重鎮たちとの会議 5
「という訳で、改めて紹介します。ビクティニアス、アイラセフィラ、ゼラフィティスです。ご意見、質問等は後程よろしくって事で…えっと、今回は建国と王への任命の祝福に伴い彼女たちに来て貰いました。」
「ここでやるのか…?」
アクシオン王が首を傾げる。
「取り敢えず、対外的で簡易的なモノをこっちでして正式な式典はヴィンターリアの神殿で執り行うという事でビクティニアスたちと話がついてる。」
「そ…そうか…。」
マサルとアクシオン王の会話に重鎮たちは顔をひきつらせている。普通は国の根幹に関わる王の継承の儀などでも何度も神が降臨する事はないのだ。
「じゃあ、ビクティニアスたちよろしくっ!」
「わかったわ。ではグレイタスの王と民たちよ。ここにビクティニアスの名においてヴィンターリアの建国を許します。」
「アイラセフィラの名において、アデリナを初代女王として命じます。」
「ゼラフィティスの名において、ザーグをアデリナの王配として新女王を支えていく事を命じます。」
「「ぶっっ!!??」」
アデリナとザーグが一斉に吹いた。
「ななななななんでっ!?」
「ちょっとマサルどういう事なんだ!?」
「いや、建国と女王の任命はともかく最後のは知らんぞ?」
アデリナとザーグがパニック状態でマサルに詰め寄るがそれを制止して、ゼラフィティスに説明しろよ!と睨み付ける。
「いやぁ…ヴィンターリアをザーグ君が離れる時に彼女と恋文を交換していたから後押ししてやろうと…。」
いきなりの暴露にアデリナとザーグ両名は今にも爆発しそうなくらいに顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。
「お主…他所の女王候補に何をしていた…。」
アクシオン王は違う意味で肝を冷やしていた。
「いや、アクシオン…その時にはまだ建国の話が出てなかったんだ。だから、当時は女王候補じゃなかったんだよ。まぁ、神の後押しがあるくらいなんだから良いんじゃないか?」
「そうじゃな…神が直々に祝福してくれる夫婦はそうそうおらぬからの…。」
アクシオン王も納得してくれたのか、胸を撫で下ろす。
「で、ゼラフィティス………本音は?」
マサルの追撃。ビクティニアスたちが呆れ顔を一瞬したのをマサルは見逃していなかった。
「………それでも祝福しないとオレの出番が無いし。」
今度こそ全員が沈黙した。
「………でも、これで当面の後継者の問題は解決しますわ。」
「そうだな…良い方向で考えるか。アデリナもザーグも良いか?嫌だと言うなら今だぞ?」
「いえ…お受け致します。」
「オレ…じゃない、わたしもお受け致します。」
当然、異論もなければ断ることも出来なく、2人は膝を折り頭を垂れる。
「じゃあ、そういう事で良いかな?ゼラフィティス、頼んでたやつ宜しく!」
「あいよっと…ほい、出たぞ。」
会議場の壁に写し出されたのはこの大陸の大まかな地図で現在の国の国境線も描かれていた。
「で、ここがグレイタス王国で、こっちがバゼラールカになるんだけど…こっちの未開の土地を中心とした土地がヴィンターリアになる予定なんだけど、アクシオン良いかな?」
「わたくしには異論御座いません。」
「他の人たちも良いよね?」
マサルの問いかけに1人の貴族が立ち上がった。
「お1つ宜しいでしょうか?私が見たところ、我々グレイタス王国の土地がヴィンターリアになっているところがある様ですが、マサル殿はそれをどうお考えでしょうか?」
「うん。そうだね、それに関しては…。」
「どうせグレイタス王国も管理も利益も出せていない土地なんだから良いでしょ?何か問題あるの?」
マサルの言葉を遮り答えたのはビクティニアス。少しイライラしている様だ。
「いえ…御座いません。」
平服する貴族。うむ、かわいそうに。
「それじゃあ、わたしたちは帰るから!」
「ちょっとお姉様!?」
「…早く帰ってドレス選びたいの!」
「………ドレスですか?」
思わずアクシオン王が呟く。
「今晩はマサルが一緒に食事しようって言うから準備するのよ。聞いているでしょ?」
「ビクティニアス………まだ言ってないから。」
「そうなの…じゃあ、まだ何かある?」
「………いや、後は俺が何とでもするよ。ビクティニアス、今夜は素敵なドレス姿を楽しみにしてるよ。アイラもな。じゃあ、また夜に。」
「ちょっとオレは!?」
「あぁ…ゼラフィティスも宜しくな。時間厳守で宜しく。」
そして神様が帰ると会議場の中は静寂に包まれる。
「という訳で、アクシオンは奥様と娘さんがいるんだっけ?」
「…えっ?あぁ…。」
「一緒に参加で。アデリナとザーグも参加だからな。アクシオンは2人の衣装もどうにかしてやってくれ。」
「そうだな、任せろ。じゃあ、2人は儂と共に準備だな。」
「あと、調理場は借りれるか?人は要らん。俺が作るからな…ビクティニアスからリクエストは来てるんだ。あと会食する為の会場になる静かな場所で…音楽も俺が用意するし給仕も俺がするから手配だけ宜しく。」
「あぁ…創世の女神直々の要望か。手配しておこう。」
「という事で皆さんお疲れ様でした!解散!」
アクシオン王はアデリナとザーグを引っ張って連れ出し、マサルは知らん顔で出ていく中、暫く他の者たちは動けず唖然としていた。
アデリナさんの結婚まで決まってしまいました。相変わらずの酷い展開です(笑)重鎮たちは泣いて良いと思います。
何やら皆さん私の日常が少し気になったりしてます?去年は迷子の保護3人、路上トラブル(自転車や自動車の故障)3件、一番酷い思い出は大型のショッピングモールで車を何処に置いたか分からなくなった女性の車を一緒に探した事ですかね…記憶とは違う階の違うエリアにあり、発見までに40分かかりました。そんなの結構日常ですね…。