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七対七~ウイングス対サクヤ

赤く巨大な鳥、ウイングス、レナによって創り出されたフェニックスを模したsinである。

そんな生物である彼も生き返れるわけではなく、心臓が停止すれば、普通の生物同様死ぬことになる。

それでも、命を賭けて戦わなければならない理由が彼にはある。

レナとホムンクルス1st、二人の為に、一番最初にレナに創り出されたのは誰あろう彼だ。

そして、もっとも忠誠心が強いのも彼だった、それが生まれた順番によるものが原因だったかは分からないが、生まれた瞬間から、ウイングスは目の前に居たその二人を主人として定めた。

その主人の邪魔をするものはどんな者であろうと薙ぎ倒す、それが彼が彼自身に定めた使命だ。

ウイングは、いきなり体に光を纏い、敵の攻撃が届かない遥か上空からその人間を見据え、亜音速にまで加速し、突撃した。

空気が唸り、ビリビリとビルのガラスが振動し、パリイイイイン!とウイングスが通り過ぎた順に割れていく。

サクヤは、レイピアを構え、自分が立っているビルの方へ突撃してくる巨鳥を見据えていた。

肉眼で捉えきれるギリギリの速さ、急旋回するその姿を見ながら、サクヤは剣を振るった。

ガッキイイイイン!!と剣とウイングスの羽がぶつかり合った。

「何?硬質化している?」

サクヤは、その金属音と手ごたえに驚き、思わず声に出した。

(その通りです、この粒子の力、私は硬質化と推進力のサポートにしか使えませんでしたが)

「例の粒子の力、か、確かに厄介だな、そんなことまで出来るとは聞いてなかったけど、まあ予想の範囲だよ」

(意外ですね、もう少し驚くと思ったのですが・・・)

もう一度大きく旋廻しながら、ウイングスは不可解な力でサクヤに声を送る。

「いやいや、十分驚いているよ、どうやら、もうニルヴァーナを使わなければいけないようだ」

(なんのつもりですか?私は飛ぶことが出来る、ニルヴァーナを使う間、私は遥か上空にいればいい、そんなことは貴方にもお分かりでしょう?)

「いや、君はそうはしない、君はそういうタイプの生き物じゃないからね」

(その根拠はあるのですか?)

ウイングスは、もう一度サクヤに亜音速で迫った。

もう一度剣でそれを受け止めながら、サクヤは大きな声で言った。

「ああ、空気で分かるんだよ、卑怯なことをしてでも勝ちたいっていう相手と、それよりも誇りを大切にしたいっていう相手、僕は元々、そういう世界で生きていた人間だった。

それが、何の因果かある日、改造兵になることになって、仁義もモラルもない戦いをしなくちゃならなくなった、相手はただの知能の低い化け物だった、当然戦いの上でのマナーやルールは一切無用さ。

そんな戦いにはうんざりしていたんだ、だから、君のような雰囲気をもった敵に会うのはとても嬉しい。だから、期待は裏切らないでくれよ!」

言葉の端々で、ウイングスの攻撃を受け止めながら、サクヤは叫ぶ。

嬉しくて仕方がない、といった感じの声でだ。

(買い被られたものですね)

と、呟きながらも、ウイングスも逃げることは念頭にない、敵の全力を潰してこそ、意味があるのだから。

「行くぞ、僕の力をここに注ぐ!ニルヴァーナ!!」

サクヤは叫んだ、直後、巨大な力が膨れ上がり、人間を超えた証である光が発散される。

シアンに近いブルー、そんな色調の光だ。

「さあ、かかって来い!!全力をぶつけ合おう!!」

(いいでしょう、全力を尽くします!!)

ウイングスの体の光が増大していく、亜音速から、更に音速に迫る勢いで、ウイングスは加速した。

赤い翼が、赤い光を発散し、ラインを描きながらサクヤに迫る。

サクヤはその光を眼で追いながらレイピアを繰り出した。

今度は、僅かばかり、その翼に傷をつけた。

だが、自分の腕も痺れているのに、サクヤは気付いた。

それでも構わず第二撃に備え、レイピアを振りかぶる。

ガキイイイン!ガキイイイン!という音が連続する、第三者からすれば、青い光に赤い光が何度となく衝突し、音が鳴っているように見えただろう。

だが、それは少し違う、紛れも無く生命体がこの現象を起こしているのだから。

ウイングスの翼も、だんだんとボロボロになっていき、サクヤの手も何度となく剣を振るい、その莫大な衝撃を受け止めたたために、出血し始め、手の感覚が殆どなくなっていた。

お互いに悟る、次の攻撃が最後になるだろうと、だが、ウイングスはもう一つの選択がここで出来た。

空に舞い上がり、サクヤのニルヴァーナの時間が切れるのを待つこと。

そうすれば、相手はこれ以上ウイングスに傷をつけることが出来ない。

だが、そんな選択肢は、ウイングスの頭に浮かんでは来なかった。

一つの理由は、サクヤが言った理由、だが、もう一つ理由がある。

ウイングスは、歓喜しながら速度を上げた。もう一つの理由、というよりは、自分が死ぬことによって叶えられる夢、それを噛み締めながらサクヤに突進する。

二人の交差は一瞬、音速の凶器となった翼と、正真正銘の凶器、サクヤのレイピアがクロスする。

二つの凶器がお互いの体を切り裂いた。

サクヤとウイングスの体が血に染まり、ウイングスは地面に墜落し、その音を辺りに響かせ、サクヤはその場にどっと倒れた。

(これで、私の夢が叶えられる、ホムンクルス1st、後は頼みました)

そう、心の中で呟きながら、明滅する意識を何とか保ちながら、その時を待った。

彼の願いが叶えられるその時を・・・。


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