会食
「むぅ………。」
「どうした?美味しくなかった?」
「美味しかったけど………青い蟹じゃなかった。」
「青い蟹?………あぁ、あのロブスターか…あれは蟹じゃなくて海老だって言っただろ?それにこの人数で食べるのを考えるとな…。」
ビクティニアスが食べたいと言っているのはポータリィム付近の浜で地引き網で捕獲した小さいもので体長5m以上ある青いロブスターだ。
「お姉様大変美味だったので宜しいではありませんか…。」
「………むぅ………だってぇ………。」
「分かった分かった、ヴィンターリアの建国の儀式の後はお祭りにして贅沢にたくさん使って皆で食べよう。それで良いだろ?」
「本当!?約束だからね!」
あまりに人間味溢れる会話に王家ファミリーズ(アデリナとザーグ、アクシオンと王妃と姫の5人)は目をパチクリさせながら話を聞いている。さらっと建国に関するイベントの内容が決まっていっているのにも誰も気付かない。
「だとすると3日くらい建国祭にして色々な料理を食べれる様にした方が良いんじゃないか?」
「うっ…確かにじゃないと俺はずっと料理してなきゃならなくなるな。そうしようか。」
ゼラフィティスの提案もあっさり決まる。
「なら初日は前夜祭、2日目に建国祭、3日目が王の祝福の儀と結婚式ですかね。」
「スケジュールの密度的にはそんなものじゃないかな…準備期間はそれなりに必要になりそうだな。アクシオンやランスロットも手伝ってくれるだろうしな。」
「お…おう、任せてくれ。」
続いてアイラセフィラの提案も決まる。何気無くアクシオン王も流れで巻き込まれる。
「それって………わたしたちの結婚式よね?」
「「「「他に誰が?」」」」
「いえ、何でもないです。」
アデリナはマサルと3柱の神様によって撃沈された。
「そういえばマサルは結婚はしないのか?」
「「「「…………………………」」」」
一斉に黙ってしまうマサルと神々に場の空気が重くなる。そして、アクシオンには無言で王妃と娘からボディブローが入る。
「ぐふぉ!?………いや、何でもありません…儂が悪かったです………。」
再び続く沈黙。
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「「………結婚かぁ………。」」
ふいに呟いたマサルとビクティニアスの言葉が完全に重なる。
「「…………………………………。」」
「じゃ………じゃあ、今夜の食事はそろそろお開きにして解散しましょうか。」
「そ………そうだな。マサルも片付けとかも有るだろうし。」
アイラセフィラとゼラフィティスの言葉に、ビクティニアスはそそくさと立ち上がる。
「そうね、今日はごちそうさまマサル。今度はあの青い蟹を忘れないでね!」
「蟹じゃなくて海老だって言ってるだろ?ザリガニの仲間らしいからなロブスターは。」
「ふふっ…別にどっちでも良いじゃない。美味しいんでしょ?」
「多分な…まぁ、ちゃんと料理にする前に一度お試しするからそん時にでもまた来いよな。」
「楽しみにしてるわね。」
「あぁ……頑張って料理するよ。」
「じゃあ、またね!帰るわよアイラ、ゼラフィティス!」
「では、ごちそうさまでした。美味しかったですよ。」
「また食べに来るな!」
3柱の帰った後、マサルは何だか凄く寂しく感じていると。
「なぁ、マサル………さっきのって………。」
ザーグが何やら聞き出そうに声をかけるが
「まったく………この馬鹿な男共は………要らない事に首を突っ込まないの!」
うんうんと頷く女性陣。まさに触らぬ神に祟り無しというヤツなのである。
「ザーグ………多分、帰ったらランスロットがヴィンターリアで待ち構えているから頑張れよ。」
マサルの僅かながらの反撃はザーグに眠れぬ夜を与える程に効いたのは余談であろう。
やっぱり蟹が好きな女神様でした。そのうち書くからマサルの結婚とかに関する話題はスルーで(笑)
結局、作者が蟹や海老が好きなんだろ?と言われると言葉もありませんがね。因みに、作者とお酒を飲みたいと言われても喫煙、飲酒、博打どれもしないので…お酒飲むんでも失恋話を肴にするんじゃなく楽しく飲みましょうよ(*´ω`*)