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無機質の生命と  作者: 遙々春太
ファーストステージ
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第4話 "美人投票・R" ③

「2連続で4番が・・・?」

 僕の読みは大きく外れていた。ポイントが取れる気がしない。

「それでは、次の投票に移ってください」

 落ち着け・・・、ひとまずポイントを取ろう。4番が2連続で続いてきたので、4番をあえて避ける・・・という人が多いのを狙って4番を行くのが良いだろうか。だが、また4番が票数が少なかったら、間違いなく大きく後れを取ることになる。その考えを持っている人は多いに違いない・・・。どうする、何を選ぶ。

 タイマーを見ると、残り5秒になっていた。しまった・・・ほかの番号について考える時間が取れなかった・・・。

「クソッ!」

 僕は1番を選んだ。もちろん理由などなかった。

「投票結果が出ました。」

 今回はもう運に任せよう。そして、次の回にまたゆっくり考えよう。

「1番22% 2番26% 3番28% 4番24% 1番の人が1ポイントゲット、3番の人が−1ポイントです。この回での勝者は8人、合計13人です。」

 助かった・・・。けれども、これは結局運にすがった結果。自分の実力で勝たないと意味がない。

「それでは次の投票に移ってください」



 残りの人数も少なくなってきた・・・。だんだん悪い汗をかいてきた。手汗でスマホが滑り落ちてしまいそうだ。

 とりあえず、思考のリセットをしたい。けれども、頭の中から負けた時のことが離れない。絶対勝ちたい・・・何が何でも勝ちたい・・・死にたくない・・・。

「4番を選べば4ポイントか・・・。」

 僕のポイントは今1ポイント。4番を選んでもし、票数が1番少なかったら、勝利することができる。ここは4番を選ぶしかない!

 タイマーも残り時間が10秒も残っていた。今回の選択は時間が全然かからなかった。

「投票結果が出ました。」

 4番。4番来てくれ。頼む。

「1番26% 2番22% 3番25% 4番27% 2番の人が2ポイントゲット、4番の人が−1ポイントです。この回での勝者は12人。合計25人です。」

 僕は言葉を失った・・・。完全にこのゲームに弄ばれている。どうにか勝つことはできないのか・・・。

「それでは、次の投票に移ってください」

 


 僕の頭はもう疲れ切っていた。何も考えたくない。何を選んだってどうせ変わらない。僕は実力が足りなかったんだ。

「ははは・・・、何が元の生活に戻るだよ。もういいや。」

 不思議と死の恐怖もなくなっていた。次は3番を選んだ。理由はやはりない。

「投票結果が出ました。1番25% 2番26% 3番22% 4番28% 3番の人が3ポイントゲット、4番の人が₋1ポイントです。この回での勝者が8人。合計33人です。」

「それでは次の投票に移ってください」


 

 僕は、やっとこのゲームの全てが分かった。Rの意味、それはもう1つあった。

 おそらく、僕のように考えるのを放棄した奴が多いのだろう。考えているやつは、次に全員がどう動くかを読みながら、戦っていく。だが、後半になるにつれ、脳の疲労は蓄積していく。考えられる時間は20秒しかないから、間に合わないことだって多いに決まっている。そうなってしまったら当然思考を捨てて、投票する奴が出てくる。そうなれば、動きを読むなんて不可能だ。多くの人が、何も考えずに投票する。このゲームは投票すればするほど、勝機が減っていくゲームだ。早い段階で勝利しなければならない。すなわちrapidly・・・これがもう1つのRの意味だ。おそらく、さっきから票数にバラつきがないのも、投票者の意志がなくなり、大きな動きを見せなくなったからだろう。だけど、今更それに気づいたってもう遅い。今から動きを考えるのはさらに困難だ。もう運に任せちゃえ・・・。

 僕はもう、自分でも何の数字を選んでいるのかわからなくなっていた。

「投票結果が出ました。」


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