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愛のカタチ  作者: 遠藤 敦子
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 中学校から大学まで女子校。大学卒業後に就職した会社は女性が9割。その職場は退職して今はフリーランスのイラストレーター。在宅ワークなので、誰とも会って話す機会はない。それゆえ、砂山茉由紀(すなやままゆき)は彼氏いない歴=年齢だ。

 27歳になり、周りの友人は婚約したり結婚したりする者も増える。このままじゃやばい。一生1人かも。危機感を抱き、茉由紀はマッチングアプリに登録した。本名が珍しいので、あえて「マユ」名義でプロフィールを記入する。写真は学生時代の友人にカフェで撮ってもらったものを選ぶ。文章は当たり障りない内容にし、いない歴=年齢であることは書かないでいた。重いと思われても嫌だったから。

 茉由紀はよくわからないまま適当に登録したけれど、開始して10分である男性からメッセージ付きいいねが来る。ヒデという55歳の男性からだった。

「マユさん、初めまして。ヒデと言います。マユさんの素敵な笑顔に惹かれていいねしました。私はバツイチ子持ちで歳の差がありますが、ぜひ仲良くしてください」

茉由紀は衝撃のあまり、手からスマホを滑り落としてしまう。バツイチ子持ちだという55歳のヒデのプロフィールを見ると、高校生の娘と大学生の息子がいると書いてあった。離婚理由は仲良くなってから話しますとあったが、子どもたちの親権は元妻が持っているそう。

 親子ほど歳の離れた女にメッセージ送ってくるとか何考えてるの? 日本人なら誰もが知ってる大手企業勤務で高収入なのに、元妻から「別れたい」「こいつといるくらいなら1人で育てた方がまし」と思われた男なんだな。そう思った茉由紀は即座にヒデをブロックした。メイン画面を見ると、通販サイトのカタログのごとく男性たちのプロフィール画像がずらっと並んでいる。それも茉由紀にとっては嫌悪感があった。やっぱり私にはマッチングアプリは合わないな。茉由紀は登録して1時間も経たずにマッチングアプリを退会する。

 そんなとき、大学時代の友人の清水椿(しみずつばき)からLINEが来た。

「まゆき、土曜日空いてる? 良かったら新しくできたカフェでお茶しない?」

土曜日は今のところ何も予定はない。茉由紀は椿の誘いを快諾する。LINEで集合場所と時間を決めた。カフェの予約は椿がしてくれるという。椿と会うのは3ヶ月ぶりなので、茉由紀は土曜日が待ちきれなかった。



 仕事で忙しくしているうちに時間は過ぎていく。気づけば椿とカフェに行く日になった。茉由紀は椿と合流し、カフェに向かう。店内は水色で統一されており、おしゃれな雰囲気だった。

「2名で予約していた清水です」

椿がそう声をかけると、店員は2人を席に通す。

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