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girls恋愛  作者: 死神
springlovesong
9/10

第八話 一瞬の別れ

前回の続き。

一連の動作を繰り返して、俺は画面を見る。

俺の目には、全ての携帯の履歴が一人の人物で埋め尽くされていた。


【フェルムセーテ】


それを見て俺はすぐに思った。

バカだと。

先程から俺は自分の携帯の履歴からフェルムセーテ以外の人の着歴等を消していたのだ。

何してんだよ、て話だ。

こんなことをする意味が分からない。

ただこれも、依存しているが故のことだろう。

もっと依存したいと、そう考えるからこその行動なのだろう。


「あ、そういえば、アイツ何してんだろ。最近連絡してねぇや」


誰に言ったでもない言葉が室内に響く。

俺は携帯を取り出すとある人物に電話した。



--------



退屈な授業。

いつもなら居眠りをするのに、今日はあることが気になり過ぎて全く眠れない。


「寝れない……」


空しい呟き。

誰かが吹いた音が聞こえたがこの無視だ。


(ユーたち、今頃北海道かな?

でもいつ出るかは聞いてないし……先にアクアさんが行くんだっけ?

今日がアクアさんで明日がユーとベーロだっけ?)


そんなことを考え、黒板を見る。

もうすでにどこまで進んでいるのかが分からないほど進んでいる。

未だ教科書すら開いておらず、居眠り体制にもう一度突入。

正直今すぐ携帯を見たい。

しかしこの学校、なんと携帯を持ってきたらダメなのだ。



…………え? 普通中学校はどこもダメなのではないかって?

そーなの? でも漫画では……いや、何でもない。


まぁ、どのみち電話が出来ない。

だから着信を確認する以前の話でもある。


(北海道か……寒いだろうなぁ……

あれ? でも北海道って南だっけ? 種子島が南だから北なのかな?)


アホですまん。

因みに北海道は北の方角にある。たぶん。


俺は帰ったらすぐにでも電話しようと思いながら、黒板を眺めた。



--------



家に帰った俺は驚いた。

携帯を開いた瞬間、まるで予想したかのように電話がかかってきたのだ。

とりあえず俺はその電話に出る。相手は女の子だった。


『しーちゃん、元気?』


ベーロだ。俺はベーロの声に顔が綻ぶ。


「おぅ。元気。どーした?」

『あのね、バカ兄貴が変な儀式を始めたから代わって止めてもらっていい?』


しかし一気に俺は顔を顰める。


「え、アイツ何してんの?」

『えっと……ダンス? てか何か祀ってる』


ホントに何してんだろ。


「とりあえず代わって」

『うん』


しばらくして、ユーが電話に出た。


『死神ちゃんどうしたの?』

「いや、お前の頭がどうしたの?」


速攻で俺はそう聞いた。


『だって俺たち離れ離れになるんだよ?!

この危機を乗り越えるためには、悪魔たちの力が必要なの!!』

「お前の頭かち割るのに悪魔たちの力が必要だよ。

てか引っ越しごときで悪魔の力借りるな。迷惑だ。

どんだけ他力本願なんだよ、お前」

『死神ちゃんは俺たちと離れ離れになってもいいの?!』


その言葉に俺は言葉を詰まらせる。

そして溜息を吐いた。


「とりあえずその儀式を終わらせろ」

『うー……』

「返事は?」

『…………はーい……』


すると電話をベーロに代わる。


『だんまりしながら片づけ始めた』

「片づけるように言ったからな」

『んー……あ、ねぇねぇしーちゃん』

「何?」

『今日泊りに来れない? 明日は土日だし』

「無理無理。俺今出ていったら怒られるじゃん」


『そっか』としょんぼりしながら言うベーロ。

少し心にグサッと来る。

なので俺はこう言った。


「……し、深夜ならちょっとだけ……いいぞ」

『ホント? やったー』


喜ぶベーロ。

そこで俺は疑問を口にした。


「てかお前ら、いつ北海道行くの?」

『ん? 明日の朝。九時くらいだったと思う』

「そっか。意外に早いな」

『まぁね』


そこで俺とベーロの間に沈黙が流れる。

ここまで会話が続かなかったことがあまりないので、かなり気まずい。


『……どこがいい?』

「え?」

『待ち合わせ場所』


ベーロが最初に沈黙を破った。


「…………ベーデ公園……」


俺は少ししてそう答える。

ベーデ公園は、俺とベーロたちが住む家の丁度中間地点にある家だ。


『じゃあ三時に来てね』


そう言ってベーロは電話を切った。

俺はしばらく携帯電話を見つめた後、こっそりと準備を進めた。



--------



俺がベーデ公園にある滑り台に行くと、既に人影が二つあった。

ベーロとユーだ。


「よぅ」

「しーちゃん!」


そう言ってベーロは俺に突進のような体当たりをしてくる。

それを軽くかわして、俺はユーに近づいた。


「次は変な儀式するなよ」

「保証は出来ない」

「殴るぞ」

「ところでいつまでいる?」


ベーロがそう聞いてきたので、俺は考える。


「んー……五時?」

「それじゃ早いー」

「でも俺伯母がいつ起きるか分かんねぇし」


ムスッとするベーロ。

ユーがガサゴソと何かを出した。


「とりあえずお菓子食べよ。コンビニで買って来たんだ」

「マジか。じゃあ俺ポテチ」

「私アイス」

「はいはい。順番ねー」


ユーの持つ袋から各々好きなお菓子を取り出す。

そして並んで食べ始めた。


「ん、うま」

「つめたーい」

「美味しいねー」


各々感想を述べる。


「にしてもいきなりだったな、引っ越し」

「ホントだよ」

「まぁ海外じゃないだけマシだけど」

「でも海外は延長ってだけだよね」

「そうなのか?」

「どーも俺が大学卒業したら行くらしい」

「ふーん」


俺は食べ終えたお菓子の袋を片す。


「死神ちゃん早いねー」

「そうか?」

「しーちゃんは食いしん坊だから」

「褒めてねーぞ、ソレ」


俺は新しいお菓子を食べ始める。


「まぁ、また旅行がてらこいよ」

「毎日来るもん」

「毎日は来るな。迷惑だ。てか学校行けよ」

「やーだー」

「バカ兄貴、我が儘過ぎ」

「コイツどんな教育受けてんだよ」


俺とベーロが軽く呆れると、ユーはクスクス笑った。


「んだよ。とうとう頭のネジ全部外れたか?」

「一つも外れてないよ。ただやっぱこうしてるのが一番楽しいなって」

「アクアお兄ちゃんもいたら良かったけど」

「ベーロ、それは言わねぇ約束だ」

「しーちゃん、そんな約束した覚えないよ」


少しして俺も笑った。


「まぁ確かに、こっちの方が楽しいかもな」

「すぐ来るよ、絶対」

「おう。できれば学校ないときな」


そんな感じで、俺たちはしばらく駄弁って解散した。

そして今でも、三人はたまに(かなり頻繁だが)こっちに来るようになったのだった。

次回は来週でお送りします(笑)

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