戦いへ
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一週間後、士郎の傷は感知しており体に痛みは無く、さすがは現代医学だと感心するばかりだった。
エリアの科学技術は技術レベルで言えば、他の国の比べ物にならない。
もちろん、他の国より高いという意味で。
例えばシュミレーションシステムだってエリアが占有している技術だ。
筋肉の断裂が一週間で治るのも頷けるというものだ。
士郎は病院を既に後にし、軍の保有する訓練施設にあるシュミレーションルームに向かっていた。
訓練施設の入り口のガラス扉、そこにはIDカードを読み取るための機械がセットされており病院とはまた違ったセキュリティーシステムになっている。もっともこの施設に一般人が近寄ろうとすること自体あまりないので軍の人間にとっては余計な手間を取らせるだけの機械だった。
士郎もIDカードを機械にタッチさせ扉が開くのをまった。
「ニンショウシマシタ。」
機械から電子音声がなり、扉が開く。
(まったく、本当に面倒だな、こういうの。)と、士郎は心の中で悪態をついた。
しかしまあ、と士郎は思う。ユリアのように無断で侵入するケースもありえなくはないか、と。
なにはともあれ士郎は施設の中へと入っていくことにした。
いつもの道を歩いて、今日はジムに寄らずにシュミレーションルームに直行する。
しばらく歩いてシュミレーションルーム前に着くと中から複数の人の気配がする。
もうテイルズたちが来ていたことに若干の驚きを感じながら士郎は中へと入る。
案の定、そこにはセイファ率いる一番小隊の面々が集まっていた。
だが、もう一人、士郎の知らない人間がその場にはいた。
白衣を着ており、背がひょろりと長い、癖毛なのか寝癖なのか判別しにくい髪質の人物だった。
その人物は士郎を見るなり駆け寄ってくると、両手を差し出してきた。
「?」
士郎はその行動に戸惑い、困惑した表情を見せた。
「私は今、日常会話における導入、すなわち挨拶を行っている。
極論、握手を求めている。」
「あ、ええと、はいよろしくお願いします。」
士郎は相手の手を取り、挨拶を交わす。
「私は、対未確認生命体対策局兵器開発部門の室長、一番小隊のメンバーに兵器を提供している。極論、私は科学者ドルク、通称ドヴェルグだ。」
「はい、神谷士郎です、よろしくお願いします。」
でもなぜ、と士郎は続けた。
「ここに来た理由、極論、それは君専用の武器をチューンナップするためだ。」
士郎が言い終える前にドヴェルグは質問の内容を看破した。
しかし、ここで士郎はますます分からなくなった。
どうして、兵器開発部門室長ともあろう人間が士郎の武器をつくろうなどと言い出すのだろうか。
「極論、セイファに頼まれたのだよ、君とテイルズとの戦いに立ち会って、君にあった武器を作って欲しいと。無論、断る必要もないし、私は結構暇だから、今回の戦いに立ち会うことにしたのだよ。」
ドヴェルグが言い終えるとセイファが付け足した。
「三番小隊以上の隊員には専用の武器が支給されることになっている。
君が勝てばのはなしだが、君にももちろん専用装備が支給される。」
「なるほど。」
士郎はやっと合点がいった。
「頑張れよ、士郎。」
「シローさん頑張って。」
イグナとサラが士郎に駆け寄り、激励した。
「さあ、始めるぞ。」
そんな中、テイルズが口火を切った。二人の戦いが仮想現実の中で始まろうとしている




