【side story】ザーグと部下達の一問一答
「あの人達は一体なんなんだ?バゼラールカの民の救援にバゼラールカ王都へ行くと空き地になっているし、あの化け物のような決闘…漁を始めたかと思ったら、蜂の魔物との防衛戦…それも小隊規模で解決してくるし…。」
「おれ…自信なくしたよ。少し前までグレイタス王国の精鋭だという自負があったのに今や小物臭しか自負から漂ってる気しかしないわ。」
「そもそも何であのマサルって人に言われたら王が部隊を出すんだ?」
「オレ見ちゃったんだよ…あのマサルって人が海で手のひらを岩に向けたとたん岩が吹き飛んで大量の魚が浮いてきたのを…。」
「そういやあの人…鍛冶小屋にこもって怪しげな事してたって聞いたぜ。」
ポータリィムを離れる直前、部隊内で出てきた部下達の呟きに頭を抱えていたのは一応といえど300人の部隊の責任者とされたザーグだ。どれもこれも真実なのが頭が痛い。
「で、お前たちはどうして欲しいんだ?」
ザーグが発した言葉に皆は何か考えるのが見てとれるが、そもそも出陣が空振りに終わったのはともかく不満があるわけでは無い一行はどうして欲しいという要望が特にある訳ではない。
敢えて言えば………。
「で、あのマサルって何者なんですか?」
これに限るのである。
「何者って何が知りたいんだ?」
始まる一問一答。
Q「何をしてる人ですか?」
A「獣人たちと街を作っていて、そこの代表だ。」
Q「グレイタス王国の人ですか?」
A「いや、何処の国にも所属してない。彼も街もだ。」
Q「それって大丈夫なんですか?」
A「こちらから手を出さなければ大丈夫だ。」
Q「えっ?…グレイタス王国の支配下には出来ないって事ですか?」
A「出来ない。やれると思うならやってみればいい…ただし国は一切関わらない。因みにオレは縛られて笑顔で太腿にナイフを刺されて治癒魔法をかけられて刺されて治されてといった風に教育を受けた。」
顔色が青白く変わっていく部下たちに苦笑し、質問を続ける様に促す。理解してくれて良かった。
Q「味方なんですよね?」
A「そうだよ。だから敵にならないでくれ…誰も擁護してくれないからな。上司だからって君たちに味方してアレと敵対するなんて思わないでくれ。アレと敵対するならここの全員と敵対して戦った方が色々と可能性がある。」
Q「あの人とグレイタス王国なら?」
A「ぶっちゃけマサルだ。アクシオン王もアレだけは敵に回さないから比べる意味はないけどな。」
Q「………安全なんですよね?」
A「味方のうちはとても優しいし、面倒見が良いな。一般人でも王様でも同じ様に助けてくれるさ。」
Q「一般人と王が同じ扱いですか…。」
A「あぁ、同じだ。」
Q「これからオレたちどうなるんですかね?」
A「………1番教えて欲しいのはオレだよ。取り敢えず王都に帰る前に獣人の街に行く事は決まった。皆も色々と見て勉強して欲しい。以上だ。」
取り敢えず最悪の展開にはならないだろうと安心出来たザーグはその日久々にゆっくり眠れたのだった。
年末は忙しいのでサイドストーリーが多いのは許して下さいませ。




