第九話 the家出サバイバル
遅くなりましたぁ!!(泣)
和歌山で子猫を拾った。
大人猫一匹と子猫二匹である。
コロンたちと旅行に来ていた時の話だ。
「名前、何にしよ……」
「もう決めた」
「早っ!?」
コロンのツッコミを聞きながら、俺は猫の名前を呼ぶ。
「お母さん猫はキキ。お母さん似の子はクーカイ。黒猫の方はリュート」
「いや、それ完全にヴィースが書いた小説の登場人物の名前だよね?!」
「しかもリュートは俺が初めて書いた処女作の主人公の名前だ。光栄に思え」
「何故に上から?! というか一匹くらい私にも名前付けさせてよ!!」
因みに何故この三匹の名前がそうなったのかというと、
単に三人親子(母、子、子)というのがこの三人と共通しており、
しかもリュートと俺の主人公のリュートの接点が黒であったためにそうなりました。
ただし、この後キキとクーカイの名前は、
コロンとコロンの母親であるコーヨウさんに付けられました。
キキ→和歌山みかん
クーカイ→武田信玄
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フェルムセーテと俺が中二の頃の出来事である。
『サボろう』
どちらともなくそういう話になりました。
うん。今思っても何故そういう話になったのか、
全く思い出せん(笑)
ただその時、俺はたまたまお金を二世円程度持っていたので、
とりあえず食事をすることに。
コンビニエンスストアへ直行である。
買ったのは何だったかな?
確かおにぎりだったはず。
フェルムセーテが大好きな梅を渡すと、嬉しそうに食べるのだ。
なんだろう。このほんわかしたやつ。
俺たち今絶賛サボり中なんだよな?イケないことしてるんだよな?
まぁ俺は家出なら何回もしたことあるけど。
しかし人を連れての家出は弟の時以来だし、
何よりサボるのはこの時が初めてだったりする。
正直、かなり不安。
お腹キリキリ。
フェルムセーテがちゃんと上手な家出方法知ってるかがガチ謎。
まぁ普通は知らないのが普通なんだけどね?
でも彼女の妹のフロアーレちゃんなら知ってるような気がするよ。
「これからどうしよっか」
「んー、カラオケなんてどう?」
良い考えかもしれないが、大丈夫なのだろうか。
監視カメラも作動しているだろうし、
まず店員に聞かれたらなんて答えるのだろう。
「さっき見たんだけど、別の学校の子が帰ってるの見たよ。
ここら辺でテストでもあるんじゃないかな」
なるほど。
テスト期間中で早く終わったのでって答えればいいのか。
「さっすがフェルムセーテ」
「何か言った?」
「何でもない」
とにかく俺たちはカラオケでしばらく時間を潰すことにした。
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夕方。
「やっぱりフリータイムの方が安いね」
「てかずっとカラオケにいたね、俺ら」
昼からずっとカラオケにいた俺たち。
正直所持金がもう僅かしかない。
「これからどーすんだ?」
「ちょっとぶらっと遠くの方に行こうか」
ぶらっと開始。
「と言っても、どこに向かうんだよ?」
「そう言えば、今日塾あるよね……?塾どうしよう……」
まずは電話のある場所へ。
「今日は休むって言わねぇと」
「じゃあヴィースが言ってね」
「何で!?」
「私電話するのちょっと苦手で……」
いつもはどーしてるのさ……
そう聞くと、家族や俺は大丈夫の範囲らしい。
(よく分かんねぇなぁ。女子ってそういうものなのか?)
よく分からず俺困惑。
そうこうしているうちに馴染みの公園に到着。
公衆電話を発見。
「じゃあちょっと待ってろよ」
俺はフェルムセーテを置いて電話し始める。
数コールなった後、人が電話に出た。
『お電話ありがとうございます』
「あ、先生? 俺俺。ヴィースだけど、今日塾休ませて……」
『あ、ちょっとジー(俺の苗字)さん。さっき親御さんから電話が……』
ヤバい。
根回しされてた。
俺は急いで電話を切る。
「どーしよ。既に親から電話きてたらしい」
「え、どーしよ……」
「とにかく一度塾に向かう?」
「んー……でも……」
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俺たちは暗い道をトボトボ歩いていた。
何故かって?
俺たち今塾にも行かず帰りもせずに逃走みたいなことしてんの。
ホント、何でこんなことに……
あ、サボったからだ。
「安いのでいいなら何か買う?」
コンビニエンスストアが見えてきたのでフェルムセーテに聞いてみた。
「ホント? じゃあ買う」
コンビニエンスストア(別に時数稼ぎじゃないんだからねっ!)に入れば、
お店の人がヤル気のなさそうな声で「いらっしゃいませー」と口にする。
大丈夫か、このコンビニエンスストア。
ともかく俺たちは商品を見て回り、何か腹の足しになりそうなものを買う。
所持金はもう十円台だ。
「これからマジどうしよ……」
「とりあえず、九時にはさすがに帰らない?」
そう言われれば断れるわけがない。
俺たちは歩き始めた。
「にしても初サボりがまさかのフェルムセーテと一緒だったとは……」
「ホントだよねぇ……」
因みにフェルムセーテも初サボりのはずだ。
「でもこうやって二人って言うのもいいよね……」
「確かに。もうこのまま二人で暮らすか?」
「あ、良いねぇ!」
まぁそんなの、叶わないだろうけど。
でも妄想くらいは自由だよな。
「二人で荷物持って歩いて旅するとか」
「でもお金どーするの?」
「あれだ。路上で何か演奏してお金入れていってもらうとか」
「それはさすがに無理だよ」
確かに。
お金入れて貰えないのが簡単に想像ついた。
「それにギターとかどーするの」
「ギターじゃなくても、学校で普及されてるリコーダーとか」
でもほんとにそんなことが出来たらいいのに。
人知れず俺はそんなことを思っていました。
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八時ごろ。
俺たちは無事確保され、家に連れ戻されましたとさ。
次回は再再来週で!