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愛のカタチ  作者: 遠藤 敦子
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 イラストレーターとして売上は好調で、同年代の会社員よりは貯金がある。また会社員に比べると時間に融通が効くし、パソコンかタブレットさえあればどこでも仕事ができる。そんな状況なので、茉由紀はユウトの店やライブに足繁く通う。何度か通っているうちにユウトに認知してもらえるようになり、ユウトは

「茉由紀さん来てくれてありがとう!」

と茉由紀に笑顔を向けてくれるようになった。気づくとポイントもどんどん貯まっていき、茉由紀はこれまでにユウトからたくさんの「ご褒美」をもらったのだ。

 10ポイント貯まったときはユウトから直筆の手紙をもらった。その手紙は今も大事にしまってある。30ポイント貯まったときはユウトと1時間デートをした。デートといってもランチしただけだったけれど、ユウトが食事代を全額払ってくれたのだ。50ポイント貯まったときは1日ディズニーランドでデートした。このときユウトは、まるで茉由紀の本当の彼氏のように振る舞っていた。これまで恋愛経験が皆無だった茉由紀にとって奇跡のようなものだ。


 そしてついに100ポイント貯まり、茉由紀はユウトとお泊まりデートすることになる。自身の1人暮らしの家にユウトが泊まりに来てくれるという。茉由紀はユウトが来る日を心待ちにしていた。

 ピンポーンとチャイムが鳴り、茉由紀はドアを開ける。するとユウトが立っており、ユウトは緊張した様子だ。

「女の人の家行くん久しぶりやから緊張しててんけど……」

ユウトは俯きながら呟く。そんなユウトを茉由紀は自宅のリビングに招き、手作りのクッキーを振る舞った。

「これ茉由紀さんが作ったん? お店の味みたい!」

ユウトは子どものようにはしゃぐ。茉由紀は「ユウトくんに喜んでもらえて良かった」と笑う。

 それから茉由紀は自分の部屋にユウトを招く。ユウトはこれまた「こんな良いとこ住んでるん?」と目を見開いた。

「俺は茉由紀さんとお泊まりできて嬉しいけど……茉由紀さんは仕事とか大丈夫なん?」

ユウトが尋ねると、茉由紀は

「私フリーランスのイラストレーターで、在宅で仕事してるから会社員の時よりは自由に動けるよ」

と話す。

「フリーランスのイラストレーター? すげえ!」

ユウトは茉由紀を尊敬の眼差しで見ていた。


 「今度イラスト集出すことになったんだけど、どれを表紙にするか悩んでて……。ユウトくんに選んでもらえたら嬉しいなって」

茉由紀はイラスト集に載せるイラストの候補を3つユウトに提示する。1つ目は犬を抱くワンピース姿の少女のイラストだ。2つ目は水色のドレスに身を包むお姫様のイラストで、3つ目はパン屋さんとして働く少女のイラストだった。

「俺は最初のやつ好きやけどな〜」

ユウトは迷っているように見えながらも、1つ目のイラストを選ぶ。

「じゃあそれにするね! イラスト集のサンプルできたら真っ先にユウトくんに見せる!」

茉由紀がそう言うと、ユウトは

「うん、楽しみにしてるわ」

と返す。

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