やっぱりチートでした!
二人は何だか甘い野草のスープの昼食を食べ終わると同行をお願いする前に跳ぶようにして森へと消えてしまった。仕方なく二人のお母さんのルルさんに解体用のナイフと薪用の鉈をお借りして一人で森へと足を踏み入れるのだった。
「まずはステータス欄の最初からかな《剣術2》と《体術2》《治癒魔法1》は今は検証のしようがないから放置として、最初は《鑑定3》かな?取り敢えず借りたナイフと鉈を鑑定っと。」
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【簡易なナイフ】
生活に使用する解体用のナイフ。鉄製だがあまり強度はないので力を入れる作業には向かない。
【簡易な鉈】
汎用の鉈。枝落としなどに向いていて薪を割る作業には強度的に不安がある。重さも女性が使いやすい軽量のものである。
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「壊さないようにだけ気をつけよう。にしても道具からだいぶ不足してそうだな。次は《解体2》か…解体するもの…ホブゴブ君?ゴブリンを解体して何を取るんだよ…。これも放置決定。次の
《採掘3》も掘るには鉱脈がないしな…次は《伐採1》か…。この鉈じゃあ無理だよな…。あれ?」
ステータスメニューのスキル欄をみていると急にスキルの詳細画面に切り替わる。
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《伐採1》
木を切る為のスキル。木を切る時に補正がかかる。道具がなくても魔力を消費して切断することも可能だがコストは悪い。
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「道具要らずか…取り敢えず一度やってみるかな。適度な太さの真っ直ぐな木…これくらい?駄目ならまた考えるとしてっと。」
直径40cmくらいの太さ木の前に立ち出来るだけ下の方でスキルの発動を念じる。何かが身体から消費されていくのを感じる。
「…………?何ともなってないけど…?あれ?って、ちょっと待った!ちょっ!」
実は切れてて触ったら倒れてきました。俺の方に…何でああいう時って人がいる方に狙いすましたかの様に倒れるんだろね?咄嗟にアイテムボックスに収納した自分を誉めてあげたい。
「死ぬかと思った。地味に発動した癖に魔力231のうち40も減ってるし…日に5〜6本か…ていうかスキルレベル1で普通に切れるなら上がるとどうなるんだ?まぁ、良いとしよう。次は《農業3》育てる場所も無いし種や苗も無い。…《鍛冶2》も鉱石もインゴットも無いからスルー案件だな。《石工4》はさっき道具無しに物が作れたし何か出来ないかな?詳細はっと。」
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《石工4》
石の加工に補正がかかる。石材の切り出しや表面加工、穴空け加工、石材の密度の操作など様々な事が可能。道具がなくても魔力消費で使用出来る。
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「やっぱり道具無しでいけるのか。でも加工する石が…あ、確かアイテムボックスの中に!」
アイテムボックスの中から石を一つ取り出す。
「じゃあ、取り敢えず立方体に…うりゃっ…ほっ!出来た!」
手のひらには拳の半分くらいのサイズの石ころが一辺が2cmくらいのサイコロの様になっていた。まだかなり表面はザラザラしている。消費魔力は19と…木を切るより複雑な事をしたのに消費が少ないのはサイズとスキルレベル依存だろうな。
「次のスキルは…《木工4》か。えっと…。」
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《木工4》
木の加工に補正がかかる。乾燥、切断、表面加工、穴空け、溝彫り加工等様々な事が可能。道具がなくても魔力消費で使用出来る。
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「じゃあ、さっきの木を出してっと…これ乾燥させんの?」
直径40cmの木は幹が太く大きく枝別れして真っ直ぐ材料が取れるところまでで考えても4mはある。体積にするとかなりの質量だ。
「思ったよりデカいな。乾燥でどれくらい歪むか分からないから枝とか落とす前にするか、後で可能なだけ大きく材料に使いたいからな。ほら乾燥しろっ!」
どんどん魔力が身体の中から消費していくのが分かる。まず葉っぱが枯れて落ちていき全ての葉が落ちきっても魔力は容赦なく消耗されていく。あ、ヤバいと思った次の瞬間ふらりとよろめき横たわる木に抱き付く様に倒れこんでいた。
「これが伝説の魔力の枯渇か。しんどい…。」
動けるまで5分ほど倒れた木が恋人でした。…可愛くない。
木は濡らしたり乾燥させると歪みます。真っ直ぐだった木が曲がったりする事ありますよね?なので木材加工して使う場合は通常寝かせてよく乾燥したものを使用します。中の水分が多いと腐りやすいですしね。




