表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/50

第四話 決断の代償

「なんだここは?」


俺は、宿のベッドで確かに寝ていたはず。

なのに、今の俺の目の前に広がる景色は、気持ちのいいそよ風の吹いた草原だけが、目の前には広がっている。

だけど凄く居心地はいいな、だけどなんでここに俺はいるんだろう。

俺がそう考えていると、目の前に突然ユーリが現れた。


「やあ、元気そうだね」


ユーリは、相変わらずの笑顔で話しかけてきた。

しかし、今回は紅茶は持ってないようだ。


「ユーリか、一体ここはどこなんだ?」

「ここは君の夢の中、君と数少ない話せる場所のうちの一つだからね、ここは」


ユーリの目は、どこか遠くを見るような目をしていた。

しかし俺に一体何の用で夢の中に来たのだろう?

そう思っていると、ユーリはその心の声の質問に答えた。


「心配しないでいいよ、今回は君と話に来ただけだから、といっても君には確実にメリットになる話だよ」


ホントに心の声だけで伝えたい事が伝わるのって、便利だけど何か味気ないな。

てか、俺にメリットのある話ってなんだろう?


俺はそう思っているとユーリは、口を開いた。


「一つは君の今のこの世界に対して思っていること、二つ目はそれ次第で決まるよ。」

「一つ目の質問は、今の僕は君を元の世界に返すことができるんだよ」


何か凄く重要じゃないですか!?

これ返答次第では、また俺の運命が決まる選択肢ってことだよね?


「そしてここからが本題、今の君は元の世界に帰りたい?」


やっぱり重要な質問じゃあないですか。

まあ、でも今回は前みたいに苦労して選択はしないけどね。


「おや、そうなのかい? なら君の答えを聞かせて欲しいな」


そう言われると俺は、迷い無くこう答えた。


「今の俺はこっちの世界に充実感を持っていて、もう今さらもとの世界に帰ろうとは思わないよ」


そう答えるとユーリは一瞬驚いたが、直ぐにまた直ぐに微笑んだ。


「それが君の選んだ道なんだね?」


俺は心のなかで、そうだと頷いた。


「わかった、そして二つ目は君の能力のアップグレードだよ」


アップグレード? 今でも半分チート気味なのにそれの強化とか他にどこを強化するんだろう?


俺はそう思っているとユーリは、いつも通りに答えた。


「今の君には、まず魔力がないよね?」


確かにそうだ、この世界には魔法があるみたいだが、俺にはあまり必要ではないと考えていた。


しかし、実際に見てみると少し便利だと思った、何故なら魔道具には、ある程度の物は魔力がない者でも扱えるのだが、一部の道具には自分の魔力を代償として使える魔道具も存在していた。


「まずアップグレードの一つは、君の能力に付け足しで魔力有り無し関係なく魔道具を自由に使えるようになる能力を付け足すよ」


何か、本格的にチートっぽくなってきたな、それだけでも苦労しない気がする。


「そしてもう一つは戦闘スキルを基礎的に上げる位かな」


わぁ、てんこ盛りじゃないですか。

しかも戦闘スキルなら、魔物からも素材を得られるようになる。


「僕が今の君に出来ることはここまでだよ、後は自分次第だよ」


ユーリがそう言うと、視界がぼやけてきた。


「ハッ......!」


俺はいつの間にか目が覚めた、今の時間を部屋の置時計で確認すると、八時を指していた。

確か宿の契約は、今日までだったよな。

とりあえず俺はいつものように朝食を食べに行き、宿を出ようとした、するとエレアが少し悲しそうに話しかけてきた。


「あの、もう行かれてしまうんですか?」

「まあ、この国意外にも色々回りたいし、またここには戻ってくるよ」


そう言うとエレアは、いつもの表情に戻り昼食のサンドイッチを持たせてくれた。


「そっか、シンが決めたことなら私は何も口を出さないよ、でもこっちに戻ってきたときは絶対また来てね!」


俺は彼女の言うとおり、いつかまたここには戻るだろう、俺は今のこの想いを忘れまいと心のなかで思った。

そのあと、俺は魔道具屋に行き、依頼の解毒薬五個を渡して蒸留水の涌き筒を貰った。

そして俺は、解毒薬と一緒に作っていたランク三回復薬を小さな薬屋に持っていった。


「ほおぉ、お主この前と違って顔つきがかわったんじゃないかの?」

「一日位じゃ何も変わってねーよ、それより持ってきたぜランク三の回復薬を八個作ってきた」


すると爺さんは、鋭い目付きで薬を見て、それが本物だとわかると表情が戻った。


「確かにこれはランク三の回復薬じゃ、約束通り全部買い取ろう」


そういい、爺さんは懐から銀貨二十四枚を取り出して、袋に入れて俺に渡してくれた。


「にしてもお主、いい腕しとるわい。」

「まさかランク三の回復薬を八個を一日で用意するとは、普通ならランク三の薬草師ならどんなに調子が良くても五本が限界じゃ、一体どこで習った?」


そう爺さんが言うと俺は、少し嘘を交えて答えた。


「師匠は俺がまだ幼い頃に他界しました、けど腕はいいと言われていて自分なりに修行して、今の俺がいます」


自分で言ってて何だけど少しって量じゃないな、と言った後に俺は思った。


「そうか、なんかすまないな、悪いことを聞いて」


いや、実際そんな事ないから逆にこっちが謝りたい。

なぜだか、凄く心のなかで罪悪感が沸いた。

俺はそのあと薬屋から出て、銀貨四枚で非常食とランク三の薬を入れるコルク瓶を仕入れた。

俺は、必要な物を一通り買い、門の前で門番に通行証を見せてこの街を後にした。

なんだかんだ言って今の俺は、今まで選んだ選択肢の積み重ねで成り立っているんだ、となれば俺はあのとき悪戯だと思って行った行為も今ではあれを選んでよかったと思っている。

そう考えていると目の前に、何故かボロボロの服を着た十五歳位の銀髪の少女が倒れてた。


「大丈夫か!?」


俺は、真っ先に駆けより彼女の様態を確認した。

所々傷を負っていて、とても動けそうではなかった。

とにかく俺は、彼女にコルク瓶の回復薬を飲ませて急いでテントをリュックから取り出して組み立て、彼女を寝かせた。


「はぁ、お腹すいたし何か作るかな?」


俺は、パンの上に干し肉とチーズを乗せて網戸を使って焼いていた。

すると匂いにつられたのか、彼女が起きてテントから出てきた。


「ここは一体、それにあなたは誰?」

「俺は華崎秦、こうして旅をしてるただの薬草師さ」

「私は、リアン・シュトリ、助けてくれてありがとう」


彼女は笑みを浮かべてそう言った。


「それより何であんなところで倒れていたんだ?」


そう聞くと、彼女は北のレイアム大陸のシベロゼアから来た事が分かった。

しかし、何故あそこで倒れていたのかまでは、教えては貰えなかった。


「もしよければ、一緒に旅をしないか?」

「え? でも私は魔法しか使えないよ?」

「むしろ俺は魔法が使えないから、いてくれると助かる」


正直な話、魔道具は使えても魔法が使えないのが今の俺の欠点なのだ。

だから魔法が使える人は、仲間に欲しかった。


「分かった、じゃあ私の事はリアンでいいわ」

「なら俺の事は秦でいいよ」


俺は、旅をする仲間が増えた事に笑みを浮かべた。


取り敢えず仲間は増えたが何処へ行こう?

そう考えていると彼女が話しかけてきた。


「何考えているの?」

「今後の予定だよ、実は今行くところを決めてないんだ」

「そうなの?」


俺は色々考えている内に彼女は、一つ提案した。


「もしも行くところが無いならトラリィアとかどうかな?」


トラリィアって確か南のレイアム大陸にある国だよな、まあ行くところはないし行ってみるか。


俺はリアンの提案に乗り、トラリィアを目指して歩き始めた。

どうも、黒密Ξです。

今回は、敵と戦う様なシーンが浮かばなかったので、主人公自身の選択の心理戦をイメージしてみました。

初心者ですが次回も宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ