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私の転移物語  作者: ぱんだまる
一章:転移5日前
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転移5日前 栗原律子

一日の授業が終わって放課後。開放感と

ちょっとした期待感溢れる時間の始まり。


「終わったーーーー!今日も俺は立派に耐え抜いたぞぉ!」


「な、なに馬鹿なこと力いっぱい叫んでるの?とっても恥ずかしい人だよ、真一君。」


真一君と麗奈ちゃんはすごく仲良し。

私はそんな二人のやりとりを見ているのがすごく好き。


「は、恥ずかしい人って・・・おまえ、何でこの気持ちをわかってくれないんだ?

 栗原、おまえならわかってくれるよな、この俺の熱い胸の内を・・・。」


「へ?わ、私?あ、えっと・・・ど、どうなんだろう・・・?」


「栗原、遠慮するな。ほら、ほら、ほら、おまえも叫んでみなさい。」


「えっと・・・えっと・・・えっと・・・。」


たまに私も混ざっちゃったりして。すごくドキドキするけど

でも、これも、とても・・・とても好き。


「し、真一君!律子に変なこと教えないでよ!

 律子は真一君と違って恥ずかしい子じゃないんだからね!」


「いや、だから、その恥ずかしい子ってなんだよ・・・ったく。

 お、霧島、もう帰るのか?」


「あぁ、まあな。麻生、おまえはまた部活か?」


「まっ、一応な。霧島~おまえも剣道部に入れよぉ~。

 おまえが入れば団体戦優勝も夢じゃなのによぉ~。」


「時間ができたらな。当分は個人戦で我慢してろ。」


「麻生君、剣道強いんだよねぇ~。この前、県大会で優勝したもんねぇ~。」


すっごくかっこよかった!写メがすごくよく撮れてて、ホント最高!


「まぁ、私の次くらいには強いかもねぇ~。」


麗奈ちゃんもすっごく強いの。うらやましいなぁ・・・。


「く、い、いつまでもおまえに敗けたままだと思うなよ、九条~。

 次こそは、必ずだなぁ・・・。」


「おっ、勝利宣言だね、真一君。なら、今日もコテンパにしてあげようかぁ?」


「麻生、九条に勝てたら考えておいてやるよ。じゃあ、俺は帰るから勝利報告待ってるぞ。」


「お、おいおい、霧島?」


霧島君は運動なんでもできるから、真一君は剣道部に勧誘しているみたい。


「いよいよ負けられなくなったねぇ~麻生君。」


「よろしい、不肖、九条麗奈、お相手いたします。

 北辰一刀流免許皆伝の腕前、思う存分味わってもらうよぉ~。」


「お、おいおい、俺はまだ今日やるとは一言もだなぁ・・。」


ちょっとたじたじな真一君。かわいい。


「がんばってねぇ~麻生君。」


「決まりだねぇ~あそうく~ん。」


「くっ、や、やってやるさ!おう、やってやるとも!」


「んじゃ、さっそく道場に行くぞぉ~!」


「おぉ~!」


「ぉ、ぉぅ・・・。はぁ・・・とほほだな・・・。」


ちなみに、私は剣道部の女子マネージャーさんなのです。

えっへん。というわけで、三人で剣道場に行きました。

麗奈ちゃんは小さい頃からやってるみたいで、すごく強い。

真一君は高校から剣道始めたけど、もう大会で優勝しちゃうくらいの腕前。

すごいなぁ・・・。


「せいやぁーーー!」


「がっ!」


鳴り響く竹刀の音と真一君の悲鳴。


「小手あり、一本!かな?」


「ぷはっ~。これで本日も真一君の100人斬り達成だねぇ~。」


「ぷへぇ~。お、おまえ相変わらず強すぎだぜぇ・・・。

 ぜぇーは、ぜぇーは、ぜぇーは・・・。」


100戦・・・はやってないと思うんだけど、もうずいぶんと真一君は

麗奈ちゃんの特訓で鍛えられていた。

二人とも防具を脱いだら汗だくになっているのが目に見えてわかる。


「ふひぃ~さすがにちょっと疲れたねぇ~。真一くんは少しばてすぎだよぉ~。」


「そ、そんなこと・・・ぜぇーは、い、いったって・・・ぜぇーは、だな・・・ぜぇーは。」


「はい、タオル。汗拭きなよ、麻生君。ビショビショだよぉ~?」


私は真一君にきれいに洗濯して、ちょっと香りをつけた

とっておきのタオルを真一君に手渡す。


「ぜぇーは・・・わ、悪い・・・。」


「はい、麗奈ちゃんも。」


麗奈ちゃんのは・・・まぁそれは言わないのが大人の女って奴なのです。


「ありがと、律子。」


「麗奈ちゃんはホントに強いねぇ~。憧れちゃうなぁ~。」


私も真一君から毎日挑まれるぐらい強ければなぁ・・・。

なんて思ってしまう。


「えへへっ、律子に褒められちゃったよ。

 でも律子には律子の良いところがあるんだし

 私も律子に憧れてるとこいっぱいあるからお互い様だね。」

 

「そ、そんなことないよぉ~。私なんか、全然ダメなんだからぁ・・・。」


「人が怪我してると絶対にほっとけない優しい所。

 小さなことでも絶対に手を抜かない真面目な所。

 子供の世話とか好きで、面倒見の良いお姉さんな所。

  私、そういう律子に憧れてるよ。」


麗奈ちゃん、急に褒めるからびっくりしちゃう。

真一君の前なのに、褒められてにやけちゃうよ。


「や、そ、そんなことないよ~、れ、麗奈ちゃん、おだてないでよぉ~。」


「いつも頼む前に手伝ってくれる、よく気が利く所。

 勉強を丁寧に教えてくれる、親切な所。

 手作り弁当がうまい料理上手な所。

 栗原~おまえは男子の間でも評判いいぞぉ~。」


ぷはっ、もう駄目!真一君にまで褒められたらニヤニヤが止まらないっ!


「あ、麻生君まで、やだよぉ~。みんなして、私をおだてて、もう~。」


「おっ、真一君もたまには良いこというねぇ~。

 でも、真一君の挙げた良いところって全部自分が得することばっかだよねぇ~。」


「ば、ばか、そんなことはないだろう?」


「やだなぁ~律子っていい子だから真一君にいいように利用されないか、私心配だよぉ~。」


「なんだよ、それ・・・。何か、俺が非常に極悪人って感じに聞こえないか?」


「だって、それが真実だからねぇ~。律子、真一君には気をつけないとダメだよぉ~。」


「もう、麗奈ちゃん、あまり麻生君をいじめたらかわいそうだよ。」


「よかったね~、真一君、律子が優しい子でぇ~。」


「だから、俺はだなぁ・・・。」


私と麗奈と真一君。みんな仲良し。でも、仲良しだからこそ、不安なこともある。

考えすぎちゃ駄目。

毎日楽しいじゃない。それ以上、望んだら・・・望んだら駄目。

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