表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

迷路に恋させるスマホ

作者: 真香

『このスマートフォンを充電さえすれば貴方の恋は実ります』



友達から大学の合格祝いでもらったその小さな段ボールには一見普通のスマホとその取扱説明書が入っていた。

その取扱説明書は狂言を記しているんじゃないか、と疑いたくなるそのひと言しか書いてなかった。


しかし、これはスマホではないようだ。電話はもちろん、Wi-Fiも繋がらないから。


訳のわからないものを送ってきた宗介にクレームの電話してみようかと思ったが、祝ってくれたアイツに申し訳ないと思い、試しに充電してみることにした。



すると、これをコンセントに差して2時間後。

LINEすら入ってないはずのこのスマホのようなものが突然、震えた。



画面を見ると『今日の午後三時に東山公園に来てくれる?来るまで待ってるから』と幼馴染の瀬奈からのメッセージの通知が来ていた。


恐る恐るアプリを開くと本物そっくりのLINEだった。

俺が普段使いしているスマホにもLINEはあるがのアカウントはLINEに入っていない。なぜなら瀬奈は二年前の夏、失踪したから。



『本当に君は瀬奈なの?』

と返信を返すと

『私だよ、瀬奈だよ。何を疑ってるの?話したいことがあるの。来れない?』

『わかった、東山公園に十五時な』



既読がついたけど返信がないということは了解ということか。

俺は東山公園に行った。



そこにはニ年前とは髪型と服装以外はほとんど変わらないあの頃の瀬奈が手を振って立っていた。

目をぱちぱちさせて、目を擦る。でも、やっぱり目の前の女性は間違いなくあの瀬奈だ。

すると、瀬奈は俺にあの事件の真実を激白し交際を申し出てきた。



そして俺は、その罪の共犯になる約束とともにあのスマホのおかげで本当に恋を成就した。



今でも俺と瀬奈を繋げたこのスマホは彼女としか連絡できない。

逆に、俺のもとのスマホでは瀬奈とはLINEすらできない。

瀬奈と再会して以来、俺はこのスマホの中で迷宮入りになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ