33 共闘
そのカバンの中から、大量のネズミが出てきた。
中には大型のネズミもいて、さっきと同じように口の中に機関銃を装備していた。
「ヒヒヒ! 2人まとめて捕まえなさい! 部長級と団長級の魂だと、さぞかし美味しいのでしょうね……」
白衣の人は、ネズミの群勢に命令をする。
ネズミ達は私とアイリスを見て、よだれを垂らし始めた。
「え? ロボットじゃないの?」
「ロボットだと思うけど……魂の回収装置でも組み込まれているのかしら?」
「夢羽様とその他〜? 巻き込まれたくなかったら、下がりなさい〜」
アイリスが大剣を持ち上げる。
「その他ってなんだよ……ってうわ!? すぐ下ろさないでくれる!?」
「あら〜? 風羽は巻き込まれてもいいから、下ろしちゃったわ〜」
そして、すぐに地面に叩きつけた。
ネズミ達はアイリスの剣を避けたが、衝撃波でも出ているのか、なぜか半分以上が大破した。
「全然連携取れてないですねー。私のかわいいネズミ達はこの通りですよ……ヒヒヒ!」
ネズミ達は隊列を組み、敬礼をした。
「……ロボットだな」
「……夢ね〜」
アイリスも同意見のようだ。
「夢羽様の腰巾着〜。あいつをどうにかする間だけ休戦よ〜」
アイリスは大剣を振り回す。
振り回す際、ちゃんと私を避けてくれている。
「腰巾着……まあ、りょーかい。出来れば停戦で、監視なしの生活をさせてくれたら嬉しいな」
拳銃とナイフを抜き、つくちゃんに拳銃を電撃銃にしてもらった。
「それはできない相談ね〜……キキキ」
振り回している大剣で、どんどんネズミ達が駆逐されていく。
「アイリス! あっちには近づかないで……ね!」
私はネズミが集まっている所に電撃銃を撃ち放った。
ネズミ達は私が放った電撃弾を避けたが、地面に着弾した後周囲に漏電し、避けたネズミ達全て感電して焼け焦げた。
「とんでもない攻撃するわね~風羽。それも貴方のチカラなのかしら~?」
「いやこれは……武器のチカラだよ」
アイリスの後ろを見ると、夢羽は両腕で大きくバツを使っていたので、つくちゃんの事は言わなかった。
「ふーん……」
アイリスは、つくちゃんが憑いた銃をじっと見ている。
「まあ、いいわ~」
大剣を地面に叩きつけ、周囲のネズミ達を衝撃波? で退治している。
「ヒヒヒ! そろそろ身動き取りにくくなってきたはず」
白衣の人が言った通り、自分達の周囲に小型のネズミが集まってきている。
アイリスが一応数を減らしてくれているのと、大剣を振り回しているおかげで、近づいてくるネズミはいない。
だが、このままだとアイリスが疲弊してネズミが集まってきてしまう。
「ヒヒ! 第二弾です! やっちゃいなさい!」
白衣の人の近くで待機していた大型のネズミ達が、横1列に並び口を開いた。
「あのネズミって」
「厄介な銃撃ってくるネズミね~」
口の中から機関銃が出てきて、それを撃ち始めた。
アイリスはその制圧射撃を大剣でガードする。
私と夢羽は、その後ろに隠れた。
少しの間続いたが、弾切れになったのか、一斉に制圧射撃が止んだ。
「アイリス!」
「? なによ~?」
私はアイリスの横に移動し、私の声掛けに答えたアイリスに、ピンを抜いていない手榴弾を投げた。
「はあ~!?」
野球ボールのように手榴弾を大剣で打ち、大型ネズミ達の足元に飛ばした。
そして私は、その手榴弾に向けて普通の弾を撃った。
「……風羽~!?」
アイリスは当然だが怒っている。
「ごめんごめん。さっき落下中にもやってたから、今度もやってくれるって信じてた」
「何が信じてたよ~! できなかったらどうするのよ~!」
「まあ、ピン抜いてなかったし……」
「そういう事じゃない~!」
大剣を地面に刺し、私の両肩を掴んで身体を揺らしている。
「まあまあ……あたしを守ったということで……ね?」
「……はぁ……夢羽様がそうおっしゃるのでしたら~……次はちゃんと事前に打ち合わせするのよ~」
「咄嗟の事だと無理な気が……」
「何か言ったかしら~?」
「いえ、何も言ってません。了解です!」
「うん、それでいいのよ~……あら?」
アイリスは大剣を回収し、周囲を見る。
景色がぐにゃぐにゃと歪み始めている。
「あー……さっきの爆発で、夢の主少しびっくりしたのかも。起きる兆候だね」
私もカバンを背負う。
すると
「うん、追い出されたね」
「あいつはどこ行ったの~?」
あいつというと、白衣の人の事かもしれない。
宇宙に放り出されたので、土埃なども消えて視界がクリアになっている。
その少し離れた所に、さっきの白衣の人が立っていた。
かなり遠いが、タツロウと救助対象者と逮捕対象者も見つけることができた。
「ヒヒ! ここでは分が悪いですね。退散させていただきますね」
白衣の人はそう言い、カバンからクルマを出した。
「待て!」
「待ちなさい!」
私とアイリスはそのクルマに近づく。
しかし、
「うわ! はや……」
「……あれが噂の邪教のマッドサイエンティストね~」
「そんな奴がいるんだ……」
あっという間に逃げていった白衣の人。
それを少し悔しそうに見るアイリス。
「さて…… あいつをどうにかする間だけ休戦でしたわね〜」
そう言い、私を見る。
だが、持っていたはずの大剣は手元にない。
私はナイフを抜こうと構える。
「と言いたい所ですが、ここでは私も分が悪いわね〜……。次会う時まで休戦という事にしましょ〜」
「そ、そう……」
私は腕を下ろす。
「それでは夢羽様、ごきげんよう〜」
ドレスでも着ているのかという感じの上品な挨拶をした後、アイリスもクルマを出し、この場を去った。
「行っちゃったわね……」
「嵐が去ったという感じだわ……っと、タツロウさん迎えに行かなきゃ」
自分もクルマを出し、遠くで待っているタツロウの方へと向かう。
「お嬢! 無事だったか!」
「うん。タツロウは大丈夫だった?」
「おうよ。と言いたい所だが、不思議な体験をしてな。それで助かったと言っていいかもしれないな!」
救助対象者を後部座席に座らせ、逮捕対象者は縛ったまま後部座席に座らせた。
そしてタツロウは自分でクルマを出した。
「不思議な体験?」
「ああ。っと、立ち話もあれだし、部長室で話そうぜ」
「うん、わかった」
私の返事を聞き、タツロウは自分のクルマに乗り、そして走り去った。
「……あれ? 夢羽の事見えてなかったような?」
私は夢羽を見る。
続きます!
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