第十一話 偽物の国王
あれ,目の前の人が国王?
確かに普通じゃないなと思っていたが、どう見ても俺達と変わらないじゃあないか。
目の前には、金髪で俺達と変わらないくらいの歳の王が座っていた。
これにはリアンも驚いて口を開けていた。
「やあ、よく来てくれたね、僕がクラット王だよ」
しかも話し方がユーリとどことなく似ているし。
「ん? どうしたんだい?」
そう聞かれて俺は何でもないと答えた。
「あ、もしかしてもっと年齢が上の国王だと思った?」
俺は正直に頷いた。
すると、クラット王は微笑みながら話した。
「実はこう見えて王をやっているけどあまり他の人は信じてくれないんだ」
まあ、なんとなくわかる気がするがこの人が王なら、なんとなく市民に好かれるのもわかる気がする。
だけど今回は、ツアーで少し被害が出てしまったし一体どうするのだろう?
「でも君たちは信じてくれてうれしいよ、そして本題の今回のツアーの件なんだけど......」
「今回は特に誰か怪我とかはしていませんよ」
そういうとクラット王は、ホッとした表情をしていた。
「あれは、本当に申し訳なかった、あれはこちらの不注意で起きてしまったんだ」
「不注意?」
そう言うとクラット王は、真剣な表情で説明した。
「実をいうとあのツアーを開くことは了承していたんだけど、明日行う許可は出していなかったんだ」
ていうことは、兵士が勝手に行ったのだろうか?
「兵士たちに聞いたりもしたんだけど、王の命令で行ったと言っててね、ご丁寧に偽物の許可証まで証拠品として持ってきたよ」
そういい、クラット王は本物と偽物の許可証を見せてきた。
見た感じどちらも同じように見えるがどこが違うのだろう?
「見た目はほとんど似せて作られているけど、違いは印鑑の大きさなんだよ」
そういうと、執事が印鑑を持ってきた。
確かに印鑑の跡が本物より偽物の方が少し大きかった。
「これがどこから出回ったのかを今探しているんだ、王の印鑑は複製を禁止しているから見つけたら裁判関係無しで無期懲役だよ、最悪の場合は海に沈めるよ」
うわ......微笑みながらえげつない事言っているよ。
でも実際そこまで甘くすると色々やばいだろうしな。
まあ、今回の犯人が誰なのかは知らないがまあ不正しなければ関係のないことだ。
「といっても、これは抑止力みたいな感じで言っているだけだから実際に海に沈めた人はゼロ人だよ」
流石に海に沈めた人はいないのか、まあそんなことしたら今の王のイメージが下がるし、できればやりたくないのだろうな。
「おっと、僕としたことがらしくないことを言ってしまったね、もう遅いし今夜はここに泊まっていくといいよ、もしよければ一緒に夕食でもどうかな?」
それを待っていましたよ! 正直もう満腹ゲージがエンプティーが鳴っていて倒れるところだったんですよ、本当に。
俺はその誘いに頷いた。
するとリアンが俺にマナーを知っているか聞いてきた。
ジーザス、そうえばこういう場所での食事のマナーをほとんど知らなかったわ。
「あはは、別に気にしなくていいよ」
するとクラット王は微笑んでそう答えた。
本当にしゃべり方がユーリと似ているな、紅茶を持たせたら本当にそっくりだよ。
「それじゃあホールに案内するよ、その間に湯船の準備してもらうよ」
俺たちはその後、ホールに案内されてテーブルに座った。
そしてしばらくすると、目の前には豪勢な料理が並んだ。
分厚いステーキに濃厚なコーンスープ、その他色々な料理が俺の胃袋を満たしていってくれた。
その後は、クラット王と色々他愛のない話をして食事は終わった。
「さぁて、風呂に入るかな~」
俺達は風呂に案内されてリアンが先に風呂に入った。
覗きたいな~、いやそれをしたら俺が社会的に終わるか。
そう思って一時間くらいしていると、リアンが着替え終えて脱衣場から出てきた。
「ふぅ、いい湯だったわ」
なんか風呂上がりのリアンがすごく綺麗だな、と俺は思った。
すごくいい匂いもするし。
そう思っていると、リアンが話かけてきた。
「先にお風呂ありがと、すごく広かったし気持ちよかったわ」
そういい、リアンは部屋に向かった。
さて、どんな風呂なのか見せてもらおうか。
俺は脱衣場で着替えて、ドアを開けた。
「え? これが風呂? 温泉の間違いだろコレ」
目の前には露天風呂付きの広い浴場があった。
しかもサウナまであるし、ちょっとした風呂屋だろこれ......
俺はかけ湯をして、最初は湯船に浸かった。
「ふぅ~、なんだか生き返るわ~」
何だか、本当に今まで蓄積された疲れがとれていく気がした。
しばらくすると俺はサウナで十分位耐えて、最後に露天風呂へ向かった。
「景色が綺麗だな~」
俺はそう口にして、湯船に浸かりながら景色を眺めていた。
しばらくして、俺は風呂から上がり部屋に向かった。
「リアンの言う通り、確かにいい湯だったよ」
「そうね、だけどもう流石に眠いから寝るわ」
そういい、リアンはベットに入り眠りについた。
確かにもうそろそろ俺も寝るかな。
時計を見るともう二十三時を指していた。
俺はその後すぐに眠りについた。
「やあ、ずいぶん表情が変わったね」
そう声が聞こえて、気が付くと目の前にはユーリがいた。
「ユーリか、今度は何の用だ? もしくはただの暇つぶしか?」
そういうとユーリは指を鳴らして、テーブルと紅茶、そして俺にはコーヒーを出した。
「後者の暇つぶしの方だよ、することが無くなったんでね」
はぁ、なんか本当に目の前にいるのがこの世界の管理人なのかと思ってきたよ。
少しはクラット王を見習ってくれよ、と俺はそう思いながらコーヒーを口にした。
「ん? クラット王に会ったのかい?」
ユーリがそうたずねてきた。
「まあ、ツアーの帰りに礼を言いたいって言われて今そのクラット王の宮殿に泊まっている」
するとユーリは、少し難しい表情をした。
一体どうしたんだろうか?
「いや、少し考え事をしていたんだ、それより少し話があるんだ」
そういうとユーリは真剣な表情で話してきた。
話? 珍しいなユーリが真剣な表情で。
「最初は暇つぶしでもしようかと思ったんだけどそういう訳にもいかなくなった」
え? なんか重要な話のようだな。
俺は黙って聞くことにした。
「えーとね、まず最初に今回のツアーの犯人、実は今のクラット王なんだ、」
は? マジで? でもどう見てもアイツが犯人とは思えないんだが。
そう思うとユーリは話しを続けた。
「まあ、入れ変わったのはつい最近なんだけどね、本物のクラット王は地下に幽閉されているよ、でもそろそろ殺されてもおかしくない頃なんだ」
マジかよ、でも何で俺にそんな事を......まさか......
「そのまさかだよ、君に本物のクラット王を助けてもらいたいんだ」
うわぁ、俺こういうの苦手なんだよな~、前にリアンに絡まっていた男をしばいた時は意識飛んでいたしな、こう見えて争い事は嫌いなんだよ。
そう思っていると、リアンはある条件を付けてきた。
「もし引き受けてくれるなら君のスマホに好きなチートコードを入れてあげるよ」
マジで!? なら話は別だ、取りあえず偽物をしばいて本物を開放すればいいんだよな?
「まあ、間違ってはいないけどそう簡単にはいかないんだよ、というのも王の本棚に隠し部屋があってその中に幽閉されているんだ」
隠し部屋か、なんか浪漫を感じるな。
「とにかく、どうにかして本物のクラット王を助けてくれ、それと偽物は変化薬を使っているからそれを見破る薬のレシピを教えておくよ」
変化薬か、自分の姿を自由に変えられる薬で成りすましていたのか......
でも一体何故成りすましているのだろう?
とにかく、俺はユーリの依頼を条件付きで引き受けた。
どうも、黒密Ξです。
がんばってネタを考えながら書いています。
まだまだ初心者ですが宜しくお願い




