第四話 幼馴染というのは、様々な人種がいるものだ
ぎゃああああああああ!!!
ずれたああああああああ!!!!!!!!
はっきり言うと、俺の周りにはかなり幼馴染と呼べる人が多い。
ユーとベーロもそうだが、このバカ二人の兄であるアクアさんも幼馴染だ。
と言っても、三人は小学生の時に出会った幼馴染。
それよりも前に会っている幼馴染は、俺の知っている限りでは五人か六人はいる。
今日はそのうちの二人を紹介しようと思う。
その二人は兄妹で、名をタンガ(兄)とコロン(妹)という。
最初に出会ったのは、俺とタンガだった。
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昔住んでいたマンション。
そこで俺は母さんと弟、それと母さんの交際相手の男性と暮らしていた。
三人がお昼寝をしている間、俺は絵を書いていたのを覚えている。
当時かなり人見知りで、あまり人とは話さないようにしていた。
そんな時、外から聞こえる声が無性に気になったのだ。
二人くらいの子供が、キャッキャと遊んでいる声だ。
一人遊びを好む俺には未知の領域とも思える複数での遊び。
俺はそっとドアを覗き込んだのだ。
そこでは、二人の男の子と女の子が追いかけっこをしていたのだ。
正直追いかけっこをしていたのかは定かではないが、確かに二人は走り回っていたのだ。
すると男の子の方が、俺の視線に気づいたのか、はたまた開いているドアに気づいたのか、こちらをチラリと見た。
俺はビクッとする。
普段人見知りの子が、間近で男の子と視線が合っているのだ。
怖いなんてものではないだろう。
するとその男の子はこちらに歩み寄っては来ず、目線を合わせたままニッコリ微笑んだ。
「何してるの?」
その言葉に、俺はどう答えていいのか分からなくなる。
「良かったら一緒に遊ばない?」
そう言われ、俺はこう答えた。
「えっと……私、習い事の宿題があるから……」
もしかしたら俺はもっと舌足らずだったかもしれない。
しかしこの時、俺はまだ習い事なんてしていなかった。
それだけは事実だろう。
つまりこれは、ただ遊ばないようにするための言い訳だ。
別に遊びたくなかったわけではない。
ただ怖かったのだ。
この人付き合いという名の領域に踏み込む勇気が、この時の俺にはなかったのだ。
「そっか。じゃあそれが終わったらまた遊ぼう。俺、妹が待っているから行くね」
「う、うん……」
返事をして男の子が離れた後、俺は部屋に戻る。
あまり人と話したことがなかった俺は、この時かなり緊張していた。
それを紛らわすように、俺は絵を書くのに没頭したのだ。
だが少しして、俺はまた玄関のドアを開く。
そこに男の子と女の子の姿はなかった。
もしかして、私が遊ばないと言ったから帰ったのだろうか。
少し悲しい気持ちが、俺の心を渦巻く。
せっかく友達になれると思ったのに。
この時、少しばかり後悔したのだ。
部屋に戻ると、先ほどまで寝ていたはずの母さんが起きていた。
「どうしたの、ヴィース」
「なんでもない」
もしかしたらあからさまにションボリしていたのかもしれない。
母さんがそう聞くと、俺は子供部屋に行く。
だけど俺は立ち止まり、母さんに近づいた。
「ナリアちゃん」
この時、俺は母さんの要望で母さんの名前をちゃん付けで呼んでいた。
だからこの時も、そう母さんを呼んだ。
今なら絶対にしねぇけど。
「何?」
母さんが化粧をしながらそう聞く。
そんな母さんに、俺はこう言った。
「今日ね、男の子とおしゃべりしたの」
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それからしばらくして、俺とその二人は仲良くなった。
名前を知ったのも次に会った時だったと思う。
するとそれに混じって弟も二人と仲良くなったのだ。
それからというもの、四人で遊ぶことが多くなった。
家族ぐるみで出かけることもしょっちゅうだったと思う。
本当は同じマンションで知り合った女の子もいたのだが、その子は別の場所に引っ越してしまい、今となっては名前すら覚えていないのだ。
俺と弟、タンガとコロンもそのマンションから引っ越すことに。
だけど俺たち四人はおんなじマンションに引っ越したのだ。
小学校も一緒。中学校も一緒。
俺たちは幼馴染みとして仲良くしていた。
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「おじゃましまーす」
高校生になった俺。
今タンガたちとは家が別々になってる。
しかし近所なのは変わりないのだ。
「おー、ヴィース。久しぶり」
小学校中学年になって急変化を遂げたタンガ。
今ではおデブちゃんである。
「あ、ヤッホー。ヴィース」
そしてコロンは現在引きこもり。
最近は学校に行っているらしいが、中二になるまではほとんど行ってなかったようだ。
そして俺は…………
現在花の高校生である。
誠に申し訳ありません。
次からはちゃんと時間守れるように努力します。
それと、次回は五週間後でお願いします。