第四十一話 北の地へ 前編
「あら、おかえりなさい」
ドアを開けると、フィナが出迎えてくれた。
それにしても今日は疲れた......
今何時だろう?
俺は懐中時計をふと見た。
すると、針は夜の八時を指していた。
「そうえば、エレアは?」
俺が聞く前に、リアンがフィナにそう聞いた。
「エレアなら今入浴中よ、ちなみにシン達は夕飯は食べたの?」
「いや、まだ食べてないよ」
「なら私が作るわ!」
そういうとフィナは目を輝かせて着ているローブの袖をまくった。
「本当にいいのか?」
「別に気にしなくていいよ、食料は十分余裕があるし」
そういうと、子供の様に浮かれながらフィナはキッチンに向かった。
後でお礼を言わないとな。
俺はそう思いながらリアンと一緒に椅子に座ってフィナの手料理を待った。
すると、エレアが部屋に入ってきた。
「あ、おかえり、さっきフィナが嬉しそうにキッチンに向かっていたけど、何かあったの?」
「ああ、フィナが俺達に夕食を作ってくれるみたいで......」
俺はそう言うと、エレアは手に持っていた櫛を落とした。
「......他に何か言ってた?」
「特に何も、リアンは何か聞いたか?」
「夕食作ってくれること以外は何も聞かされてないわ」
そう言うと、エレアが小さい声で呟いた。
「実はフィナは、複数料理を作ると必ず一つ失敗するのよ」
「「は?」」
俺とリアンは思わず声を上げた。
「前に何回かフィナに料理を複数作ってもらったんだけど、その内の一つに必ず失敗作があるのよ」
「失敗作って、別に食べれないわけじゃないだろ......」
そう聞くと、エレアは首を横に振った。
「確かに最初は私も思い込みだと思って何回か試したわ、だけど毎回それを口にした途端に意識を持ってかれたわ」
「え、でもそれ本人はそのことは自覚しているのか?」
「ええ、だからそれを克服するために時々私の所に料理を習いに来ていたわ」
何か急に食欲がなくなってきた。
「でも外れ以外は凄くおいしいよ、フィナの手料理は」
そう言っている内に、フィナが夕食も運んできた。
「お待たせ、取りあえずサンドイッチとビーフシチューを作ってみたわ」
見ると、さっきの話が嘘のように思えるぐらいおいしそうな料理が運ばれてきた。
「それじゃあ、いただきます」
俺と最初にサンドイッチを口にした、ハムに野菜をパンで挟んだ普通のサンドイッチだった。
「うまい!」
「本当!?」
フィナはそう聞いてきた。
「ええ、本当においしいわ」
リアンがフィナにそう答えた。
あれ、リアンはサンドイッチではなくビーフシチューに口を付けていた。
もしかして今回外れ無し?
俺はそう思うと、心が軽くなってついビーフシチューに口を付けてしまった。
すると、口にした瞬間に俺はその場に倒れ意識を失った。
どうも、黒密Ξです。
ようやくテストが終わりそうです。
終わったら投稿が少し早くなると思います。




