60 宇宙ステーションに蔓延る教団
私は、小太りの局員の横にある扉をゆっくりと開いた。
「あん? どうしたE4。見張ってろって言っただろ……あ? 何だこれ」
その隙間から夢羽が握った物を放り込み、すぐに扉を閉めた。
「ごほごほ! なんだ! ごほごほ!」
扉の向こうで、何かで咽ている。
「夢羽、何投げたの?」
「催涙ガスよ」
そう言い、カバンからガスマスクを2つ取り出し、1つを渡してきた。私はそれを受け取る。
「そんなの作ったんだ……」
「持ってたのよ」
作ったとは言わない夢羽。
「そろそろいいかな?」
ガスマスクを着けた夢羽が扉に近づく。そして、それを開いた。
扉の中から白いガスがこちら側に流れ込んできた。
「結構な量だね……。おっと、1人は扉の近くっと」
さっき声がした1人だろうか。その局員が痙攣をして横たわっている。
私はその倒れている局員を、踏まれない位置に移動する。
「お前! 何をしたー!?」
宇宙ステーションの回っている部分のようで、カーブのかかってる長い廊下のようだ。
その奥から2人の細めの局員がこちらに近づいてくる。
よく見ると、その2人の奥の方に1人とうずくまった人が1人いるようだ。
うずくまった人の頭が見えない。何かを被っているようだ。
私は近づいてくる1人に詰め、刀で腹を殴った。
男はゴホと言いながら前に倒れる。
私は倒れてきた男を避けた。
もう1人の中性の局員が夢羽に近づく。
私はその局員の足を、非殺傷弾にしていた拳銃で撃った。
局員は撃たれた足を抱えて横に倒れたので、刀をつくちゃんに帯電させ、それで背中を軽く叩いた。
局員はビリビリと痺れ、ぐったりとする。
私は局員の側に屈み、気絶したか確認して立ち上がった。
「E2とE3、やはりダメか。 ヒヒ!」
奥にいた男改め邪教徒はそう言い、足元に置いてあった自動小銃を構え、それを撃とうとした。
「おっと、撃たさないよ」
私は拳銃を構え、邪教徒の小銃を握った手を狙い、撃った。
「ぐあ!!」
弾は命中し、小銃を落とす邪教。
「ヒ……ヒヒヒ。噂通りの人ですな。神技のような銃捌きで、どのような物も撃ち抜く、鬼のような軍部部長」
「そんな噂流れてるんか……それより! そこの人に何をしているの? 放して!」
私は銃を邪教徒に向けた。
「放してやるが遅かったな。ここでの我々の仕事は終わりだ。あとはお前達の足止めだけだ!」
邪教徒は仁王立ちし、指をパチンと鳴らした。
そして、何かを被った人を抱え、奥へと姿を消した。
「ゴハッ……ウーーアーー!」
すると、さっき倒したはずのE2とE3とE4と呼ばれた邪教徒が血を吐いた後、呻き声を上げながら立ち上がった。まるで他の夢の星にいた狂人のようだ。
「うわ! さっき倒したのにもう起き上がったわ!」
「まずいね……。囲まれた……」
私と夢羽は背中合わせに立ち、武器を構えた。
「「ヒヒヒ! ヒヒヒ!」」
邪教徒狂人達は、笑いながら首を右左とグキグキ言わせ、どんどん前に詰めてくる。
私はカバンに手を突っ込み、端末を握り、両サイドのボタン長押しした。
「やれ!」
「ヒヒー!」
小太りの邪教徒が私達に指を差した。
その命令と同時に、邪狂人3体が襲いかかってきた。その時、
「お嬢!」
「隊長さん!」
扉がバンっと勢いよく開き、タツロウとサトウが銃を構えながら中に入ってきた。
そして、私達に襲いかかろうとする邪狂人2体に数発撃ち込んだ。
「助かった!」
私は、2人が狙えない狂人に対し、帯電刀で殴って感電させた。
狂人はビリビリ痺れた後、うつ伏せのまま倒れた。
「緊急連絡が入ったから何事かと思ったら、奴らがいたんだな」
「私を捕まえた奴ですか!」
「いや、あれとはまた別の組織だ」
「そうなんですね……」
私は帯電している刀を鞘に収めた。
「お嬢、追いかけるのか?」
「うん。誰か連れて行かれたからね。助けなくちゃ」
「りょーかい。俺達は外で待機して、逃げた奴らをどうにかするぜ」
「うん、そのようにお願い」
「おう、りょーかい!」
「りょーかいです!」
タツロウとサトウは来た道を引き返す。
「夢羽、さっき襲われそうだったけど、大丈夫?」
「うん。風羽が守ってくれたからね。ありがと」
「どういたしまして。それじゃ、奥に行くよ」
「おっけー」
私は銃を構えながら夢羽の前を歩く。
夢羽は、腰のベルトにぶら下がっている手榴弾系の1つを握る。
「あの奥、すごく臭う」
廊下を進むと、宇宙ステーションの内側に扉があった。
夢羽はそこを指しているようだ。
扉の上にプレートがあり、中央室と書かれていた。
「入るよ」
「うん、気をつけて」
私は扉に手をかける。
そしてゆっくりと開き、中に銃を向けてから入った。
「ヒヒ! ここまで来たか。少しはやるようだな。だが、もう用は済んだ。さらばだヒヒ!」
扉を開けた瞬間、邪教徒が地面に何かを投げ、爆発させた。
私達はその爆発を避けるために扉を閉め、再び開けた。
「うわ! 煙い!」
「手榴弾ではなくて煙幕だったみたいだね」
「逃げたみたいね。あの人はどこ?」
「煙で前が見えないな。空調のスイッチあるかな?」
壁をペタペタと触った。
何かに触れた感じはしなかったが、どんどん前が見えるようになってきた。
「無さそうね。でも、煙晴れてきたよ」
「そうだね。あの人は?」
キョロキョロと周囲を確認した。
「いた! ……壺被ってる」
壁側の方に、何かを被ったまま微動だにしない人が座っていた。
「これって……やはりあの壺! 今抜くね」
よく見ると、局員の制服を着ていない。
その夢の主と思われる人は床に座ってぐたっとしており、自分で壺を取ろうとしない。
私は首を支えながら壺を抜き去った。
続きます!
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