第三話 思い出作りなら写真でも良くない?
前回のあらすじ。
ユーとベーロと写真を撮りました。
「ちょっと待ってよ!!」
後ろから誰かが追いかけてきた。
見てみると、俺の中では大親友の枠にいるフロアーテがいた。
「よぉ、フロアーテちゃん」
「よぉじゃないよ!どうして通り過ぎた時待ってくれなかったの!!」
ニコニコ笑いながら怒るフロアーテ。
笑顔があるだけでここまで好印象とは……。
今度俺もやって…………いや、やめよう。
惨めになるだけだ。
「ところで学校の帰り?」
「うん!ヴィースも帰り?早いね!」
「そんなことねぇと思うけど。実際フロアーテちゃんも帰りだろ?」
「何時に終わるの?」
「三時二十分」
「同じだ!」
キャッキャとはしゃぐフロアーテ。
元気なことだ。
俺とフロアーテとフェルムセーテは高校でバラバラになったが、こうしてたまに会ったりする。
俺とフェルムセーテはしょっちゅう長電話しているが。
「じゃあね!」
「おう!」
一通り話し終わった後、俺とフロアーテは帰り始める。
「ヴィース!!」
「ん?」
フロアーテの声に俺は振り返った。
「小説見るからね!!!」
その言葉に俺はフッと笑った。
お互い手を振って別れる。
俺の家はかなり近い距離にあったので、家に帰るとすぐパソコンで画面を付ける。
ブルーライトを放つその光を見ながら、俺は一文目を打ち始めた。
とある日の午後の話である。
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ある日のこと。
「帰んねぇの?」
フェルムセーテの用事に引っ付いてきた俺。
たぶん一通り終わったのだろうが、未だ帰る様子がみえない。
まぁこのまま二人っきりっていうのもありだけど。
すると俺の問いにフェルムセーテは振り返る。
「そう言えばヴィース、プリクラ撮りたいって言ってたよね」
「え?まぁ……」
あまり覚えていなかったが、どうやらフェルムセーテは覚えていたようだ。
「撮りにいかない?プリクラ」
「…………え?」
ポカーンとする俺。
フェルムセーテはニッコリと微笑んだ。
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『コインを四枚入れてください』
女性の機械的な声が響く。
結局近くのプリクラで写真を撮ることになった俺とフェルムセーテ。
かなり恥ずかしい。
「背景とかってどれにする?」
「えっと……どれでもいい……」
「どれでもいいって……ヴィースが選んでよ」
そう言われ、俺は背景を適当に何枚か選ぶ。
この前撮りに来たときも、結局俺は一枚も選んでいなかったように思う。
しかし、大好きな彼女が言うのなら、選んでやらないこともないのかもしれない。
結構めんどくさいな、俺。
「ねぇ、これってポーズとかとらないとダメなの?」
「そんなことはねぇけど……」
「そう。んー、どうしよ……」
可愛らしく考える彼女。
今俺の頭の中は悩みに悩み切っていた。
なんたってこんなブスがこんな可愛い子と一緒に写ってもいいのだろうか。
やっぱりめんどくせぇ俺。
もう死んでしまいたいよ……。
「ほらヴィース。早く撮ろ?」
「…………うん……」
フェルムセーテの言葉で決意を決める俺。
神よ。どうか今だけ俺をとびっきりのイケメンにしてください。
勿論男で!!
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しばらくしてプリクラを撮り終わると、やることがないので帰る俺たち。
正直もっとちゃんとプリクラのことを調べておけばよかったと後悔。
いつもユーやベーロや母さんに任せていたからか、落書きもただの落書きになってしまったように思える。
しかし、俺はこう思うことにしたのだ。
俺が撮ったのはプリクラではなく、フェルムセーテと時間を共有したこの一時だと。
しかしそれから幾日たったある日。
フェルムセーテに俺がプリクラ好きだと勘違いされ、内心ショックを受けたのはまた別の話。
まぁ、良いんだけどね?
来週は休みます。
次回は再来週で!