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夢現新星譚  作者: 富南
【Ⅰ】夢と現の星間郵便 第2章:現れる脅威と新たな力
33/70

33 共闘

 そのカバンの中から、大量のネズミが出てきた。

 中には大型のネズミもいて、さっきと同じように口の中に機関銃を装備していた。


「ヒヒヒ! 2人まとめて捕まえなさい! 部長級と団長級の魂だと、さぞかし美味しいのでしょうね……」


 白衣の人は、ネズミの群勢に命令をする。

 ネズミ達は私とアイリスを見て、よだれを垂らし始めた。


「え? ロボットじゃないの?」

「ロボットだと思うけど……魂の回収装置でも組み込まれているのかしら?」

「夢羽様とその他〜? 巻き込まれたくなかったら、下がりなさい〜」


 アイリスが大剣を持ち上げる。


「その他ってなんだよ……ってうわ!? すぐ下ろさないでくれる!?」

「あら〜? 風羽は巻き込まれてもいいから、下ろしちゃったわ〜」


 そして、すぐに地面に叩きつけた。

 ネズミ達はアイリスの剣を避けたが、衝撃波でも出ているのか、なぜか半分以上が大破した。


「全然連携取れてないですねー。(わたくし)のかわいいネズミ達はこの通りですよ……ヒヒヒ!」


 ネズミ達は隊列を組み、敬礼をした。


「……ロボットだな」

「……夢ね〜」


 アイリスも同意見のようだ。


「夢羽様の腰巾着(こしぎんちゃく)〜。あいつをどうにかする間だけ休戦よ〜」


 アイリスは大剣を振り回す。

 振り回す際、ちゃんと私を避けてくれている。


「腰巾着……まあ、りょーかい。出来れば停戦で、監視なしの生活をさせてくれたら嬉しいな」


 拳銃とナイフを抜き、つくちゃんに拳銃を電撃銃にしてもらった。


「それはできない相談ね〜……キキキ」


 振り回している大剣で、どんどんネズミ達が駆逐(くちく)されていく。


「アイリス! あっちには近づかないで……ね!」


 私はネズミが集まっている所に電撃銃を撃ち放った。

 ネズミ達は私が放った電撃弾を避けたが、地面に着弾した(のち)周囲に漏電し、避けたネズミ達全て感電して焼け焦げた。


「とんでもない攻撃するわね~風羽。それも貴方のチカラなのかしら~?」

「いやこれは……武器のチカラだよ」


 アイリスの後ろを見ると、夢羽は両腕で大きくバツを使っていたので、つくちゃんの事は言わなかった。


「ふーん……」


 アイリスは、つくちゃんが憑いた銃をじっと見ている。


「まあ、いいわ~」


 大剣を地面に叩きつけ、周囲のネズミ達を衝撃波? で退治している。


「ヒヒヒ! そろそろ身動き取りにくくなってきたはず」


 白衣の人が言った通り、自分達の周囲に小型のネズミが集まってきている。

 アイリスが一応数を減らしてくれているのと、大剣を振り回しているおかげで、近づいてくるネズミはいない。

 だが、このままだとアイリスが疲弊(ひへい)してネズミが集まってきてしまう。


「ヒヒ! 第二弾です! やっちゃいなさい!」


 白衣の人の近くで待機していた大型のネズミ達が、横1列に並び口を開いた。


「あのネズミって」

「厄介な銃撃ってくるネズミね~」


 口の中から機関銃が出てきて、それを撃ち始めた。

 アイリスはその制圧射撃を大剣でガードする。

 私と夢羽は、その後ろに隠れた。

 少しの間続いたが、弾切れになったのか、一斉に制圧射撃が止んだ。


「アイリス!」

「? なによ~?」


 私はアイリスの横に移動し、私の声掛けに答えたアイリスに、ピンを抜いていない手榴弾を投げた。


「はあ~!?」


 野球ボールのように手榴弾を大剣で打ち、大型ネズミ達の足元に飛ばした。

 そして私は、その手榴弾に向けて普通の弾を撃った。


「……風羽~!?」


 アイリスは当然だが怒っている。


「ごめんごめん。さっき落下中にもやってたから、今度もやってくれるって信じてた」

「何が信じてたよ~! できなかったらどうするのよ~!」

「まあ、ピン抜いてなかったし……」

「そういう事じゃない~!」


 大剣を地面に刺し、私の両肩を掴んで身体を揺らしている。


「まあまあ……あたしを守ったということで……ね?」

「……はぁ……夢羽様がそうおっしゃるのでしたら~……次はちゃんと事前に打ち合わせするのよ~」

咄嗟(とっさ)の事だと無理な気が……」

「何か言ったかしら~?」

「いえ、何も言ってません。了解です!」

「うん、それでいいのよ~……あら?」


 アイリスは大剣を回収し、周囲を見る。

 景色がぐにゃぐにゃと歪み始めている。


「あー……さっきの爆発で、夢の主少しびっくりしたのかも。起きる兆候だね」


 私もカバンを背負う。

 すると


「うん、追い出されたね」

「あいつはどこ行ったの~?」


 あいつというと、白衣の人の事かもしれない。

 宇宙に放り出されたので、土埃なども消えて視界がクリアになっている。

 その少し離れた所に、さっきの白衣の人が立っていた。

 かなり遠いが、タツロウと救助対象者と逮捕対象者も見つけることができた。


「ヒヒ! ここでは分が悪いですね。退散させていただきますね」


 白衣の人はそう言い、カバンからクルマを出した。


「待て!」

「待ちなさい!」


 私とアイリスはそのクルマに近づく。

 しかし、


「うわ! はや……」

「……あれが噂の邪教のマッドサイエンティストね~」

「そんな奴がいるんだ……」


 あっという間に逃げていった白衣の人。

 それを少し悔しそうに見るアイリス。


「さて…… あいつをどうにかする間だけ休戦でしたわね〜」


 そう言い、私を見る。

 だが、持っていたはずの大剣は手元にない。

 私はナイフを抜こうと構える。


「と言いたい所ですが、ここでは私も分が悪いわね〜……。次会う時まで休戦という事にしましょ〜」

「そ、そう……」


 私は腕を下ろす。


「それでは夢羽様、ごきげんよう〜」


 ドレスでも着ているのかという感じの上品な挨拶をした後、アイリスもクルマを出し、この場を去った。


「行っちゃったわね……」

「嵐が去ったという感じだわ……っと、タツロウさん迎えに行かなきゃ」


 自分もクルマを出し、遠くで待っているタツロウの方へと向かう。


「お嬢! 無事だったか!」

「うん。タツロウは大丈夫だった?」

「おうよ。と言いたい所だが、不思議な体験をしてな。それで助かったと言っていいかもしれないな!」


 救助対象者を後部座席に座らせ、逮捕対象者は縛ったまま後部座席に座らせた。

 そしてタツロウは自分でクルマを出した。


「不思議な体験?」

「ああ。っと、立ち話もあれだし、部長室で話そうぜ」

「うん、わかった」


 私の返事を聞き、タツロウは自分のクルマに乗り、そして走り去った。


「……あれ? 夢羽の事見えてなかったような?」


 私は夢羽を見る。

続きます!

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