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夢現新星譚  作者: 富南
【Ⅰ】夢と現の星間郵便 第5章:邪神教団
67/70

67 空戦

「待ちなさい! 貴方達はこの星から逃げられませんわ!」


 白猫に変身したアイリスは、バルコニーでクルマに乗り込もうとしているクロードとルイに追いつこうとしていた。

 アイリスは尻尾で器用に自分の影から黒い短剣を取り出し、そしてそれをルイに向けて投げた。

 だが、閉じられたクルマのドアに阻まれ、地面に落ちて消失した。


「追いかけるわ! そこの者、運転しなさい!」


 アイリスは端末でクルマを呼び出し、近くにいた猫を指す。すると、その猫は人型になりクルマに乗り込んだ。


「アイリス様はどちらに乗られますか?」


 人型になった猫がアイリスに聞いた。


「私はここよ~!」


---


「教祖様、この後の予定ですが……」

「知っておーる。団員ーの前ーでの演説だーな?」

「はい。この通りに」

「うむー」


 ルイとクロードの乗るクルマが少しずつ上昇している。


「止まりなさい~! もっと近づけて~!」


 ルイ達のクルマに近づいてくるアイリス。

 空気抵抗なんて関係なく、クルマの上に仁王立ちしている。


「影が小さいわね~……。私の前から太陽が当たるように、動けないかしら~?」


 何かに向かって無茶ぶりを言っている。すると、アイリスの右上から当たっていた日光が、正面から当たるように太陽が移動した。


「な!? 急に眩しく! ヒヒヒ……アイリスか!」


 ルイは自動運転モードから手動運転モードに切り替え、一気に降下した。


「クヒヒ! ルイー! 何ーを出し惜しみしてーいるのでーす。やりなさーい!」


 クロードはそう言い、カーオーディオがある位置にあった赤いボタンを押した。すると荷台が開き、機関銃が出てきてアイリスのクルマに撃ってきた。


「キキキ! そのまま真っ直ぐ突っ切って~」


 アイリスが乗ったクルマは、真っ直ぐ飛びその弾幕を()い潜る。そして、自身の影から黒い大剣を取り出し、それを下降したルイ達のクルマに向けて投げつけた。


「ヒヒヒ! ぐっ!」


 ルイ達のクルマはその大剣を辛うじて避けたが、右後輪に掠ったようで破裂した。


「ルイー! 思いっきり避けなさーい!」

「かしこまりました……ヒヒヒ」


 アイリスは二投目を投げたが、大きく上昇したルイ達のクルマに当たらず、下に落ちていった。


「食らいなさい!」


 アイリスと同じ高さに上昇したルイは、荷台の機関銃を撃ちまくる。


「キキキ!」


 アイリスはそれを降下して避け、クルマの下に向けて大剣を投擲(とうてき)した。


「ヒヒヒ……下からだと見えないと思いました? 下にもカメラがあるので、残念でした」


 ルイ達のクルマが右に大きく動き、大剣を避ける。


「キキキ……さっさと落ちなさい〜!」


 アイリスのクルマがルイ達のクルマに追いつき、並走した。そして、アイリスはルイ達のクルマの上に飛び移る。


「乗られましたか」

「早く振り下ろしなさーい!」


 ルイはハンドルを右に一回転させる。クルマが右回りに回転をしだした。


「キキキ! これしきで落ちないですわよ〜」


 アイリスは大剣を天井に刺した。

 貫通した大剣は後部座席を貫く。


「おやおーや。こんな所ーに刺しちゃってーもいいのですーか? 現人神」


 そう言い、クロードはポケットから何かを取り出す。そして、それのピンを抜き取って、後部座席に投げ込んだ。

 それは小さな破裂音と共に、強い光がルイ達のクルマの中を包み込んだ。


「ぐっ……キキキ……まだよ〜!」


 握っていた大剣が消失し、クルマから振り下ろされるアイリス。

 その落ちたアイリスを、夢の住民の猫人が運転しているクルマが拾った。


「ありがと〜。でも、すぐに動いてちょうだい〜。来るわよ〜」


 アイリスはそう言った直後、ルイ達のクルマの荷台にある機関銃から、弾幕がアイリスのクルマに降り注ぐ。

 アイリスのクルマは、それをギリギリで避けた。そして、少しだけルイ達のクルマに近づいた。


「ナイスよ〜! もうそろそろ落ちてもいいわよ〜」


 アイリスは大剣を影から取り出し、それを縦回転するように投げた。

 大剣はブンブンという空を切る音を立てながら、ルイ達のクルマを襲う。

 ルイ達のクルマは、それを避ける。


「ヒヒヒ……もうその手は通用しないと思ってください」

「それはどうでしょうね〜?」


 アイリスの影からまた大剣が出てくる。そしてそれを投げ、また大剣を取り出す。そして、それをすぐに投げ、また取り出しを繰り返している。


「ヒヒヒ……ヤケクソですか?」


 ルイは、クロードが投げた空き缶のような形状の物を落としてきた。

 その落とした物が空中で爆発し、辺り一面を眩しい光が包む。

 アイリスの大剣はまた消失した。


「対策されてるわ〜……上昇してちょうだい〜」


 アイリスのクルマが、上昇しながらルイ達のクルマに下から近づく。そしてアイリスは、脇腹にできた影から黒い短剣を取り出し、投げては取り出しを繰り返す。


「クヒヒ! そんな軽い剣ーだと傷ーしかつかないでーす。そろそろ疲れーてきましたーか?」


 クロードは窓を開けて、音叉を叩こうとした。


「キキキ……! 今よ〜!」


 アイリスの合図と共に、私は音叉を狙い撃ちした。

 音叉はルイの前を横切り、ルイ側の窓から外に落ちていった。

続きます!

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