脅迫
大都市の街中を歩く五人の少女達、全員お洒落な格好で、着飾り、談笑している。
ユリア、リンダ、アリーナ、キャシー、スンヨンの国際色豊かなメンバーは、明日の予定について話し合う。
「明日は、私暇だね」
「明日も、でしょ、リンダ?」
「あ、いたいとこ突いてくるなアリーナ」
一本取られた、という感じの声で呻くリンダ、他の四人は思わず笑う。
「ま、私も暇なんだけどね」
「なんだよー、それならそうと早く言ってよねー」
思い出したように付け足したアリーナに、リンダは嘆くように空を仰ぎながら大袈裟に呟いた。
「私も、明日は予定はないです」
「うん、私も」
「私もないね」
他のメンバーも、便乗するように畳み掛ける。
「みんな、暇なんジャン!
人の事言えないでしょ!笑うな!」
わざとらしくほっぺを膨らませて、怒ったような仕草をするリンダ、わざとばれるようにやっているのが分かる。
「はあ、弄ばれた・・・」
またもわざとらしくため息をついて、そんなことを呟く。
「ごめんなさい、リンダ、謝るから。
そーね、パフェをおごってあげるわ」
「え、まじで?なんか悪いな、いや、おごらなくていいから、パフェは食べよう!」
(まだ食うんかい!!)
食欲の限界を見せない二人の少女に、他の三人は、心の中で、突っ込んだが、当人達にその意思が伝わるはずがない。
「どこか、美味しいパフェの店を探そう!」
そう言って、リンダは、携帯端末を取り出した。
が、直後奇妙な表情になる。
「どうしたの、リンダ?」
「充電し忘れたかな?」
ユリアが、声を掛けて近寄ってみると、携帯端末のモニターに、何も表示されていない。
辺りを見ると、同じような現象を現在進行形で体験している人がいるようだ。
さっきまで電気がついていた道の両脇に並んだ店舗も、停電を一斉に起こしたかのような様相を呈している。この現象に、ユリアは覚えがあった。
「まさか、sinがこの近くに居るの?」
「な、これは、sinが放っているっていう粒子のせいだってこと?」
その場に、嫌な空気が流れる。
sinの放つ粒子については、学校ですでに習っている既習事項だ。
習った現象と、今の現象は酷似していた。
しかし、すぐにディスプレイが光を取り戻した。
リンダはほっとしたが、次の瞬間、驚愕する。
ディスプレイに映ったのは、メニュー画面ではなかった。
そこには、仮面をつけた男が映っている。
顔中を埋め尽くす黒い仮面、所々に金の装飾が入っている。そして、黒いマントに、身を包んだその男は喋りだした。
彼女が良く知る死んだはずの幼馴染の声で・・・。
「エリアの住人達よ、この都市のモニターは全て、私が乗っ取った!
今から諸君らに伝えなければならないことがある。
一ヵ月後、私はエリアをお前達の言う未確認生命体を引き連れて、この街に進軍する!
一ヶ月後だ、それまでにここから立ち去ることを勧告する。
それまでに立ち去らなかった者は、どうなろうと知ったことではない」
ガヤガヤと、喧騒が思い思いの言葉を発する
「なんだこれ、イタズラ?」「なんか、現実味沸かないよな。」「馬鹿じゃねえの?なにこいつ」
ユリアは、自分の携帯端末を取り出して、男のいる背景を見た。
ここには、見覚えがある、セントラルエリアの、統括理事局前の建物の前のビルの上にに立っているのだ。
ユリアは走り出した。ここから近い、走れば間に合うかもしれない。
「あ、ユリア!」
呼び止める声を聞きながらも、ユリアはモニターを見ながら走った。
モニターの中から、声が聞こえる。
「信じられぬのも、無理は無い、ならば見ているがいい!」
そう言って、男は手を高く天に掲げた。
すると、黒いドラゴンのような生物が、空の彼方から、飛来してきた。
ユリアも人々も、空を見上げた。すると、確かに、黒い物体が飛来してくるのが分かった。
全長十メートルほどの、巨大な生物が、街中に突然降り立ったのだ。
「これから、このグレンの力をお見せしよう」
男は、そう言って、ドラゴンに命じた。
「グレンよ!龍の息吹を空に放て!」




