ナックル
「あ、そういえばナックルは国に帰らなくて良いの?」
「きゅ、急に何ですか?」
魚を焼きながら思い出したかの様に言うマサルに動揺するナックル。
「いや、愛国心があって王国の早期復興を望んでいるのかな?と思ってね。」
「愛国心はあるに決まっているじゃないですか!」
…そんなに怒らないで欲しいものである。
「へぇ…愛国心とか俺には分からないからその辺りは置いといて…。いやね、誰かバゼラールカに帰って王家の生き残りがいて復興に尽力しているとか言わないと勝手に向こうで時期国王とか決まっちゃうんじゃないかな?と思ってね。」
「それはその通りですが…それを自分がですか?」
「だって、俺の知ってる人にバゼラールカの人はスレイとナックルしかいないし、スレイが行けないならお前しかいないじゃない?護衛はランスロットに言って適当なの付けるからさ。」
「わかりました。では、明日の早朝からでも出発させて頂きます。」
「準備の方はしとくな、馬と馬車と同行者に水と食料だな。まぁ、今日は適当に魚で楽しんでくれ。」
「了解しました!」
ビシっと姿勢を正すが別にマサルは上官ではない。しかし、ナックルの中では突然に先の見えない中で自分たちの意思で動く事になって、戸惑いと不安が多かった中で、明確に自分のやる事を示してくれたのはマサルの考える以上に有り難かったのである。それが多少難題でも。
ナックルが少し離れていき、スレイと話しに夢中になり始めたのを確認してから後ろで話を聞いていたランスロットと打ち合わせを始める。
「………という事だから護衛の選任宜しくな。グレイタス王国としては今この2人に貸しを作っておくのは悪くないと思うぜ。」
「あぁ、むしろ馬鹿な戦争やらなんやらを考えなくて良いなら国内も少し落ち着くだろう。うちの王も変な考えを起こさないでくれたら良いのだが…。」
「それは問題ない。アクシオン殿にはしっかり釘をさしておいたからな、彼が存命中には国土拡張なんか考えずに国内の開発に取り掛かるってよ。」
「くっくっく…こうなると一国の王も形無しだな。おかげで楽な生活が出来そうで助かる。しかし、どうやってあの王を説き伏せた?」
「それはだな…謁見の間にビクティニアスとアイラセフィラを招待したのさ。2人の女神降臨で一発で落ちたよ。」
「………………………お前はいったい。いや、余計な事は聞かないでおこう。やぶ蛇なんかゴメンだからな。」
さっきまで何かの黒幕気分で悪い顔をしてたのに急に酔いがさめたみたいに大人しくなるランスロット…。
「そうだな、先日もポータリィムの宿舎の屋根の上に来てたけど気にすんな。」
「ちょっと!?凄い気になるんですけど!?」
「お前が気にするところは別にあるだろ。ちゃんと仕事してないと国とかは別に良いけど神様にはバレバレだからな。」
顔を真っ青にするランスロット。意外と信心深いようだ。
「因みに、あの青いデカい虫みたいなヤツな。あれはビクティニアス達の宴会用に使うから未だに諦めきれない様に海をみてる部下はどうにかしとけ。そんなにあるのにみたいな目で見られてもやらんからな。」
「…あぁ、ちゃんと躾とく。アレを創世の女神様が食べるのか…大丈夫なのか?」
「こっそりとお前には滞在中に同じようなの食わせてやるよ。さっきの網に何匹か、蟹も海老もヤドカリもいたしな。」
「っ!本当か!楽しみにしておく。」
「他のヤツ等にバレるなよ。魔法無しの力比べだとあのロブスターは無茶苦茶に力が強いから死人が出るぞ。あの鋏は盾も鎧もグシャグシャに潰してしまうからな。じゃあ…明後日の夜にウェイドと一緒に打ち合わせと称して2人で来い。仕事の後に食事を用意しとくからな。」
「仕事はあるのか…。」
この男は餌で仕事させるのに限るのである。今回の事を期に街同士の交易も始まりそうだし、仕事は頑張って貰わないといけないのだ。
「あぁ…早く帰って神殿完成させないとなぁ。」
仕事が互いに山積みなのだ。
感想でご意見頂きましたがタツノオトシゴってトビウオの仲間なんですよね。大きかったら美味しいのでしょうか?昔から気になってはいますが試す機会も勇気もありません…漢方に使われたりするらしいですけどね。
↑どうやらトビウオではなくトゲウオらしいです。




