表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/24

迷宮の構築 01

 目覚めるとそこは暗く何も見えない。

 己の肉体は、まあ、ゴーレムから変化はないみたいだが……。


 なあ、明るくは出来ないのか?


【-可能ですよ、明かりを調整します-】

『ありがとう』


 少し待つと、徐々に明かりが満ちていく。

 そして、どうやら俺は、洞窟らしき所にいるみたいだ。

 壁や地面は土岩で出来、周りを隙間なく囲んでいる。


『これって、大きくできないのか? それに、ここから出られないのか?』

【-増築は可能です-】

【-ここから出る方法は異空間生成するのみです-】


 なるほどね。

 つまりは、アンリに会うには後半月ほどは、魔力が回復するのを待たないといけないということか。


『それで、俺には部下はいないの?』

【-主は特別であり、獣を買う、もしくは連れてくる必要があります-】

【-獣一覧を表示しますか?-】

『ああ、頼む』


【迷宮管理権限】

【迷宮モンスター一覧を表示します】

【ゴブリン・10p】

【スライム・5p】


 うん、あれれ?

 これだけ?


『少なすぎじゃないか?』

【-主の保有pは現在100pであり、これが限度です-】

『因みに、一番高いのは?』

【-ドラゴン・100000000pです-】


 はい?

 あれ、見間違えたかな。

 ええと、いち、じゅう、ひゃく……。


 ……一億pだった。

 およそ、100万倍のpが必要とか。


『じゃあ、連れてくるのは?』

【-他の迷宮主を配下にすることです。ですが、今の戦力では不可能です-】

『そりゃあそうか』


 流石にスライムやゴブリンで、ドラゴンを捕獲できるとは思えない。

 それに、そんなに強いんじゃあ、制御できないかもしれないし。


『じゃあ、ゴブリンを8体、スライムを4体買うよ』

【迷宮管理権限・モンスターの購入】

【ゴブリン8、スライム4】

【Yes/No】


 もちろん、Yesを選択。

 これで、出現するのか?


【迷宮管理権限、出現を許可しますか?】

 もちろん、Yes。


 すると、辺りが赤く光り、不思議な文様が地に走る。

 そして、その上に、小さ目なモンスターに、ドロドロしたモンスターが召喚される。


『やあ、俺が主だ』

[ア、ダ?]


 どうやら、俺の言葉をあまり理解していないように感じる。

 これって、どうすればいいんだ?


【-モンスター語に切り替えます-】

 モンスター語?


「アジウ様、命令ヲクダイサ」


 と、片言で、なんだか少しばかり間違ってはいるが、会話に成功した。

 ゴブリンたちは片膝を付き、さながら兵士のようだ。

 スライムは、くねくねと、ドロドロな体を揺らしている。

 話が通じているのだろうか?

 まぁ、いいや。


『今から、迷宮内の工事を始める。俺が命令したら従え』

「ヒア、モチンド」


 どうやら、言葉の教育から始める必要があるみたいだ。



☆~☆~☆~



 数日かけて、言葉の指導をした結果。

 少しはよくなり。


「アルジ、サマ、オワリ、シタ」

『おう、オツカレ。じゃあ、次はこれやってくれ』

「ハイ、ヤリマシュ」


 うーん、正直良くなったのか――?

 微妙ではあるが、まぁ、最初に比べればマシか。

 それにしても、ゴブリンたちも最初こそ戸惑っていたものの、今じゃあ、俺の望通りに忠実に作業に勤しんでいる。


 まずは、新しい部屋の増築。

 今の所、最初の部屋と同じ大きさの部屋が1つ出来上がり、二つ目を作っている最中だ。

 ゴブリンたちはお腹が空くことも無く、俺もそこらの岩を食べれば、別に何も問題なしだ。

 どうやら、魔力は異空間生成とかの特別なことのみにしか使えないようで。

 ゆっくりとではあるが、体内に熱が広がっていく。


『そういえば、魔力値とかって見られないのか? 確か、勇者には鑑定スキルとかいうのがあったはずだけど?』

【-迷宮管理権限により調べられます-】

【-一覧を示します-】


【迷区のゴーレム】

【ゴブリン】

【スライム】

【-次に能力値を展開します—】


【迷区のゴーレム】

 ・攻撃値5・防御値50・魔力値1

 ・スキル

  ‹迷区の主E›・‹自動回復C›・‹打撃耐性A›・‹衝撃緩和A›


【ゴブリン】

 ・攻撃値5・防御値1・魔力値0

 ・スキル

  ‹迷区の恩恵›・‹俊敏増加E›・‹自己回復E›


【スライム】

 ・攻撃値1・防御値10・魔力値2

 ・スキル

  ‹迷区の恩恵›・‹雷耐性C›・‹打撃耐性S›・‹自己回復E›


 なるほどねえ、道理で斧の勇者の攻撃が全く効かないわけだ。

 やはり、相性最悪の組み合わせだったのか。

 それにしても魔力1って、やっぱり少ないな。

 スライムにすら負けるのか、いやゴブリンは0だし、まあいいのか?


 なあ、迷宮って、攻められることはある?

 それこそ、例えば勇者が来るとか……?


【-それには迷宮が条件をクリアする必要があります-】

【-具体的に、モンスターのレベル、迷宮内のレベルなどがあります。それらをクリアしないと、迷宮として顕現することは不可能です-】


 やはりあるか。

 確か、かつてアンリと訪れた迷宮は、モンスターは居なかったんだよな。

 俺って何をすればいいと思う?


【-主は迷宮の主でありますので、最後の門番となります。また、迷宮には、宝庫が必要となります-】

 

 宝庫?

 それって、財宝とか?


【-はい。ですが、空箱でも構いません。但し、その場合は人気が無い迷宮となるでしょう-】


 まあ、確かに宝箱の中身が空っぽとか誰もこないか。

 いや、駆け出し冒険者なら来るかもしれないな。


【迷宮管理権限】

【迷宮の増築によりpが付与されます】

【贈与・100p】


 うん?

 なんだか、いきなり通ったからよく見えなかった。


【-つまるところ、迷宮内の増築をしたことに対するpが付与されました—】

「ちょっと、待ってくれ。付与? それって誰が? そもそも迷宮ってなんなんだ?」

【-迷宮は、通常自然物です。しかし、主の迷宮は別です-】

「別? それはどういう意味だ?」

【-理解不能、返答不能、その答えはありません-】


 ようは、人工知能さんもわからないってことか。

 まぁ、よくよく考えれば、どうして俺がゴーレムになったかも未だに理解不能だし、それこそ、何か異形な力が働いたのかもしれない。

 結局、意味不明だ。

 だけど、迷宮。

 これがある限り、アンリには会うことが出来るのだ。

 今は、それだけがわかればいいや。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ