第一話 好奇心で異世界転移
「何だこれ......」
今、俺は高校から帰ってきて自分の部屋に入り鞄を置いて机を見たらカップ麺みたいな物が置いてあった。
夜食で親が買ってきたにしては不自然だし、何より容器の表紙がさらに俺を混乱させた。
「インスタント異世界転移?」
見た目はただのカップ麺なのに、これは新手の悪戯か?
そう思いながら、取りあえず俺はカップ麺もどきを引き出しに放り込んだ。
決して後で、本当かどうか試そうとは思ってない、そもそもそう簡単に異世界に行けるはずがない。
いや、でもひょっとしたら本物だったりして......
そう思いながら俺は、引き出しを少し開けてちらりと中を覗き込んだ。
すると俺は、いつの間にか放り込んだはずのカップ麺もどきを取り出していた。
「まあ、試すくらいならいいよね」
俺はカップ麺もどきの包みを剥ぎながらそう言った。
そして蓋を開けて中身を見たら中には粉が入った袋が二つと説明書が入っていた。
「は? 粉と説明書だけで麺は無いのか?」
俺は一瞬目を擦りもう一度見たが、中身は変わっていなかった。
「取りあえず説明書でも読むか、にしても手の込んだ悪戯だな」
説明書の内容は、熱湯と粉を入れて三分で異世界転移できるとだけ書いてあった。
熱湯と粉を入れ俺はストップウォッチにスイッチを入れ、三分待つことにした。
「三分間何をしよう?」
待ってる間、俺はこれが本物だったらいいのにな、と他にも他愛のないことを考えているとストップウォッチが鳴り出した。
「意外と早かったな......ってなんだ!?」
俺は蓋を開けた、すると俺は掃除機に吸い込まれる様な勢いで容器に引きずり込まれていった。
「うーん、あれ? ここはどこだ?」
気が付くと俺はベットの上に寝かされていた。
一体ここは何処なのだろう、少なくともさっきまで自分の部屋にいたはず。
だが目の前の天井は明らかに自分の部屋の天井ではない、ましてや俺の部屋にはベッドなど無い。
俺はベッドから起き上がり辺りを見渡した、見たところ木造建築の家のようだ。
「気が付いたかい?」
部屋の扉から俺と歳が変わらないくらいの栗毛色の髪をした男が紅茶を片手に持ちながら話しかけてきた。
「ここは何処だ?」
そう聞くと男は微笑みながら答えた。
「ここは君のいた世界とは別の世界、君達からしたら異世界とも言うね」
嘘だろ、マジで異世界? いやドッキリか何かだろ。
「僕は嘘は言わないよ、君は僕の作ったあの簡易式の扉を使ってこっちの世界に来たんだよ」
あれ、今とんでもない事を聞いたぞ、あの即席カップ麺もどきを作って俺の机の上に置いたのはこいつだったのか、しかしどうやって入ったんだ。
「そうえばまだ名乗ってなかったね、僕はユーリ・ストラス、僕のことはユーリでいいよ、この世界の管理人とでも言っておこうかな? そして君は華崎秦だね、年齢は十八歳で趣味はゲームだったよね?」
何だ、こいつ俺の言おうとしたセリフをほとんど持っていったぞ、もう意味が分からん。
「ユーリは、一体何で俺の事を知っているんだ? それに何故俺の机の上にあれを置いた?」
「それは僕がこの世界の大半を管理しているから嫌でも情報が入ってくるんだ、そして君の机にあれを置いたのは、秦が選ばれたからだよ」
「選ばれた? 一体誰から?」
「この世界の神様からだよ、本来なら僕が秦のいた世界に行って秦を連れてくる予定だったんだけど、君が異世界に行く事を望んでいるかを試すよう神様に言われたんだよ」
「あれを俺が使う確証は無いのにか?」
「そしたら別の人を選ぶまでだよ、でも今の君は扉を使いこっちに来てくれたからもう関係のない話だよ」
事実自分の意志で使ったから反論できない。
というか、あれは俺の人生を決める選択肢の一つだったのか。
でも、今頃あっちの世界の俺の扱いはどうなっているんだろうか?
「ちなみに今、元の世界では華崎秦という存在は消去されているよ、わかりやすく言えば秦は生まれてこなかったことになっていて秦の事を覚えている人は向こうの世界の人には誰一人としていないよ」
うわぁ......死んだ扱いではなくてもともと存在すらしてない扱いになっているのか、もう帰ることはできないってことなのか。
「でも、今の君がその状態で外に出て魔物に遭遇したら一発であの世行きだよ」
それさ、将棋で言ったら詰み、チェスで言ったらチェックメイトだよな、もはやどうしろと。
「いくらなんでも今の状態で君を外には出さないよ、取りあえずこっちの世界で苦労しないだけのスキルは付けてあげるよ」
「ちなみに今の俺のスキルは一体何が付いているんだ?」
そう聞いたらユーリは、苦笑いしながら答えた。
「教えるのはいいけど後悔するよ、それでもいい?」
「いや、やめておくよ」
よっぽど酷いスキルしかなかったのかな? だとしたら今回はある意味チャンスかもしれないな。
ふとそんなこと考えている内にユーリは持っていた紅茶をテーブルに置き ポケットから六枚のカードを取り出した。
「じゃあ今から秦にスキルを決めてもらうよ、秦に適性のあるスキルをカードに書いたからこの中から一枚選んでくれ」
ん? 俺の目が間違ってなければカードの枚数が六枚しかないじゃないか、ははっ冗談きついぜ。
まあ、無いよりは遥かにマシだな、こんな時は何も考えないで引いた方がいいか。
そう思いながら俺は一枚カードを引いた。
「えーと、秦が引いたスキルは、薬草師のスキルだね」
薬草師? 調合で薬とか作ったりするやつか?
「かなりいいスキルだと思うよ、材料は生えているものならタダだし戦闘なら薬で身体強化とかよりどりみどりだよ」
なんか一生分の運を使い果たした気分だよ、でも生活するのに困りはしなさそうだな、それに楽しそうだしまあいっか。
あれ? でも俺は薬草の知識なんて全くないぞ、あってもゲームに出てくる薬草や毒消し草ぐらいだ。
「でも俺、薬草師の知識なんて何一つないぞ、あってもゲームとかで薬草の種類を少し知っている程度だ」
「その点においては気にしないで、知識はスキルと共に秦に与えるから問題ないよ、しかも腕や足の筋肉をある程度強化というおまけ付きだし後は必要最低限のものはリュックに詰めて玄関に置いているから出ていくとき持っていくといいよ、ちなみにスキルはこの家から出た瞬間に得られるから今の君はまだ普通の高校生だ、取りあえずスキルは決まったし後は自分の好きな時に行くといいよ」
なら安心だな、せっかく異世界に来たんだから楽しまないとな、そう思いながら俺は玄関に向かい大きいリュックを背負った、正直すごく重い。
「中に何が入っているんだ?」
「もう少しゆっくりしていけばいいのに、中身は薬を調合するための小型化した道具と野宿する時に必要なテントとかだね、後はこっちの世界のお金かな」
俺はユーリにリュックの中身を聞いている時にあることに気付いた。
「そうえばこの世界の地図とかは無いのか? この家がどこに建っているのかも教えてくれると助かる」
この世界の地図が無ければ自分のいる場所すらわからないし、何より各地をいろいろ歩き回るなら絶対に必要だろう。
「そうだった、一応リュックに入っているけどさっき言った通りある程度の情報は君の頭に入ってくるから問題ないよ、あと後者の質問には訳があって答えられないよ」
ユーリは、再び紅茶を手に持ち俺の質問に答えた。
まあ仕方ないな、わからないことがあれば聞きに来ようと思ったが、とにかく地図があるならいいか。
としたらもう行くだけか、そう思い俺はドアノブに手をかけた。
そして俺はドアを開けて第一歩を踏み出した、そして家を出た瞬間に頭の中にこの世界の事や薬草師の知識が頭の中に流れ込んでくるのはわかったが、知識が流れてくると同時に俺はめまいがして床に倒れた。
「......あれ?どこだ...ここ?」
気が付くと俺は草原に倒れこんでいた。
俺はすぐさま起き上がり辺りを見渡した、だがさっきまでいた家は何処にも見つからない。
「取りあえず今は、ここがどこなのかを調べないとな」
すると俺の頭にある文字が浮かんだ。
「オルレア草原?」
そう頭の中に出てきたのだ、そう思いながらリュックから地図を取り出し現在地を確認した。
すると、ネフドナという西の大陸の草原にいることがわかった。
「すごいな、本当にこの世界の事が頭に入ってる」
予めに言われたとはいえ、正直かなり驚いた。
「えーと、とにかくオルレア草原の近くに村は......」
どうやら近くに村は無いらしい、この大陸にはレイズニアという国が一つあるだけで他は森とこの草原だけのようだ、だけど運が良かったのか俺が今いる場所からレイズニアまでは、そんなに距離は無かった。
「取りあえず今はレイズニアに向かうか、でも今の手持ちで足りるかな?」
俺はリュックから財布を取り出した、すると中にあったのは俺がいた世界の通貨ではなくこっちの世界のものに入れ替えてあった。
五百円玉ぐらいのサイズの金貨が一枚と百円玉ぐらいの銀貨が五枚、そして十円玉ぐらいの銅貨が十枚、取りあえず一週間はもつくらいのお金は入っていた、というかあんまり前の世界と大きさも見た目も変わらないな。
「そうえば、薬草師のスキルがあるならその辺の草で何か作れないかな?」
俺は辺りの草を何本か採取して確認した、すると大半は雑草だったが、いくつか使える草も混じっていた。
一つは解毒薬の素材になるクドミ草、乾燥させないと解毒作用は無いようだ、それともう一つは回復薬の素材になるヒリン草、こっちは生でも回復はするが効果は微量回復する程度で、しかも乾燥させないととても苦くて生では使われないようだ。
基本的に、こういう草などは乾燥させて細かく粉砕しないと使えないようだ。
しかし、今回は運が良かったのか二つとも乾燥していたのがいくつか落ちていたので、すぐに作れそうだ。
「取りあえず材料的に解毒薬が二つに回復薬が一つ作れそうだな」
俺はリュックから小さい乳鉢と乳棒を取り出して作業に取り掛かった。
作業から三分くらいして解毒薬二つと回復薬が一つを作り終えた、草を粉砕するのにそれほど時間はかからなかった。
この解毒薬はランク二までの毒になら有効だがそれ以上には効果はないようだ。
「さてと、本当に効果があるのか試したいが実験台がいないんじゃなぁ......」
仕方ないと思い、俺はレイズニアへ向かった。
初めまして、黒密Ξ(クスィー)というものです。
今回が初投稿なのでいくつかおかしいところもあると思いますが、少しずつ直していこうと思います。
完結するまで書き続けるのでよろしくお願いします。