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暴動

東京渋谷はものすごい騒ぎとなっていた。

渋谷駅前のスクランブル交差点は暴動の嵐でいつも以上に人で溢れかえっていた。

それも、別々の道を行く人々ではない、皆同じ目的を掲げ、同じ道を行く。

その目的が世界を破滅させることで無かったなら、どれほど美しい光景だったことか。

よく聞くと、皆何か同じ事を叫んでいる。一人一人が興奮していて、いまいち聞き取れないが。

確かに、「世界に安楽を!最後の審判の時は来た!」と、叫んでいる。

この群集はどこまでも続き、渋谷区から千代田区にある国会議事堂にまで伸びている。

士郎とセイファはヘリで上空からこの光景を見ていた。

「こんなに、終末を受け入れたい人間が居たんですね・・・。

 僕達がこれまでやってきたことってなんだったんでしょうか?」

「いや、それは違うな・・・」

セイファは断言する、不安げな表情で群集を見る士郎の不安を掻き消すように。

「ただ、終末思想に被せて暴れたいだけの連中ばかりだ。

 ただ、人生に疲れた。何も上手くいかない、面白半分で。

 ラグナロクは、そんな日本人の心を上手く掴んで操ったようだな。

 本当に終末思想を持ってこれに参加している人間は少ないだろう。」

「なるほど、身勝手な暴動って訳ですか・・・。」

士郎は呟く、人間というものの醜さを垣間見せられたようで、逆に士郎は自分のやってきたことに対して疑問を抱いた。人間を救うために、世界を救うために戦うことにどれほどの意味があったのだろうか。

「自分のやってきたことに疑問を抱いているのか?」

図星だった。

セイファは心の奥を見透かすような瞳で、士郎を見つめた。

「自分がやってきたことに一つの間違いも無い、などと誰が断言できる?

 私も色々な後悔を過去に残して今日を生きている、そして、これから私は一生後悔するような事をしでかすかもしれない、それでも、自分が守りたいものを守ろうとするためならば、例えそれが間違いでも、貫く価値はあったのではないか?」

セイファは、士郎に、というよりも自分に呟いた。

そう、これから彼は守りたいものを守るために、少年を生贄にする、そうしてでも守らなければいけないものが、彼にはある。

「そうですね、有難うございます。」

士郎はセイファの胸中には気付かず、笑顔で感謝を述べた。

「感謝を言われる筋合いはない。何故なら私は・・・・。」

その後の言葉は言えない。約束を守るために。

セイファはなんでもない、と言って前方を見た。

国会議事堂が迫っていた。暴動のグループはまだ到着していない。

ヘリはゆっくりと高度を下げ、国会議事堂の前に着陸する。

ガランッとドアが開き、二人は順番にヘリから降りる。

ヘリが高度を上げ、遠ざかっていく、それを見送ると、士郎とセイファは行動を開始した。

セイファは人間にはありえない跳躍力で、二十メートルはあるビルを軽々と飛び越し、ビルの間と間を飛び越えながら、群集を避けて、敵の本拠地に向かう。

士郎はその場にとどまり、敵が来るのを待った。

群集の声はもうすでに聞こえ始めている。


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