眺めるマサル。
「子供かぁ…………結婚が先だよな………。」
マサルの漏らしたその言葉は私室は見ないという約束を忘れてぼんやり見ていたビクティニアスだけが聞いていたのだった。
本屋でまったり本を眺めていたら、知らない幼児が私の足に寄りかかって背中を預け床に座り絵本を読み始めました。私は柱違うんやけど…と思いながらも、気にしたら負けとまったり本の立ち読みを開始…。
暫くしてふと足元を見ると、幼児は絵本を見ながら寝てました。流石に我慢出来ず、店員さんを呼びお母さんを探して貰う事に…子供可愛いし嫌じゃないけど、ご両親は外で目を離したら絶対アカンで!




