67 空戦
「待ちなさい! 貴方達はこの星から逃げられませんわ!」
白猫に変身したアイリスは、バルコニーでクルマに乗り込もうとしているクロードとルイに追いつこうとしていた。
アイリスは尻尾で器用に自分の影から黒い短剣を取り出し、そしてそれをルイに向けて投げた。
だが、閉じられたクルマのドアに阻まれ、地面に落ちて消失した。
「追いかけるわ! そこの者、運転しなさい!」
アイリスは端末でクルマを呼び出し、近くにいた猫を指す。すると、その猫は人型になりクルマに乗り込んだ。
「アイリス様はどちらに乗られますか?」
人型になった猫がアイリスに聞いた。
「私はここよ~!」
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「教祖様、この後の予定ですが……」
「知っておーる。団員ーの前ーでの演説だーな?」
「はい。この通りに」
「うむー」
ルイとクロードの乗るクルマが少しずつ上昇している。
「止まりなさい~! もっと近づけて~!」
ルイ達のクルマに近づいてくるアイリス。
空気抵抗なんて関係なく、クルマの上に仁王立ちしている。
「影が小さいわね~……。私の前から太陽が当たるように、動けないかしら~?」
何かに向かって無茶ぶりを言っている。すると、アイリスの右上から当たっていた日光が、正面から当たるように太陽が移動した。
「な!? 急に眩しく! ヒヒヒ……アイリスか!」
ルイは自動運転モードから手動運転モードに切り替え、一気に降下した。
「クヒヒ! ルイー! 何ーを出し惜しみしてーいるのでーす。やりなさーい!」
クロードはそう言い、カーオーディオがある位置にあった赤いボタンを押した。すると荷台が開き、機関銃が出てきてアイリスのクルマに撃ってきた。
「キキキ! そのまま真っ直ぐ突っ切って~」
アイリスが乗ったクルマは、真っ直ぐ飛びその弾幕を掻い潜る。そして、自身の影から黒い大剣を取り出し、それを下降したルイ達のクルマに向けて投げつけた。
「ヒヒヒ! ぐっ!」
ルイ達のクルマはその大剣を辛うじて避けたが、右後輪に掠ったようで破裂した。
「ルイー! 思いっきり避けなさーい!」
「かしこまりました……ヒヒヒ」
アイリスは二投目を投げたが、大きく上昇したルイ達のクルマに当たらず、下に落ちていった。
「食らいなさい!」
アイリスと同じ高さに上昇したルイは、荷台の機関銃を撃ちまくる。
「キキキ!」
アイリスはそれを降下して避け、クルマの下に向けて大剣を投擲した。
「ヒヒヒ……下からだと見えないと思いました? 下にもカメラがあるので、残念でした」
ルイ達のクルマが右に大きく動き、大剣を避ける。
「キキキ……さっさと落ちなさい〜!」
アイリスのクルマがルイ達のクルマに追いつき、並走した。そして、アイリスはルイ達のクルマの上に飛び移る。
「乗られましたか」
「早く振り下ろしなさーい!」
ルイはハンドルを右に一回転させる。クルマが右回りに回転をしだした。
「キキキ! これしきで落ちないですわよ〜」
アイリスは大剣を天井に刺した。
貫通した大剣は後部座席を貫く。
「おやおーや。こんな所ーに刺しちゃってーもいいのですーか? 現人神」
そう言い、クロードはポケットから何かを取り出す。そして、それのピンを抜き取って、後部座席に投げ込んだ。
それは小さな破裂音と共に、強い光がルイ達のクルマの中を包み込んだ。
「ぐっ……キキキ……まだよ〜!」
握っていた大剣が消失し、クルマから振り下ろされるアイリス。
その落ちたアイリスを、夢の住民の猫人が運転しているクルマが拾った。
「ありがと〜。でも、すぐに動いてちょうだい〜。来るわよ〜」
アイリスはそう言った直後、ルイ達のクルマの荷台にある機関銃から、弾幕がアイリスのクルマに降り注ぐ。
アイリスのクルマは、それをギリギリで避けた。そして、少しだけルイ達のクルマに近づいた。
「ナイスよ〜! もうそろそろ落ちてもいいわよ〜」
アイリスは大剣を影から取り出し、それを縦回転するように投げた。
大剣はブンブンという空を切る音を立てながら、ルイ達のクルマを襲う。
ルイ達のクルマは、それを避ける。
「ヒヒヒ……もうその手は通用しないと思ってください」
「それはどうでしょうね〜?」
アイリスの影からまた大剣が出てくる。そしてそれを投げ、また大剣を取り出す。そして、それをすぐに投げ、また取り出しを繰り返している。
「ヒヒヒ……ヤケクソですか?」
ルイは、クロードが投げた空き缶のような形状の物を落としてきた。
その落とした物が空中で爆発し、辺り一面を眩しい光が包む。
アイリスの大剣はまた消失した。
「対策されてるわ〜……上昇してちょうだい〜」
アイリスのクルマが、上昇しながらルイ達のクルマに下から近づく。そしてアイリスは、脇腹にできた影から黒い短剣を取り出し、投げては取り出しを繰り返す。
「クヒヒ! そんな軽い剣ーだと傷ーしかつかないでーす。そろそろ疲れーてきましたーか?」
クロードは窓を開けて、音叉を叩こうとした。
「キキキ……! 今よ〜!」
アイリスの合図と共に、私は音叉を狙い撃ちした。
音叉はルイの前を横切り、ルイ側の窓から外に落ちていった。
続きます!
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