国益と税金と…。
もう2月なんですね。
可能な限り売れる物を売り払い、買い物を楽しんだ後、マサルはアクシオンとアデリナとの会談を行っていた。
「取り敢えずヴィンターリアには人口の問題もあって生産量だけを言えば他国に大量販売を行う力は無いし、税金を取るにしても先に民が豊かになるシステムを構築するのが先だと思っている。」
「しかし、国交における貿易とは互いに売り買いがなければ成り立たぬぞ。」
「そう、そこで我々ヴィンターリアの今の強みは何かと考えた。それは技術だ。」
「技術か…確かに卓越した武具や建設技術などは喉から手が出る程に欲しいな。しかし、良いのか?技術は一度売ると継続的に利益が出ぬぞ?」
「それにはちゃんと案がある。俺の育ったところでは発明品や新しい技術を守る為に特許という考え方がある。新しい技術などは一定期間その技術にも利益的にも開発者に権利があるという考え方で、勝手に技術の使用してはならないという事のんだけど…そこまでは分かる?」
「「何となく。」」
アクシオンもアデリナも微妙に首を傾げながらも何とか話について来ている様だ。
「で、使用したい時はその特許の権利を持つ人や団体に利益の一部を払う事で技術を使用するって感じなんだけど…。」
「ちゃんとその権利は守られるの?」
「こういった物はやるなら早い方が良いだろうなただ新しい技術の権利が守られない国は新しい技術が生まれにくいというのも間違いない事実だとは思うけどね。」
「なるほど、そういう考え方の普及をさせる事で技術開発の後押しにもなる訳じゃな。」
頭の回転が早くて結構である。
「これからヴィンターリアには絞り取られていきそうだな…。」
アクシオンの呟きにアデリナがマサルの顔を見る。ここからが暫くヴィンターリアの国益の基準が決まるので心配なのだろう。
「あまり高い権利料は取らない様に特許使用における最大の利益率なども決めてしまいましょう。」
マサルの言葉にアクシオンとアデリナの目の色が変わる。
「権利期間10年で20%じゃな。」
「権利期間20年で15%ってところじゃない?」
マサルが頭を抱える…そんなに利益から抜くと末端で働く者たちの生活が成り立たない。
「権利期間は30年で、最初の3年は10%、以降10年までは7%、以降が3%ってところだな。」
「「う〜ん………。」」
「だいたいグレイタス王国の7公3民ってナメてんのか!?せめて6公4民だろ?」
「………ヴィンターリアの将来は……?」
「3公7民だな。もちろん、高所得者と低所得者では税率を変える!」
アクシオンもアデリナも頭痛がしだした様だ。因みに7公3民というのは年間の利益全体の内7割が税金で取られ、3割が手元に残るのだが、農民の場合はそこから収穫物をお金にする為に更に商人に3割程を持っていかれるのだ。
「豊かな経済っていうのは下の方の民までもがお金をちゃんと使い、お金が回ることを言うんだ。民の為に国があるんだ!国の為に民を使い捨ててどうする!」
「いきなり6公4民には………ちょっと………。」
「急にしろとは言ってないからな…そうだな10〜15年後を目指して制度を整えてみろ、相談には乗るから。」
「それでもちゃんとすれば今より豊かにはなる算段はあるんだろう?」
「技術が上がって作業が楽になり、物の品質を上げる方向で働くんだ。豊かにならないと困るだろ?ただ、貴族連中の無駄な見栄なんかの為に金を垂れ流す様は何というか…醜い。もっと機能美に目覚めて欲しいな。」
「そういう意味ではマサルの神殿は飾り気が少し足りないわよね。」
「俺の居住空間と考えれば多いけどな。…おっ、そういえば例の等身大ミスリル像出来てるぞ?何処に置く?」
勿論、ビクティニアスとアイラセフィラの像である。天然石の台座付きで、中を空洞にしていないそれは嫌がらせの様な重量となっていて、盗難対策だけを考えると抜群なのである。
「等身大なのか…ふむまだ神殿の建設には乗り出したばかりで置ける場所が無いのぅ。」
「じゃあ、仕事に発破をかける意味合いでも朝議でも使うという議会場に取り敢えず置いとくか。」
「マジ勘弁して下さいっ!!」
アクシオンは流れる美しい土下座を見せ、なんとかマサルのアイテムボックス管理として貰ったのであった。
今日は本屋さん巡りをして帰っている時に久しぶりのヒッチハイカーを見つけ乗せました。
オーストラリアの女性で目的地を書いていたボードには65km先の地名が…お察しの通り用もないのに送りましたよ。移動だけで片道一時間半w
途中、日本のラーメンが食べたいと言うのでラーメン屋に寄り、温泉は近くに無いですか?と言われたら温泉施設へ…「入らないデスカ?」と言われても一緒には入れませんよ?40分車で荷物番しながら待ってましたよ…。