48 仮面のマッドサイエンティスト
あーだこーだ言い争いをしていたら住宅街の中に入り、目標の座標に近づいてきた。
これだけ騒いでいるのに、目標は微動だにしない。
「これ、本当にあの科学者?」
「たぶんね~。邪教の団長よ~。団長や教祖の名前を聞こうとしたり、邪教について聞こうとしたら消滅しちゃうから厄介なのよね~」
砂と廃墟の星で、教祖様って言いながら消滅したのはそういうことだったんだ……。
私達は目標がいると思われる建物の中に入った。
1階建て平屋だが、柱以外何も無い。
その奥に、白髪の長身で局員の制服を着た人が、こちらに背を向けて立っていた。
局員用カバンも肩にかけており、膨らんでいるように見える。
「邪教の団長! 両手を頭について、こちらを向きなさい!」
電撃弾の銃を構え、長身の局員に向ける。
「ヒヒヒ。お待ちしておりました、霊神ソラ様とその御一行様」
長身の局員は振り返る。
振り返ると同時に、カバンから白衣を取り出してそれを羽織った。
顔には仮面を被っていて素顔がわからないが、前に雲の星で会った科学者と同一人物だろう。
「邪教の団長! 消えなさい!」
アイリスは発煙筒を焚いてそれを部屋の隅に投げて明るくし、どこからか取り出したいつもより小型の剣を2本両手に握り、仮面の科学者に斬りかかる。
「手間が省けて助かります。教祖様より、霊神ソラ様の保護と御一行の排除を命じられております」
そう言い仮面の科学者が指を差すと、骸骨顔が2体天井を突き破って降りてきた。
「げ! 骸骨顔! 夢羽の確保が目的みたいだから、私の後ろに下がってて!」
「ソラさんじゃないんだけど……わかったわ」
夢羽は若干不満そうだが、私の後ろに下がってくれた。
「さて……電撃対策もされてるし、ロボットだから銃弾も効かない。火しかない?」
「ぶった切ればいいのよ~!」
アイリスは2本の剣を振り下ろす。
骸骨顔はそれを受け止める。
「それができたら苦労しないよ!」
もう1体の骸骨顔が夢羽を狙ってきたので、私はそれを阻止するために銃を撃ちながら左手のナイフで大鎌の攻撃をいなす。
「光源が足りないわ~。夢羽様か風羽、何か光るものないかしら~?」
大剣より重さがないからか大鎌を切る事ができず、受けて斬るしかできていない。
「これでいい?」
夢羽は、カバンの中からサイリウムより太いプラスチックの棒を取り出した。
「なにそれ?」
骸骨顔の攻撃をいなしながら、夢羽が取り出した物を見る。
「サイリウムよ。ちょっとだけ光量が強いわ」
「さすが夢羽様〜! わかってらっしゃるわ〜!」
アイリスはそれを受け取り、折ってその場に捨てた。
太いサイリウムは光を放ち始める。
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時は少し戻り、星の外に行ったタツロウとサトウ。
「あ、これお嬢に渡すの忘れていたぜ」
タツロウはサトウから預かった手紙をカバンから取り出す。
「今から戻って隊長さんと合流しますか?」
助手席に座るサトウは手紙を預かる。
「そうしたいが、後ろの局員を放置するわけにはいかないんだよな」
タツロウは後頭部を掻く。
その時、タツロウのカバンから端末の着信音が聞こえてきた。
「なんだ?」
タツロウはカバンから端末を取り出し、それに応答した。
「あ! やっと繋がりました! 副隊長、待ってましたよ!」
「その声はチョウか!」
電話の主はチョウだったようだ。
「はい! ずっと圏外で心配しました。隊長はまだ圏外のようですが、まだ星の中ですか?」
「ああ。今、時差の調査をしている所だ。ところでチョウ、今どこだ?」
「すぐ近くにいます!」
タツロウは周囲を見渡す。
近くに、赤いライトがチカチカと点滅を繰り返しているクルマが停まっていた。
「あれか!」
タツロウはクルマを回し、その停まっているクルマの横につけた。
「あ、副隊長! 近くにいたんですね!」
「助かったぜ。ほれ、要救助者3名だ」
そう言い、タツロウは両方のクルマの後部座席のドアを開き、気絶している局員2名を乗せ替えた。
2名のシートベルトを締めた後、サトウを見る。
「ほれ、お前さんもだよ、サトウさん」
「いえ、私はタツロウさんについていきます!」
「いやいや、お前さんはただの配達員なんだから、そっちに乗るんだよ」
「じゃあ、私も救助隊に入隊します!」
そう言って、サトウは頑なに降りようとしない。
「ったく、臆病なのに何に感化されたのやら。わかったが、これだけは使えるようにしておけよ」
「はい?」
タツロウは、チョウが乗ってるクルマの荷室を開き、そこの中にあったアタッシュケースの中から1丁の拳銃とそれを収めるホルスターベルトをサトウに渡した。
「銃じゃないですか!」
「ああ、銃だ。これくらい使えるようにならんと、救助した人を守ることできんぞ」
タツロウがそう言うと、サトウは渋々受け取り、ホルスターを腰に付けた。
そして、いくつか弾倉を渡したのでそれを受け取り、その内の2本をベルトに差した。
「それでいい。入隊志願感謝する。帰ったら救助者の応急処置の方法とか教えるから、今回は俺のサポートに回ってくれ」
「わかりました!」
「返事はりょーかいだ」
「りょーかいです!」
「よし!」
そう言いタツロウはクルマに乗り込む。
「チョウ、要救助者2名を頼む」
「副隊長はどうするんですか?」
「また降りる。これ届け忘れたんでな」
タツロウは、サトウが持っている手紙をチョウに見せる。
「りょーかいです。気をつけて下さい」
「ああ。行くぞ」
「はい」
タツロウとサトウは再び夢の星への降下を始めた。
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「良い光だわ〜!」
アイリスはそう言い持っていた2本の剣を手放し、床から湧いて出てきた大剣を握った。
そして、それを振り下ろして叩き斬ろうとした。
「あれ~?」
「アイリス、上」
私は骸骨顔の攻撃をいなしながら上を指す。
「あら~、高さが足りないわね~」
そう言い大剣を手放したと思ったら、再び床から出てきた大剣を握り、今度は横薙ぎに振り回した。
骸骨顔はその攻撃を大鎌で防ぐが、重さで吹き飛ばされる。
そして、2体目の骸骨顔と衝突し、そのまま2体とも壁まで飛ばされて激突した。
「……バカ力?」
「違うわよ~!」
私は壁で怯んでいる骸骨顔2体に向けて、カバンから取り出した瓶に火を点け、投げた。
骸骨顔は、燃えて動かなくなった。
「ヒヒヒ。私の傑作達を! ですが、まだまだです!」
仮面の科学者は再び指す。
すると、屋根の上で何かが突然爆発し、瓦礫が降り注いできた。
私が夢羽を庇うと、更にアイリスが私と夢羽を大剣を盾に庇ってくれた。
「あ、ありがとう」
「キキキ、その素直にお礼を言う所、好きよ~。でも、夢羽様を私に渡さないから嫌いよ~」
「どっちだよ……」
私はアイリスを見た後、その先の建物の上を見た。
そこには複数体の骸骨顔がいて、見下ろしていた。
その中の1体が、筒のような物を担いでいる。
「あれってロケットランチャーか何か?」
「たぶんそうね~。厄介ね〜」
アイリスは大剣の形状を大きな盾に変えた。
「え? 何その剣。盾にもなるの?」
「キキキ。敵に私の情報喋るわけないでしょ~」
「その敵を庇ってるんだけど……」
「夢羽様は味方よ~。ですが、フンは敵ですわ~」
「私は風羽だ!」
言い争いをしていたら、仮面の科学者は痺れを切らしたのか、また私達を指して命令をした。
「来るよ!」
私は身構える。
「お嬢! 遅くなった!」
降りようとした骸骨顔の上に、突然クルマが現れた。
そしてそこから、先端に火の点いた瓶が数本投下され、骸骨顔達が一気に火に包まれ、落ちてきた。
続きます!
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